第2玉
人生初の異世界体験と思って入ったオカマバーごと異世界転移してオネエ無双見せられています夢かな精神的にいやーきついっす
第2玉
登場人物
藤岡満留 金光義塾で働く塾講師。学生時代のあだ名は「オカマル」。調子に乗りやすい。小夜子のことが気になっている。
大古家小夜子 オカマルの同僚で眼鏡女子。オカマル達をオカマバーに誘う。
女良一男 オカマルの同僚。小柄で眼鏡の草食系男子。
「えっと・・・サヨコサン?今なんと?」
「うん、オカマバーに行ってみたいの!サンロク街の!」
オー、ジーザス!最近は、好きな男とオカマバーにデートに行くもんなのか?
サンロク街ってのは我が旭川市の繁華街で三条六丁目を中心に飲食店が集まっているからそう呼ばれている。安直だな!
まあ札幌でいうすすきのとか九州でいう中洲とかだな。規模は月とスッポン、太陽とスリッパぐらい違うが。
「僕オカマバーとか初めてなんだ・・・」
「私も実際に行くのは初めてです!でも大丈夫!下調べは入念にしましたから!」
「なんかすごーい」
こらそこ、俺抜きで盛り上がるんじゃない!
そんなわけで3人でタクシー代を折半してやってきましたサンロク街。
本当はかっこよく「俺が払うよ」と言いたかったのだが「同期でお給料も同じだから」と言われてしまったので引き下がった。本当だよ?
「ちょっと待って、コンビニでストロングゼロ買ってきていい?」
「そんな勢いつけなくても大丈夫ですよ、とって食われるわけじゃありませんし」
小夜子さんはそう言って笑うがとって食われるかもしれないじゃないですか。性的な意味でね!
「ぼ、僕お酒あんまり飲めないんだけど・・・」
「大丈夫!お酒を飲めなくても会話やショーで楽しめるってネットに書いてありましたから!」
女装した男と話して何が面白いのかわからんが、ショーという言葉にもひっかかる。
小夜子さんに汚いもの見せつけたりしたらただじゃおかないぜ。
「おう、メガネの分まで俺が飲んでやるから安心しな!あ、メガネって小夜子さんじゃなくてコイツのことですよ!」
と慌てて修正する。小夜子さんの眼鏡は女神が纏う神器、女良の眼鏡とは格が違うのだ。
「あ、ありがとう・・・」
コイツはコイツでそんなに嬉しそうにするなよ。そこまで酒飲まされるのが怖かったのか?
このご時勢でアルハラだとかうるさくて、上司に酒を強要されることなんて無いんだよな。
むしろ職場で飲み会なんてものがほとんど無い。むしろあれよ。合法的に先輩に酒を奢ってもらえるチャンスが少ないのだ。
結局俺はコンビニではウコンドリンクしか買わなかった。
道を塞ぐように立ち並ぶ客引きから小夜子さんを守るように歩き(軽くいなして素通りしようとすると客引きのあんちゃんにめっちゃ睨まれた。怖ええ)、すぐにその店の前まで来てしまった。
「ここがオカマのハウスね」
ピカピカ光る電飾に囲まれた派手な看板。
いよいよ俺たちは人生初の異世界体験に旅立つのだった。
本日のオカマバーあるある
「オカマバーに行ったら襲われると思っている男性多過ぎ」
オカマだって選ぶ権利ぐらいあるわよ!