テスト一日目
学校中に鳴り響くチャイムが本日の授業の終わりを告げた。
終わったーー。
まず一日目のテストが終了した安心感で、私は机に顔を伏せた。
その瞬間、魂が抜けるのを感じる。
今回のテストいつもより難しくてほぼ白紙だった…。
これは赤点取ってしまうかもしれない…。
今朝、一也くんは、美優が同じ大学に行けなかったら結婚しようと言ってくれたけど、美優が想像以上のバカだと知ったら嫌われてしまうかもしれない。
それは絶対にイヤだ。
一也くんに嫌われるだけは絶対にイヤだ。
だけど…。
しばらく落ち込んでいたものの。
今日終わってしまった事はもう仕方ない。
明日のテストを頑張ろう。
と開き直って顔を上げると。
「わ」
目の前に一也くんがいてかなり驚いた。
「テストお疲れ様、はい、頭使ったから糖分取って」
と言ってキャラメルを差し出してくれた。
しかも、美優の好きなアーモンド入りのキャラメル!
「ありがとう、一也くん」
「ふふ。それにしても…」
と、美優の隣の席に座っている、中国人留学生の王くんを見てから続けた。
「王くんはとても羨ましい人間だな」
「ん?」
「だって、美優の隣で授業を受ける事ができるんだよ、最高の環境だよね、早く席替えして欲しいな…」
「一也くん!」
美優本当に愛されてる!
ただ席が隣のクラスメイトにもこんな嫉妬しちゃうなんて、何て可愛いの。
「大丈夫、美優は永遠に一也くんだけのものだよ」
あ…。
一也くんの言葉が嬉しくて、ついやってしまった。
幸せの余り、一也くんの手を握ってしまったのだ!
その瞬間、真白な顔を真赤にさせて、某アニメに出てくるスーパーサ⚪ヤ人のように髪の毛を逆立てて(あくまでも比喩です)、瞬き1つせず固まってしまった。
「か、一也くん?」
「あ…え…と、ごめん」
手を慌てて離した一也くんは動揺で立ち上がれたものの、おぼつかない歩き方であちらこちらの机にぶつかりながらその場を去り、廊下の方に向かって行ってしまった。
大丈夫かな?一也くん。
まぁ、一也くんの事だから、少し時間置けばまたいつもの冷静な一也くんに戻るはず。