勝利の褒賞
自分で自分にトドメを刺すのはためらわれた。それでもトドメを刺さないという選択肢はなかったが、できればもう二度とこの感覚は味わいたくはない。
そんなことを考えているとこの部屋に来た時のように円の中に六芒星が浮かび上がる。俺の体が光に包まれ、次の瞬間また別の部屋にいた。
白い壁に四方を囲まれていることは同じだが、部屋の中は狭い。そして中央に水晶が置いてある。この水晶は神殿にあるレベル測定用の水晶によく似ていた。試しに神殿と同じように両手で水晶に触れてみた。すると柔らかな黄色い光を放った後14という数字が現れた。俺の元のレベルは13。この世界でレベル一つ上げるのはかなりの労力がかかる。一年かけても上がらないことも多い。それほど上がりにくいレベルが一つ上がっていたことにこの部屋の異様さを感じた。
ちなみに冒険者の平均的なレベルはB級冒険者でレベル20、一流と呼ばれるA級冒険者でもレベル25程度だ。
「一体の討伐を確認しました。解放まで残り99体です。討伐対象の能力を開花させます。」
機械音声がそう告げ、俺の体が光に包まれる。体の奥が熱くなったような感覚があり、力が湧いてきた。これで俺も魔法が使えるということだろうか。
そんなことより重大な情報を話していた。解放まで99体。つまりこんな戦いを後99回もしなければいけない。だが99回能力開花があるということ。レベルもかなり上げられるのはずだ。
「どう足掻いても手の届かなかったあの女に届く。苦しむように殺してあげよう。」
気づかないうちに笑っていた。
ここからルクスの進撃が始まります。