第1話
彼は冷たい。いつでも。冷たいというより、どうでもいいのかもしれない――私のことが。それでも私は彼が好き。大好き。側にいるだけで幸せ………だと思う。
彼――裕一郎を初めて見たのは入学式。偶然見かけただけであったが、たくさんの人がいたのに、なぜだか裕一郎だけキラキラ光って見えた。その美しい横顔がキラキラキラキラ…。
それから私はずっと彼を見ていた。いや、彼を見ていたのは私だけではない。女の子は誰もが彼を見ていた。無理もない。スラリと高い身長、白くてスベスベの肌、少し長めの髪、モデルのような顔……彼は本当にキレイ。私にはいつでもキラキラ光って見える。
彼に触りたい。声が聞きたい。視界に入りたい。…………私のものにしたい。
もう我慢の限界!少しでも彼の視界に入れるなら…と玉砕覚悟で告白した。
「大好きです!付き合ってください!」
「…………イヤダ…。」
わかっていたが悲しかった。でも告白している少しの間だけ、彼と目が合い、視界に入れるのが嬉しくて、もうそれから毎日のように何度も何度も何度も告白を続けた。付き合えるなんて思ってない。ただ声が聞けて、視界に入れるのが嬉しかった。
「あんたしつこいね。ホント。うざい。」
何十回目かの告白のあと裕一郎が言った。普段寡黙で、周囲に無関心で、クールな彼はがこんなにしゃべった所を初めて聞いたから驚いた。と、同時に“うざい”と言われたのはやはりショックで少し泣きそうになった。
「俺あんたのこと好きじゃないけど、まぁ…いいよ。」
「…へっ?……………あの……“いい”って…?」
「付き合ってもいいよ。」
突然の意外すぎる言葉に腰を抜かしそうになった。裕一郎は無表情のまま私を見ていた。