表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/13

一也くんが大好きだよ

一也くんからの突然のキスを受けて、美優の頭はパニックになっていた。

美優ファーストキスしちゃった。

ゲームセンターの騒音が全く耳に入らない。

どうしよう?どうしよう?

恥ずかしさよりも、この場をどうしていいかが分からなくなり、目を何度もパチクリしながら、今のは夢だったのでは無いかとも思ったが、唇にまだ温もりが残っている。


だけど…。


キスをしてきた当の本人の一也くんは美優よりも慌てていた。

一也くんはぐるぐると美優の周りを回って、ただただ同じ言葉を何度も繰り返していた。


「あ…え…あ、オレ、何て事…。あ…え…あ、オレ、何て事…」


その姿はいつも冷静沈着な一也くんからは想像もつかなかった。



「か、一也くん」


美優の声も耳に入らないようで、同じ動きを繰り返している。

一也くんに美優の声が届かない事なんて初めての事だった。

一也くんは、どんなに遠くにいても美優が呼べば必ず答えてくれるはずなのに。


「一也くん!」

挙動不審の一也くんの両手をぎゅっと握り締め、彼の目を覗き込んだ。

落ち着き無く動いていたカサカサの目が美優に気が付くと、次第に色を取り戻し、いつもの一也くんに戻っていく。


「あ、オレ…」


「一也くん大丈夫?」


美優の問いにコクンと頷いたものの、その後の言葉が続かず、手を顎に置いたまま美優をじっと見た。


「ごめん」


「ごめんってキスの事?」


その単語に極端に反応し、耳まで真赤にして、ブルブルと首を振った。


「まぁ、まぁ…。確かに、その突然ごめん。ファーストキスはもっと考えてしたかったのに…。頭に血が上ってた…」


そこで、一也くんは言葉を区切り、長く伸びた前髪に手を触れると、いつも隠れている片目が見えた。


「美優にはオレだけを見ていて欲しい。今もこれからも…。オレ、こう見えて嫉妬深いんだ。本当言うとクラスメイトにも美優の友達にも…。美優の家族にも嫉妬してしまうんだ」


…すごい、人にこんなに愛される事ってそんなに無いよね?


美優、めちゃめちゃ愛されてる!


「大丈夫だよ、美優は永遠に一也くんだけのモノだよ!」


「美優…」


「さっき一也くんが聞いた事に答えるね!美優は一也くんの事大好きだよ」


そう答えると一也くんは心から安心したように、ふわりと笑った。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ