「タイマン上等!」
8/13 ルナのステータスの項目に性癖力を追加しました!
始まりの街、噴水前広場。
今日もここはさまざまな性癖であふれている。
私や陽彩のそこそこ特徴的な容姿が眩んで埋もれちゃうほどに、この場所には個性豊かで癖の強めなアバターが大集合。
さすがこの街で一番目立つ場所であり、この世界の中心といっても過言じゃない場所なだけのことはある。
でも、今日この場での主役は私たち。
大勢の人たちが噴水に腰かけているクロちゃんと私、そしてギャルモードの陽彩を遠巻きに眺め、口々に「灰色髪」「ピンク髪」と呟き、私たちの話題で持ち切り。
それがいい意味でか、悪い意味でかはともかくとして。
陽彩は膝の上にちょこんと腰かけるクロちゃんの頭をそっと抱き寄せ、周囲の声が彼女に聞こえないよう腕でその耳を塞ぐ。
クロちゃんは陽彩に抱きしめられて嬉しいのか、にへらって感じで微笑む。でも、その笑顔には「心配しなくても、大丈夫だよ」という意味も込められているような気がした。
噴水は背後でざぁざぁと音を立て、がやがやと鳴りやまない喧噪。
この場に満ちている音に耳を傾けていると、遠くからばたばたと足並み揃わぬ足音がこの場に割り込んできた。
「姉さん! あそこっす!!」
そのどこかで聞いた声と共に真っ黒な変形学ラン連中が人込みを押しのけてこの広場に飛び込んできて、私たちを取り囲む。長ランに短ラン、実にバリエーション豊かなコッテコテのヤンキーどもが。
数は五人といったところで、角材、金属バット、鉄パイプと、各々が各々に武器を持ち、こちらを威嚇してくる。
突如乱入してきたヤンキーどもに、なんだなんだと野次馬がさらに増える。
ヤンキーの怒鳴り声に野次馬のざわめきが合わさり、もはや収集のつかない事態に陥ってしまった噴水前広場。
そんなとき、
「黙りな!!!」
と腹の底から放たれた鋭い声が騒がしさを一言で切り裂き、人々を静めた。
人波をモーセのように割って現れたのは、超ロングスカートの紺のセーラー服に真っ赤なスカーフ。一度見たら忘れないその時代錯誤な容姿。
それは、紛れもなく私たちの目当ての人物。ヤンキーどもの頭のアンズだ。
「散れ、見世物じゃねぇんだよ!」
アンズの一喝。そのあまりの迫力に群がる人々はそそくさと退散していった。
「話を聞いて来てみれば、『灰色髪の怪物』にピンク髪。両方お揃いとはねぇ。アタイの目の黒いうちはこの街歩かせねぇって言ったよなぁ? どうしてお前がここにいるんだ? あ゛?」
アンズはクロちゃんに詰め寄りガンを飛ばす。その凄みに圧倒されつつもクロちゃんを庇うようにして、私は彼女に言い放つ。
「ちょうど、クロちゃんがアンタに話があってさ。だから、ここで待ってれば、会えるんじゃないかと思ってね」
「話だ? 調子に乗んなよ、てめぇら。それにだ、アタイの舎弟を可愛がってくれたみたいじゃねえか。そのお礼はしっかりしねぇとな」
きた! 予想通りの反応!
でも、アンズの口からは予想だにしなかった言葉がでてきた。
「だが、条件がある」
「条件?」
「てめぇらがここにアタイを呼び寄せたことはお見通しなんだよ。この決闘禁止エリアに」
チッ。
意外と頭が回るタイプのヤンキーだ。
「本当は闇打ちしてやるつもりだったが、ここに逃げ込まれちゃそうもいかないからな。ここで性癖決闘するには互いの合意がいる。アタイはこのめんどくさい場に、それを承知で出向いてやったんだ。
それにだ、そもそも怪物の話なんざ聞いてやる義理はないが、こっちだっててめぇらに舎弟をボコられんだ、呼びつけられた以上尻尾巻いて帰るわけにはいかねぇの。だから、その対価としての条件ってわけ」
アンズの言う通り、このゲームでは望まない対戦を避けるため、人気の多い特定の場では性癖決闘を行うには互いの合意が必要って仕様になっている。
この場なら不意打ちからの袋叩きは防げるけど、まさかお見通しだったとはね……。
「……分かった。んで? 条件ってなにさ」
「条件は二つ。一つはアタイが勝ったら、その怪物は二度とこの街に足を踏み入れないと誓うこと。二つ目はタイマンで勝負してもらおうじゃないか」
「タイマン……」
前者はまだしも後者の提案は少し、というかかなり意外で、思わず面食らってしまった。
「用は一対一、サシの勝負ってことだよ」
「そんくらい知ってるさ。じゃあ、こっちが勝ったらクロちゃんの話を聞いてもらうよ」
「ふん。まぁ、いいだろう!」
ただ、その前にだ。一つ、どうしても聞いておかなきゃ気が済まないことがある。
「ねぇ、一つ聞かせてよ。アンタはどうしてこの子を怪物呼ばわりするの? 聞いたよ、最初にこの子に酷いこと言ったの、アンタだって」
「言ったろ? この街歩かせねぇって。ソイツが怪物だってことは紛れもない事実なわけ。だから、ちょっと虐めて消えてもらおうと思っただけ」
「クロちゃんは怪物じゃない! なのにどうして……、何がアンタをそうさせるの?」
私がそう聞くと、さも当然であるかのようにアンズは淡々と答えた。
「嫌いなんだよ。その不気味な包帯も、ゾンビの体質も、気持ち悪ぃツラも何もかも!! 生理的に受け付けないから追い出すだけ。簡単な話だろ?」
「だったら、見なければいい話じゃないの?」
「アンタは視界に嫌いな害虫が飛んできたとして、無関心でいられんのか? 見たくなくても視界に入ってくるものをよ!」
「クロちゃんは害虫でも、怪物でもない! れっきとした人間で、その姿は彼女が好きな個性だ!!
それにアンタは見たくないとか言いながら、自分から関わりにいっているじゃんか! 自分で見えないように動けばいいじゃない!」
「どうしてアタイが動かないといけないんだい? そっちが出ていけばいいだけの話。
んで? アタイとタイマン張るのは誰だい!」
そんな自分勝手、許せない。
そう思うと自然に頭に血が上ってゆく。
「ねぇ? ねぇ!」
陽彩の呼び声でハッとする。
「まず落ち着きなって。はい、深呼吸」
言われるがまま、深呼吸。
吸って、吐く。
「乗せられちゃ、ダメでしょ」
「分かってる」
「んで? タイマンったって誰が戦うの? 私が行こうか?」
マズい。
全っ然、考えてなかった。状況的に陽彩が行くのがいいいんだろうけど。
タイマン……、タイマン……。タイマン……!
いいこと思いついた!
「ねぇ、念のため聞いとくけどさ」
「なにさ」
「タイマンって戦うのが一人ならいいんだよね?」
「たりめーだろ。早くしな!!」
言質は取った。あとはやるだけ!
「陽彩?」
「どうしたの」
「私がクロちゃんに憑依してから、そのままの状態で陽彩に憑りついたらどうなるんだろうね?」
「いやちょっと、そんなことできるわけ」
陽彩の意見を半ば無視してクロちゃんに聞いてみる。
「クロちゃん、ちょっと身体借りていい?」
「いいよ……!」
んじゃ、遠慮なく!
「【憑依】!」
【性癖】でクロちゃんの身体に入り込んで、からの!!
「行くよ、陽彩!!」
「いや、無理無理!! そんな二人も入らないって――」
「【憑依変身】!!!」
私はクロちゃんごと陽彩の身体に【憑依】して腕を胸の前でクロスさせ、そしてそのまま【変身】を発動!
陽彩の身体が光を放つ! 光はやがて帯状となり、陽彩の腕を、脚を、全身を、グルグル巻きに! 全身を包んだ光の帯は更に伸び、新たな服を形作ってゆく! 最期に帯が髪を結い、全ての準備が整った!
新たな力が全身に溢れてくる!!
いくぞぉおおおおおお!!!!!
「はぁっ!!!!!」
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【性癖】:【変身】発動
『アバターの外見を変え、能力値を上昇させる』
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胸の前でクロスしていた腕を思い切り解くと、陽彩を包んでいた光が弾け、新たな姿が現れる。
視界の半分がピンクの前髪に覆われ、ブレザーの袖から伸びる手は両手とも包帯で覆われていてミイラのよう。
明らかに普段のギャルモード違う姿!
「せ、成功した……!」
『お姉ちゃんと、一緒に、なっちゃった……!?』
『私、本当にクロちゃんと一緒に……!』
ピロリンと甲高い音と共に、視界の端に手紙のアイコンが浮かぶ。
これは……? クロちゃんからメッセージ?
『スクショ……、撮ってみた……!』
「おお! ありがとう!!」
送られてきたスクショを見てびっくり。
クロちゃんと同じアシメの前髪、色はギャル陽彩のピンク色。でも今回はツインテがポニテになっていて、そのポニテはクロちゃんと同じグレーアッシュ。服はスク水に灰色ブレザーのジャケットを直に着てて、四肢と口から下はクロちゃんとお揃いの包帯姿。
まさに陽彩とクロちゃんを足して二で割ったよう!
「な、なんだ……! その姿は……!」
「これで、私たちは一人だ!」
「ふざけんなよ……!」
「これが私の戦い方だッ! さぁ、タイマン張らせてもらうよ!!」
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プレイヤー名:『ルナ』
状態:憑依(クロ・陽彩)・変身・ゾンビ
【性癖】:性癖力
【憑依】:2000
【変身】:2000
【巨乳フェチ】:500
【ブレザー服】:500
【共闘】LV.1:1000
【ゾンビ】:2000
【拘束】:1000
【包帯】:250
【スク水】:250
【性癖】補正値:3000
発動性癖効果:ブレザー服を装備時ダメージを軽減〔大〕
〔包帯・スク水〕を装備時ダメージを軽減〔中〕
胸部へのダメージ軽減〔大〕
共闘
『総合性癖力』:12500
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