突撃
「よし。グルックス公爵を捕まえよう。」
「それでどこにおるんじゃ?そやつは。」
「ここからなら馬車で一週間ほどのところだ。俺のスキルでならすぐに行ける。早速今夜攫おう。理不尽な奴らとは徹底的に戦う。」
「ルクスのことじゃ心配はいらんと思うが、気をつけるんじゃぞ。人間は弱い故に思いもよらん手を使ってくる。」
「あぁ。油断はしない。大事なものを失うのはもう懲り懲りだ。」
真っ黒の水があたり一面に広がったような夜。音もなく公爵邸の中に現れた現れたルクス。
黒い布で顔を覆っている。
気配遮断を使いながら、公爵の寝室を探す。
そのまま廊下を歩いていると一つの部屋の中から声が聞こえた。
ルクスは扉に近づくと耳を澄ませる。
「も、もうやめてください。」
聞こえてきたのは女性のか弱い声だった。
「ダメですよ。約束したでしょう。あなたの探してるお兄さんの情報が欲しければ、私の責めに鐘一つ分の時間耐えてみなさいと。耐えかねて叫び声をあげれば私の勝ち。耐え切ればあなたの勝ち。言ってませんでしたが、あなたが負ければお兄さんは死んでしまいます。あなたの何倍も辛い目にあってからね。フフッ。分かったなら続けましょう。まだまたま時間はたっぷりありますよ。続いてはこのナイフで少しずつ切り取って行きましょうかね。」
「やめて。いや、やめて。」
ルクスはドアを蹴破る。中には男と女がいた。女はひどく殴られたのだろう。顔は腫れ上がり紫に変色している。
ルクスはこみあげる怒りを抑えながらその女性を守るように男との間に割って入る。
「お楽しみ中だと言うのに。無粋な人間ですね。誰かは知りませんが邪魔をするなら死んでもらいましょう。それからゆっくりお楽しみを再会です。」
そう言うと男は手から青い炎を出す。
「青い炎?まさか。」
ルクスは驚きを浮かべる。