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一也くんと言う宇宙

「今日はありがとね」


既に夕焼けが差し掛かってきて、美優と一也くんの影を東へと伸ばしていた。

美優の家まで送ってくれた一也くんは、美優の頭に優しく触れて、目を細めた。


「美優と一緒にいられて今日もすごく幸せだった。だけど、美優と離れるこの瞬間が何よりも辛いよ。だったらこんな風に一緒にいなければ良かったのかな?って矛盾が生じるよ。24時間美優と二人だけで過ごせる世界があるのなら今すぐにでもそこに行きたい、大好きだよ、美優」


学校帰りもデートの別れ際も一也くんはいつも同じ事を言う。

その言葉を聞くと、美優は心の底から嬉しくなると同時に悲しくなる。

この広い世界で一也くんに出会えた事、そして、一也くんに好きになってもらえた事、それは奇跡。

しかも、今日は美優にとってファーストキスをしてしまったとてもとても愛しくて忘れられない一日になった。


「美優も。美優も一也くんと離れたくない」


好きな人と同じ時間を一緒に過ごすだけでも幸せなのに、もっと一緒にいたいなんて欲張り過ぎだ。


「ごめん。美優にそんな哀しい顔させるなんて最低の彼氏だよな、明日バイトが終わったら会いに来ていい?」


日曜日は一也くんのバイトの日だから、会えないの分かってる。

一也くんには夢があるらしく、その夢のためにはたくさんのお金が必要らしい。

だけど、勉強も全力で取り組む一也くんがバイトする余裕があるのは日曜日だけだ。

日曜日は朝から夜までバイトに時間を割いている一也くん。

一週間のうち一也くんに会えないのはその日曜日。

一也くんはその夢が何なのか美優にはまだ教えてくれないけど、一也くんが頑張っているのなら美優は応援したい。

たとえ、どんなに寂しくてもそれは仕方の無い事だ。

だから…。


「…。大丈夫。月曜日また一也くんに会えるのだから大丈夫!明日頑張ってね!」


そう言うと急にギュっと強く抱き締められた。


「大好き過ぎて壊してしまいたくなる。美優を目の前にするとたまに制御できなくなるよ、もう一度キスしたい、でも、もう一度キスしたら美優が本当に壊してしまうのではないかって怖くなる。美優大好きだよ」


一也くんの香りに包まれていると意識が遠くなる感覚になっていく。

このまま一也くんの中で溶けてしまうのではないか?

一也くんと言う宇宙の中で、美優はフワフワと無重力をさ迷っている感じになる。

一也くんと出会うまでこんな風な気持ちになる事一度だって無かった。


家に入り数分後にLINEが鳴る。


このタイミングも絶妙だ。

美優がちゃんと手洗いウガイも済ませ、居間のソファーに腰掛けたその時が分かっているかのようだ。


『今日も可愛い美優に会えて嬉しかった。いつも美優の事ばかり考えてるよ』


すぐに返信してスマホを閉じる。


一也くんは美優からLINEの返信が少し遅れただけで、不安になってしまうから。


一也くん曰く、美優からすぐに返信来ないと気が狂いそうになるらしい。

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