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2×××年8月2日(月):油断大敵(山吹)

※去年の変更内容については削除しました。

2016.05.12 取得AP等変更した為、修正しました。

「じゃあ、俺達は狩りに行くから」

 全員フレンド登録が終わったのを確認した後にルートさんがそう言ったから、うちは驚いた。

「雨降ってんのに?!」

「雨だと得な事でもあるんですか?」

 それなら行く理由になるなと、牡丹さんの質問が肯定されるのを想像する。

「βテストの時は天候の変化は無かったので、分かりません」

 あれ?

「なるほど。何か変化が無いか確認に行くんですね」

 そっちか!

「いや、ジャイアント・キラーラビットを倒そうと思って」

「何でやねん! 雨降ってんねんで!」

 別の日で良いやん。

「この程度の雨、大した事は無い」

 グレープさんの言葉に、飛鳥さん達が頷いた。

 これって、フラグか?

「ん~……ほな、気ぃ付けてな。視界悪いし」

 本人達が良いなら、うちは生温い目で見送るか。

「滑ると思いますので、気を付けて」

 牡丹さんも引き留めなかった。



「うちは掲示板見るけど、牡丹さんは?」

「私は……生産施設に行きます」

 そう言えば、牡丹さんが【陶芸】覚えたんは、雷音さんから聞いとったからかな?

「牡丹さんは、イベントリ空き在る? うちは九在るけど」

 ランク違いで埋まってしまう事を思い出して、尋ねる。

「鞄ですか? ……昨日料理が売れたので、五つ空いてますね」

「五つしか空いて無いって、大丈夫なん?」

「……まあ、倉庫が在りますし」

 在ったな~。借りるしかないかー。でもなぁ……。

「でも、たった二十種類やないの。鞄が製作出来れば、解決すんのにねえ」

「……アビリティ有りますから、材料さえ有れば作れますよ」

「ほんま?! で、材料は何?!」

 悩みが解決しそうな興奮に、うちは牡丹さんに詰め寄る。

「生産施設に行かないと見れないので……」

 そうやった。

「……レシピ確認に五百ジェルか。たっかいな」

 全く、【エール】は不便や。……不便と言えば、前にVRゲームボックスでやったMMOも不便やったな。

「まあ、仕方有りません。じゃあ、確認して来ます」

「行ってらっしゃい。この辺で手に入る素材だけやと良いねんけど」

 特典APが無かったら取得まで時間かかるアビリティなんやろうし、必要な素材もこの辺で採れる物だけとは思えんなぁ。

「ですね。行って来ます」



 牡丹さんが生産施設に移動したから、うちはサポート天使から見て右側のベンチに座って、先ず【陶芸】を覚えた。自分で作れば、ジェルの節約になるやんなぁ。

 次に、掲示板を表示した。

 『攻略スレッド』や、『隠し・進化・統合アビリティ総合スレッド』を読んで、幾つか分かった事が有る。

 先ず、引き継ぎ特典APは、ログイン時間でも取得APでもなくログイン日数に比例して貰えたと言う事。極端な話、ログインして即ログアウトしても、日数さえ多ければ最大1200AP貰えたんやな。

 さっき、サフランさんが愛守姫に『頑張った覚えは無い』と言うとったけど、ログイン時間少なかったんかな? まあ、【スペシャル】を覚えられる程度には頑張ったんやろうけど。

 次に、【回復魔法】以外の魔法アビリティでも回復魔法を覚えられると言う事。

 うちが覚えとる【風魔法】では、Lv10で覚えるらしい。

 後は、ギルドの設立条件とか。



 それにしても、牡丹さん、まだ戻って来ぉへんって事は、鞄作れたんかな? 作れたとしたら、どんな鞄やろ? Lv1ならポシェットかな?

 そんな事を考えながら、スレッドリストを流し見る。

 ん? 『鞭でぶたれたい紳士達の社交場』?

「戻りましたー」

 牡丹さんの声に顔を上げる。

「お帰りー。直ぐに戻って来ぉへんかったっちゅー事は、もしかして、作れたん?!」

 変なスレタイの事は忘れて期待して尋ねると、牡丹さんは身体を捻って背負ったリュックを見せてくれた。

「リュックか~。ポシェットかと想像しとったわ~」

「ポシェットも作れたんですけど、こっちの方が容量大きかったので」

「へー。どれぐらい?」

 五十ぐらいかな?

「『キラーラビットポシェット』は十二枠・『キラーラビットリュックサック』は百五十枠です」

「……聞き間違ったかな? 百五十?」

 想像したのの三倍やないの!

「はい。百、五十、です」

「嘘ぉ!? ほんまに?! ……はっ!?」

 大事な事を忘れとったわ! 需要と供給によって値段が上下するんやから……。

「って事は、値段は……?」

 冒険者鞄なんやから、それだけで普通の鞄より高い筈。……十万以上かな?

「な、七桁……」

 露店を開いて値段を確認した牡丹さんが、申し訳なさそうな顔でそう言った。

「……百万越え?! ほんまに?!」

 稼ぐのに、何日かかるんや!?

「間違い無いです」

「う゛~。欲しいのに~。サポート天使に借金するしか……」

 倉庫には限りがあるし、無利子やしなぁ。

「あ! もっと沢山作ったら、安くなるんちゃう?!」

 作れるのが一人だけでも、量が多ければ値段は下がる筈!

「そうかもしれませんね。因みに、現段階で百個近く作ってあります」

「百個?! 昨日、随分倒したんやな~」

「あ、いえ。『採集量増』のお陰で……」

「へ~。そんなアビリティもあるんやね」

 それなら、千個ぐらい直ぐに作れそうやな。千個あれば全員買えるし。あ、でも、採集系アビリティ覚えてへん人には必要無いか。

 そんな風に考えていた時、メッセージが表示された。


<『ジェイク』さんから『ウィスパーチャット』です>


 『モバイル』を取り出し、通話ボタンを押して耳に当てる。

「はい?」

『山吹さん。回復魔法が使えたら、来てくれませんか?』

 多分、苦戦しとるんやな。

「ごめん。覚えてへんわ」

『じゃあ、仕方ないですね』

「サフランさん達の所に、行って来ます!」

 牡丹さんにもサフランさんからチャットが来ていたようで、雨の中に駆け出して行く。

「うちも行くわ!」

 戦力にならなれると思って、うちは後を追った。


 戦闘は終わったようで、西門まで来ると六人の姿が見えた。

「どうして、私がサフランに肩を貸して上げなければならないんでしょうね?」

 サフランさんに肩を貸しているジェイクさんが、ぼやく。

「血塗れになりたく無いって言ったの、お前だよな?! 換わってやろうか!?」

 不満たらたらのジェイクさんに、銀河さんを背負ったルートさんが怒鳴った。

 グレープさんは無言で飛鳥さんを横抱き――お姫様だっこ――にしているけど、よく此処まで運べたな~。アビリティのお陰か。リアルなら腰傷めるで。

「ファーストエイド!」

 牡丹さんが回復魔法を使った。

 ファーストエイドってどんな意味やったっけ? 確か……応急処置?

「間にあったか……。ありがとう、牡丹さん」

「どう致しまして」

 うちは、グレープさんが牡丹さんに言った言葉で、彼等がHPが徐々に減る系統の状態異常にかかっている事に漸く気付いた。ステータスを見ると、飛鳥さんと銀河さんが『出血』の状態異常になっていた。夜の闇と雨で気付けへんかったけど、出血してたんか!

「レベル足りんかったんか? 何でこんな無茶したの!?」

「レベルは足りてた筈だったんだよ。……余計な所だけ、変更しやがって!」

 うちの言葉に、ルートさんが悔しげに吠えた。



 テントに戻って、中のベンチに飛鳥さんと銀河さんを寝かせる。

 『出血』は時間経過では治らんって、厄介やな~。

 牡丹さんが、何故か飛鳥さんと銀河さんに上半身裸になるよう言わはった。二人が従うと、鎧は切れてへんかったんに、ばっさりと皮膚が切れとった。

「傷を見てどうすんの?」

 牡丹さんに尋ねる。

「……誰か縫いますか?」

 とんでもない事言いおった! 冗談に聞こえないんやけど!

「麻酔は?! 無いんッスよね!?」

 銀河さんが、ガバッと身体を起こして抗議した。

「落ち着きなさい。それ以前に糸が有りません」

 ジェイクさんが宥める。

「良かった。ジェイクさんなら縫うかと思って……」

 本気で縫うと思われとるって、ジェイクさんってどんな人なの?

「牡丹さんが【回復魔法】を使い続ければ、その内レベルが上がって状態異常を治せるようになりますよ」

 サフランさんが安心させるようにそう言った。

「レベル幾つで覚えるんですか?」

「分かりません」

「『死亡』して『復活』した方が早いですよ」

 ジェイクさんが身も蓋もない事を言う。

 それが嫌やから、何とかしようとしてるんやん。

「嫌ッス。折角の経験値がペナルティで減るじゃないですか」

「称号も要らないです」

 銀河さんと飛鳥さんが『死亡』したくない理由を口にした。

 それにしても、レベル幾つで覚えられるか分からへんって、困る~。

「タイミング悪いなぁ。牡丹さんから冒険者鞄買いたいのに」

「幾らですか?!」

 思わず呟くと、サフランさんが反応した。

 何か採集系アビリティを持っとったんか。皿の為に【採掘】かな?

「えっと……」

「百万ジェル以上やって。せやから、千人分作って貰えば安くなるかもって話してたんやけど」

「あ、なら、牡丹さんがサポート天使から借金して皆から材料を購入して、売上金から返済すれば解決ですね!」

 サフランさんのアイディアで問題解決やな! やっぱり、怪我人を連れて狩りに行くのはどうかと思うし。

「材料が集まりきるまで、状態異常回復魔法を覚えられると良いですね」

 ジェイクさんが盛り上がりに水を差した。



 濡れた服はサポート天使が無料で乾かしてくれると聞いたので、頼んでログアウトした。

 明日は晴れやって! あー! 良かった!

メインアビリティ

 【飛行】Lv3(移動不可)

 【総合強化】Lv5→9 【カウガール】Lv3 【気配察知】Lv5→9

 【解析】Lv5→9 【暗視】Lv5→9 【風魔法】Lv3

 【採掘】Lv4 【料理】Lv4 【採取】Lv1


控え

 【調教者(テイマー)】Lv1 【支配者】Lv1 【ヘアドレッサー】Lv1

 【撮影】Lv1 【陶芸】Lv1


AP:19→9→25(+16)

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