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布団を取り入れに庭へ出たこと
布団に猫が小便をしたので、庭へ干している布団を取り入れに出た。既に夜なので玄関は暗い。靴が揃っていた。妻は良くやっていると思う。
さて、玄関の戸に手をかける。まだ幼い末の子が勝手に外に出ないように鍵を掛けてある。鍵を外す。この引き戸に関しても私一人でのことでなく、叔母と祖父が関わっているが、いつか書く機会があれば書くことにする。それよりも庭へ出よう。
戸を開けて庭を見ると、明るい。月の夜だ。昨日もそうだったが、忘れていた。昨日思ったことだが、こんなに月が明るいのなら、人工の明かりと云う明かりを全て消してしまって、月と星の明かりだけで暮らしたらいいのにと、馬鹿な考えをしていた。
庭にある物干し台に登る。細い階段で登る。この階段も明るい。妻はこの階段を憎んでいる。母も継母もここが嫌いだと言っていた。祖母は黙って登っていた。
物干し台には、布団はなかった。庭を見下ろすと、そこに干してあった。いつもこんなことだ。私の眼は、自他ともに認める節穴の眼だ。きっと、大事なことばかり見落としているのだろう。
14.11.4 初稿