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目指せ学校

自分で付けた名前が覚えられない

 王様(シャンディラ8世という名前らしい)とお嬢の所で手紙のやり取りを日に何度もしているのか、幾度となく手紙を携えた使者が現れ、

最終的に許可される事となった。3日とは言ってたが2日で終わったのは楽でいいわな。

特に何か問題があったわけでもねえし、さっさと準備して出るに限るな。

即出立くらいの気軽さで…お嬢は色々あるから手間取るか?

と、確認してみたがすぐ出て問題ないらしい。出立のパーティーとかないのは助かる。


──────────────────────────────────────────


 この2日間、俺としてもお嬢の抱き枕生活か徹夜生活のどっちかは身体に悪いと思ってたんだ。

風呂は結局俺も護衛に参加することになってなぁ。

メイド達だけではなく護衛組も風呂も抱き枕も通すのどうかと思うぜ。目の保養にいいし悪い気はしねえんだが。男の欲望でいつか身を滅ぼしそうだぜ。早いとこ娼館で発散しとかねぇと…。館から出るのに理由必須だし付き添い(女)が必ず居たからな。大陸中立中央教導院着いたら絶対に行く。

強い気持ちで馬を用意するのだった。おい、その軍馬いいな。お嬢が欲しがってるから譲ってくれよ。


 ここ最近頼んで集めて貰っているゼータからの情報だが、怪物モンスターが1匹も出て来なかったということ以外は変わったことは無いという事でその日の昼には王都を離れた。

残ったところでいいことはなし、妥当な判断だろ。


 問題はそれなりに怪物モンスターが出る街道に1匹も出なかったという所か。何も無けりゃいいが、強い怪物モンスターによって弱い奴らが消えた可能性もある。その場合でも出会わなきゃ問題は無いも同じだが…情報ねぇからより慎重に警戒だけしておくか。

大きな荷物は後から執事長とメイド達が馬車で運ぶとのことで、いつも持ち歩くくらいの軽装なのが少し不安なんだが。


──────────────────────────────────────────


 王都を出て初日、昼から馬を走らせているが中々どうして全員上手に走らせてるじゃねえか。

冒険者や傭兵の中でも覚えてる奴の方が少ねえってのに。俺以外がお嬢と相乗りしてくんねえかな。

ゼータとか小柄だし良さげじゃね?ダメっすか?そうっすか…雇い主が言う事だもんなぁ。

男の俺とそこそこ重みのある装備に加えてお嬢を載せてる俺が乗ってる馬はかなり大柄だが、スタミナ持つかね。

その点で言えばレイチェルとエルボスの巨体を支えてる馬ってのもすげえんだけどな。

息切れしやすそうだしこまめに休憩と馬の交換をするか?

敵が出ねえ分休憩の時間は取れるだろ。敵出て来たら見通しが甘いけどよ。


──────────────────────────────────────────


夕暮れ時、村が見えた俺達は下馬して馬の体躯を撫でながら村に入り込む。

弱いとはいえ怪物モンスターに襲われていればもう少し遅い時間か下手をすれば野宿になっていた。

そういう意味じゃなんも出てこないってのはいい事なんだけどな。

住人達の好奇の視線に晒されながらも村1番の宿を取る。

部屋?2部屋取ってくれねえの?1部屋だけ?じゃあ馬小屋で寝るか…。

お嬢を部屋に入れ、チナツとゼータに物資の補給を依頼する。

俺も行きたかったがこれからの話をしたいと言われちゃあな。


「同じ部屋で寝てもいいと言っているのですよ?どうして駄目なんですか?」

道程の話じゃないじゃねえか。

「あー王都より警備が少ないですし、馬も安全確保したいんで…」

俺だけ馬小屋で寝たいんですと伝える。クソ、これ言ったらマジで仕事しなきゃいけねえじゃん。

適当に金で村の女抱いておこうと思ったのに…。

「そう、ですか…でも貴方だけ疲弊するのは困るので交代しながらですよ」

うっす。俺の安寧はまた遠のいたな…。真面目にその辺の知識ねえのか?

執事長の爺さんに聞いときゃ良かったな。


 ゼータが聞いた話だが、この先も怪物モンスターも盗賊も出ていないらしい。

隊商の連中も通行が楽になったと言っているんだと。

ただ、馬が何かに怯える様子があり、ちょっと興奮しているとか。

なーんか小規模な巣か大型が1匹転がって来てるのは間違いねえな。

情報は共有したものの、俺達の手に余る事は無い、他も通ってきているなら大丈夫。

というお嬢の結論で俺達は回り道をせずに行く事になった。

宿の飯を喰いながら俺達の話に混ざっていた1人旅中らしい商人は、遠回りをするらしい。

安全重視ならそれもありなんだけどな。遠回りしてたら暗殺者達に追いつかれそうなんだよな。 


 ちなみに夜に女性陣に最終的に馬小屋で寝かせるのは悪い、ということをゴリ押しして俺が後半に馬小屋で寝る権利を得た。俺なら出る前に水浴びしとけば臭いくらい消せるだろ。

1人馬小屋に様子を見に来た奴がいたが、特に何かするわけでもなく、夜が明けた。


──────────────────────────────────────────


 太陽の日差しを浴びながら水浴びをして精神を集中させる。明日明後日…そこさえ乗り切れればなんとかなる。

馬の用意と荷造りをしつつ歩きながら硬いパンを齧る。

うーむ、贅沢な食事に慣れちまったか?不味いな…

上半身裸だった所をお嬢に見られて悲鳴が上がるなんてこともあったが、問題ないと言えば問題ない。



 顔を真っ赤にしていたお嬢はそれでも俺と相乗りにこだわるみたいで早く行こうと息巻いている。特に何か待つこともないし、全員起きて飯終わり次第村を出ていく。

馬ってのは賢い生き物で、整備された道があればそこを通るのだと理解して大体自分から動いてくれる。

だからよほど余所見でもしてねえ限りは考え事をしてても問題ねえって事だ。

ただ、ここから先はおそらく何かがいる。迷宮ダンジョンか、魔物の巣ができたか、何か強い奴がはぐれて出てきたのか、対応について考える事が止まらない。


ところでお嬢が馬に乗れねえって嘘じゃねえの?さっきから手綱握ってる俺の手を握りながら操作してるような気がするんだが?

「いえ、その…練習です?」

お嬢の方を見ると、見られている事に気が付いたお嬢からそんな言葉が飛んでくる。

「あー、頑張ってください。応援してます」

練習なら仕方ねぇなぁ…。俺の手を包み込む形のお嬢の手を取り、素手に手綱握らせるのまずいな。

揺れながら手袋を外してお嬢に着ける。俺の方が手がデカいから大分緩いが、まあ手が荒れる事はねえだろ。

お嬢に手綱を握らせ、さらにその上から調整しやすいように俺が握りこむ。

理由は何でもいいんだが、俺の手が下だと、何かあった時に飛び降りれねえから危ないんだよな。

黙り込んでしまったお嬢と共に乗馬の練習をしながら進むのだった。


 

 街道とは言え、道沿いに怪物モンスター1匹、盗賊1人出てこないので、本来なら昼に着く村を朝の内に駆け抜け、さらに半日程の時間を短縮しながら夕方より少し早い時間には大きめの村に入り込む。

このままのペースで行くと、深夜の境を超えたあたりで着きそうなんだよな。

最悪、戦闘があることを考えるとまだ早いが今日はここで休んだ方が良い気がするんだよな。

そう進言すると手綱を握って固まったままのお嬢が動き出し、同意するかのように頷いた。


 夕方から酒を呑んでいる酔っ払い達から話を聞いてきたが、やはりこの先に何かいるらしい。

村の中でも気の弱い家畜が暴れたり、逃げようとしたりする雰囲気があるらしい。

また、森に狩りに出かけた猟師はここ最近獲物が見当たらない事と森に何か巨体が這いずり回った跡があったと教えてくれた。

怪物モンスターの巣か迷宮ダンジョンだったら気にせず通り抜けることもできたんだが、デカ物が1匹か。

姿を見た奴はいないらしいが、街道沿いの森に痕跡があるので、街道に出る事も考えられる。

悪ければ竜種ドラゴン、想定している中で弱いのがデカくなった蜥蜴や猪の怪物あたりかどうか、か…

嫌な予感を抱えつつも、こんなのは早めに寝るに限る。今更この村で待つってのも性に合わねえしな。


──────────────────────────────────────────


 いつ出てくるか、何が出てくるか危惧をしながら3日目の旅はあと少しで教導院に着く所まで来て安全な旅の終わりを告げる。

既に動かぬ死体となった人間を弾き飛ばしながら地面を抉り木を圧し折り森から飛び出してくるのは、地を這う4足の体躯。

25mを超える巨体に鋼を思わせる鱗を並ばせ、その手足で歩みを妨げる全てを破壊する爪を持つ怪物モンスター

それはドラゴン種が一つ、荒れ狂う地竜アースドラゴンなり。



フラグは立てて踏むもの

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