VSボス! 【性癖《スキル》】発動、おっぱいパリィ!
7/25 戦闘アクションの変更と、プレイヤー、ボスにHPゲージ表示を追加しました!
7/15 性癖開発に関する修正を行いました。
「この身体、私が乗っ取ったぁ!!!」
私は陽彩の声でそう叫ぶ。
心の中では私の声がそう叫んでいた。しかし、この喉から出る声は私のものじゃなく、陽彩のもの。それに丁寧な言葉遣いの陽彩が、私の思うがままに口汚い言葉をしゃべっている。
その奇妙な矛盾に胸が高鳴って、ゾクゾクするね……!
もちろん、高鳴る胸も、震える背筋も彼女のもの。そんな嗜好を持たないはずの身体が快感を覚えているという事実に、興奮し呼吸は荒くなってゆく。恐らく、陽彩の物静かで凛々しい顔は、だらしなく蕩けているだろう。それを見ることができないのは残念だけど、想像するだけでドキドキしてくる。
しっかし胸といえば、本当におっきいよね。この立場になるとさらにおっきく感じる。
「どれどれ?」
服越しに胸を手のひらに乗せて持ち上げてみると柔らかくもあり、ずっしりと重みを感じる。確かに、この重さを胸から下げていたら肩も凝りそうだ。
でも、苦しめ! それが『有る』ということなのだから!!
「馬鹿! 何やってんだ!」
「ふえっ?」
キバさんが怒鳴ってきた。
視線を胸から上げると、目の前にはボアファング。
「ぶべぇっ!!」
ボアファングに当たられ、この身体が大きく吹き飛ぶ。強烈な衝撃によって地面を転がり、草むらに突っ込んでなんとか止まる。
「痛ってて……」
大切な陽彩の身体が……! それに私の頭の上にあるHPゲージが10%ほど減っている。
ぶつかられたところはちゃんと痛い。やっぱり身体への刺激も、自分へのそれと同等に感じられるらしい。これはいろいろ捗り……、じゃなくて。ちゃんと戦わないと。
でも、よくよく感じてみると、意外と痛くない。巨木を倒す突進をまともに喰らったのだから、もっと大けがしていてもおかしくはないのに。
身体が勝手に動いて、不思議と受け身が取れた。それに痛みはほとんど残っていないし、すぐにスッと立ち上がれる。
突然、目の前に黒のウィンドウが浮かび上がってくる。
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【性癖】:【巨乳フェチ】発動
『胸部に受けるダメージ軽減〔大〕』
【性癖】:【ブレザー服】発動
『ブレザー服装備時、ダメージ軽減〔中〕』
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なるほど。【性癖】のおかげってわけか!
でもさ、巨乳が正義か? このゲーム、貧乳に人権はないのか!?
とはいえ、これで性癖で戦うっていう意味が大体分かった。
「――ッ!!」
ボアファングの突進を横っ飛びでかわし、腕を組んでどう戦うかを考える。
ふと気づく。組んだ腕の上に胸を乗せると肩が楽だ。
胸の大きな人がたまに胸の下で腕組んでるのって、そういうことだったんだね。
……いや、そうじゃない。また思考がズレてきた。
今考えるべきは胸のことではない。
拳を握りしめ、ボアファングと睨み合う。
ダメージカットがあるとはいえ、あの牙に貫かれ一撃でHPが無くなるかもしれない。だというのに、この身体は全く動じていない。
それに気づいたことがある。
アイツの突進、速度は速いが、攻撃中に一切軸合わせをしてこない。つまり、攻撃を見てから射線の外に逃れることが出来れば、絶対に攻撃を喰らわない!
流石、陽彩だ。冷静沈着、それでいて頭の回転も早い。
元の人格のおかげで、私はこの状況でも不思議なほど落ち着いていられる。驚くほど考えがまとまる。
それに元の身体よりも圧倒的に高性能! 無茶に動こうとしても身体がついてくる!
これなら、いける!!
意識を目の前に戻すと、ボアファングが突っ込んでくる。私を捉えて真っ直ぐに。
でも逃げない。私は、信じているから。自分の性癖を、宿主の力を!
突進してくるボアファングの目の奥を見据え、叫ぶ。
「さあ、来い!!」
突進に合わせてサイドステップ。
ギリギリで猪をかわし、ぶっとい牙を鷲掴んで、ぶん投げる!
「グガァッ!?」
ファング自身のスピードに陽彩の力、そして遠心力が合わさって、弾丸さながらに飛んでゆき、巨木へと着弾。向こうのHPゲージがガリッと20%ほど削れた。
ファングは折れた木の下敷きになりながらも、必死に立ち上がる。
体勢を立て直したボアファングがこっちに向かって猛ダッシュ。まさに猪突猛進。
足の動きをよく見て、身を引き、避ける!
牙が肩を掠めかける。しかしそれまで。
巨体が残した虚しい風が頬を撫で、髪が大きくなびく。
「グヲォオオオオオ!!!!」
ボアファングが唸り、足が動く。それと同時に私もファングに向かって猛ダッシュ、そして思い切り踏み切って前方宙返り! 向こうの突進を華麗にかわし、勢いのまま獣の尻を思い切り蹴飛ばしてやる。
こんなにも身体が自由に動くなんて! もう一生陽彩に憑りついてたい。
地面にへばってるボアファングに近づき、隙だらけの胴体に右の拳を思い切り振るう。
分厚く固い皮膚がぐにゃりと凹み、肉の奥で固いものがボキりと折れる感触が右手から伝わってきた。
ファングのゲージは一気に半分消し飛んだ!
効いてる、効いてる! もう一撃!
拳を叩きこもうと、腕を振り上げる。
でも、
「うわっ!」
ボアファングは首を振って、巨大なその牙を私に打ち付け振り払い、追撃を逃れる。
私の身体は宙を舞い、地面を二メートルほど横滑り。すぐさま体勢を立て直すも、ボアファングも同時に立ち上がっていた。
ヤツが足を踏み出す。
――突進が来る!
しかし、来るのが分かっていても、向こうとの距離が詰まりすぎている。この距離じゃ、かわせない!
そのとき、唐突にキバさんの言葉が頭を過る。
『逆境は全部、己のフェチが切り開く。【性癖】を使うんだ』
【性癖】……! それとさっき陽彩がやったアレを組み合わせれば……! 気は進まないけど、一か八か、やるっきゃない!!
ボアファングが牙を差し向け、私の目の前に迫る。
私は両手を腰にあてて、向こうの突進に合わせ、陽彩の豊満な胸を大きく突き出し仁王立ち。
瞬間、胸と牙が交わる。
「発動! おっぱいパリィ!!!」
――巨乳が、牙を弾く。
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【性癖】
【巨乳フェチ】発動
【ブレザー服】発動
ダメージを軽減
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牙を弾かれたボアファング。ヤツは、無防備な腹を私に晒す。
「せやぁあああああああ!!」
私はでっぷり太った腹に向けて連続で拳を叩きこみ、最後に正拳突き。
「ギェエエ……」
正拳突きによってHPを消し飛ばされた大猪は断末魔の叫びを上げ、徐々に身体が消えゆく。やがて完全に姿を消し、その場には立派な二本の牙だけが残った。
【目標を達成しました!】
「ぜぇ……、ぜぇ……」
なんとか、勝った……!
さっき、陽彩がスライムの攻撃を弾いてたのを思い出してやってみたけど、まさか本当にできるとは。しかも、胸が押しつぶされてちょっとぞわっとしたものの、【性癖】のおかげで反動ダメージもほぼゼロ。
やっぱり巨乳が正義なのか……?
「やったな。始めたての初心者とは思えないくらいのナイスファイトだ」
ボアファングを倒しうれしさ半分、複雑な気持ち半分でいると、キバさんが後ろから声をかけてくる。
「その牙、さっきのおっさんに持ってかえってやりな」
たしかに、討伐した証みたいなものがあった方が安心だよね。
地面に横たわる二本の牙を拾い上げようと手を伸ばす。さっき掴んだときに思ったけど、やっぱり重い。それを両手で持ち上げると、その牙は光の球へと形を変え、自動的にポケットに吸い込まれた。
━━━━━━━ミッション達成!━━━━━━━━
ボアファングを討伐しました!
『開発完了!!』
性癖が開発され、好きレベルがアップしました!
プレイヤーネーム:ルナ
バディネーム:陽彩
【性癖力】
【巨乳フェチ】Lv10→13(+3)
【ブレザー服】Lv10→11(+1)
【憑依】Lv10→12(+2)
【変身】Lv10→10(+0)
『条件達成:好きレベルが合計41以上になる』
条件達成によりRANKが2になりました!
【総合性癖力】:5000→5600
【RANK:2】
『アイテム「牙猪の大牙」×2 を入手しました』
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目の前にクエストクリアを知らせるインフォメーションが浮かび上がってきた。この手の終了インフォを見るとやったぜって感じで達成感に包まれるんだよね。
……インフォをよくよく見ればなんだかものすごい言葉が書いてある気もするが、それでも達成感は健在なようで。憑依して暴れられたこともあってか、私は今までのゲーム人生で過去一番の達成感を感じていた。
「じゃあ、目標も討伐したことだし帰るか」
「そうですね」
騒ぎの元凶が消えて、森は静寂を取り戻す。
ボスを倒したときに出る演出かどうか分からないけど、先ほどまでのおどろおどろしい不気味な森は、私の今の心の中のように清々しい森へと姿を変えたのだった。
お読みいただき、感謝です、感激です!
面白い! これすき! なんだこの作品!? 先が気になる! 性癖に刺さった! 等ありましたら、是非とも、ブックマークや感想、評価をよろしくお願いします!
応援していただけると、もっとルナが陽彩の身体を武器に頑張ります!!




