表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

ピッキング犯

作者: 潮路

・までが問題編、・以降が解決編のような構成。

 街中を歩いていると、アパートの部屋の前で怪しい行為をしている男を見つけた。

 こそこそと扉の前をいったりきたりしている。

 最初のうちは、友人でも待っているかとも思えたが、特に連絡をすることもなく、身をかがめて、扉を舐めまわすように見つめている。

 これで不審と思わない方がおかしい。

 しばらく様子を見てみると、男の指先に針金らしきものがちらりと見えた。


 もしかしてこれは、ピッキングというやつではないのか―――


 私は即座に警察に電話を掛けた。


 数十分して、鍵穴に針金を差し込み続けていた男に、警官がやってきた。

 ある程度の距離があるため、話し声は聞こえない。

 ピッキング犯の仕草からして、身分証明等をしているように見える。

 警官はしばらく話をし、最終的に男と一緒に階段を降りて行った。


 おそらくは連行されたのだろう。これで凶悪犯が一人減ったと、私はほっとしていたのだが……


 数日後、ピッキング犯と再会した。

 あろうことか、あの時のように街中を歩いている時、あのアパートの部屋で。

 しかも、今回は事情が違う。出会った時、男が部屋の扉を開け、出てこようとしていたのである。

 頭の中に疑問符が多数浮かんだ。 


 男は捕まったのではなかったのか?

 警官がグルだった、なんて考えにくいだろうし。

 初犯だから厳重注意だけで終わったにしても、こんなに早く、しかも同じ場所で再犯するだろうか普通。

 そもそも、男はどうやって入った?

 今のご時世にピッキングは厳しい気がする。

 鍵の構造的に、現在存在する大半の鍵穴に対して、ピッキングは通用しないという話をテレビで聞いた。

 鍵を盗んだか、それとも複製したのか。

 よほど、男にとって重要なものが、部屋の中にあったということか?


 考えれば、考えるほど分からなくなった私は、警察に電話した。

 しかし、犯行場所であるアパート名を伝えた瞬間、受付の警官が口を開いた。


「ああ、いいんです。その人は……」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



 男は相当に用心深い性格だったらしい。

 それ故、部屋の鍵の扱いにはかなり困っていたようだ。

 衣服のポケットに入れてもスられる可能性がある。

 カバンの中に入れても、ふとした拍子にひったくられるか、落としてしまうか。

 そもそも屋外に持ち出す以上、紛失してしまう可能性は、どうしても避けられないのだが。

 かといって、施錠せずに部屋を出るなんて、もってのほかである。

 鍵をかけ、なおかつ安心して鍵を管理するには、どうしたらいいのか。


 事件の日、男はようやく解決策を見出した。


 ドアを施錠した後、男はその鍵を、扉の前にある新聞受けの中へと入れたのだ……


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] オチは読めませんでしたね。まさかの(笑)いやあ何というバ○なんでしょう。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ