第0玉
現役ニューハーフダンサーとして、異世界転移とオカマバーあるあるとを合わせて書いていきたいです。リアルだったりリアルじゃなかったりするオネエ達にご期待ください。主人公たちの進路にも注目。切るのか切らないのか?
「どこだここは・・・」
俺の名前は藤岡 満琉社会人一年生。同僚と三人で市内の繁華街で飲んでいたはずだった。
そこまではわかっている。流石に前後不覚になるほどは酔ってはいない。
だが、店の外には見慣れない大森林が広がっているのだ。しかも時刻は夜だったはずなのに太陽ものぼっている。
「なんなんだよこれはーーーー!!」
人生初の異世界体験と思って入ったオカマバーごと異世界転移してオネエ無双見せられています夢かな精神的にいやーきついっす
第0玉
そうだ、俺たちはオカマバーでただ飲んでいただけなのに大地震の後、気が付いたら謎の地に立っているのだ。
「なにこれ、このビルだけ別の場所に移動したみたい・・・」
「この風景、日本っぽくないよねえ!」
よくよく見ると、ビルと周囲の地面が切り取られたように自然の土の上に乗っかっている。あまりに荒唐無稽で何をしていいのかもわからずただただ狼狽える。
「オカマルちゃん!小夜ちゃん!ラメちゃん!」
「ママさん・・・」
太陽の下、大自然の中に全くそぐわない煌びやかなドレス姿のオカマバーのママさんが小走りで駆け寄ってくる。
「しのぶちゃんが、危険な気配を感じるって・・・ビルの中に戻りましょう」
「え、どういう――」
ビュンっ
それまで俺がたっていた地面に何か棒が生えていた。
「あらやだ、矢だわー」
「洒落てる場合じゃないですよ!」
そうだ、弓矢の矢が、すごいスピードで飛んできて目の前のアスファルトに突き刺さったのだ。
血の気が引くより先に、ママさんに腕を掴まれてビルの中まで引きずり込まれる。
(力が強い!でも助かった)
「パロロロロロロロロロr!」
気が付けば未開部族のような仮装をして武器を持った連中が森から現れて、あちこちから雄たけびをあげながらアスファルトによじ登ってくる。
「やばいやばいやばい!」
俺は店の看板を拝借して盾にしながら、自分よりか弱い同僚の小夜子さんとラメをかばうしかできなかった。
「しのぶちゃん!レンちゃん!ヤワラちゃん!」
ママさんが名前を呼ぶと、三人のオカマさんがビルの入り口に立ちはだかった。
「いやいや危ないですって!」
俺は止めるべきかと迷っていたのだが――
「墳ッ!」「ヌンチャク!?」
「レンジャー!」「白兵戦!?」
「巴投げ~!」「投げたーっ!?」
まさかの無双状態、あっという間に賊は無力化されていった。
「夢かな・・・夢であってほしい」
そして、お店にあった謎のロープや結束バンドで縛られた賊達をよくよく見て、俺たちは驚愕した。
「これも、仮装の一部だと思ってたんだけど・・・」
「人間じゃ、ない・・・!?」
彼らには、獣のような耳や尾が生えていたのだった・・・
本日のオカマバーあるある
「オカマさんの前職意外と逞しくてびっくりする」