頂上到達
「ちょっと。強すぎるでしょ。地面とか跡形もないし。なんなの?神話の神様でも暴れたのってなってるけど。ルクスおじちゃんって本当にただの人間?むしろ神様って言われた方が信じやすいよ?」
「ごめん。ちょっとやりすぎた。次は手加減するから。」
「ちょっとってレベルじゃないけど。まあいいや。これからレッドドラゴンの巣に行くんだから頼もしいのは間違いないし。シルバーウルフ殴って首ゴキッてやる人だし。もともとちょっとおかしいとは思ってたし。」
我ながらやりすぎた。なんせ力加減が分からないのだ。コピールームは何もない部屋だったから威力がどれくらいなのか分かってなかったし、それにレベルが100超えてから明らかに威力が上がってる。
これで今最上級魔法使ったらどうなるんだろう。考えて自分の力が恐ろしくなった。
しかし、フラルもそこまで言わなくても。あ、なんだろう目から汗が。
「先を急ごう。早く着けばそれだけフラルのお父さんを救える可能性が上がるんだから。」
そう言ってまた歩き出す。街道を歩いて来たが、ここから山脈までは草木をかき分けて道のない道を進まないといけない。そして気がついた。
フラルを背負うと草木をかけ分けるなんて無理だ。どうしよう。木の枝とかにピシピシ当たっちゃう。もう一個言えば不意にモンスターに襲われたらどう対処しよう。
「あ、あれ使えないかな?」
思いついた俺はさっそく行動に移した。
スキル転移。コピールームで得た能力で使い方がわからなかったものだ。フラルと手を繋いで転移を発動しようとする。そして山脈の頂上をじっと見つめる。
「ルクスおじちゃん?何してるの?」
フラルの声がした次の瞬間俺らは山脈の頂上にいた。
「え?なにこれ?ルクスおじちゃん何したの?」
「俺はスキル転移というのを持っているんだ。今まで使えた事がないから自信がなかったけど、上手くいったみたいだ。」
「また非常識な能力持ってるんだね。まあルクスおじちゃんだから仕方がないか。」
呆れながらフラルが言う。
自分でもこんな事ができてしまう人間がいるのかと不安に思う。
まあいい。それより今はレッドドラゴンに連れ去られたフラルのお父さんだ。