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手乗り魔女と異世界からきた弟子  作者: 若桜モドキ
森の中の生活編 -2-
30/74

30.お肉の美味しい食し方 タレ編

 今日の料理当番はお師匠だ。

 何でも、知り合いの猟師に丸々とした鳥をもらったらしい。

 その筋のプロによって捌かれた鳥は、僕がやるのとはまるで違うものに見えた。生前の姿はさっぱりとわからないけれど、肉としての形状は、まさに七面鳥といった感じだろうか。

 そう、師走のシーズンにテレビの向こう側に拝むばかりのアレだ。


 ……そういえば、一度食べてみたいって思ったなぁ。


「さーてと、セラもちょっとはお料理できるんだからねー」

「わかってますよ、それくらい」

 直々に教えられたのだから、さすがにそれはわかってる。

 大人サイズのキッチンは、小柄なお師匠には少々大きすぎる感じだけれど、二つほど設置された踏み台の上を軽やかに行き来することでカバーしている。とはいえ足元が危なっかしい。


 ……今度、もう少し大きい踏み台を作ろうと思う。


「で、その鳥肉はどうするんです?」

「やっぱり丸焼きだよぅ。……ってことで、弟子くん弟子くん、ハーブとってきてー」

「肉料理に良く使うアレですか?」

「そー、あれー」

 わかりました、と僕はキッチン脇の扉から外に出る。この世界にも勝手口というものはあるようだ。扉の向こうには、僕が来る前からあったハーブ畑がある。


 まぁ……畑というか素焼きのプランターが並んでいるだけ、なんだけれども。

 そこから鳥肉料理で良く使うハーブを収穫する。

 結構な量が必要になるかもしれないので、少し多いかなってぐらい。


「お師匠、採ってきました」

「んとねー、じゃあ弟子くんにはタレを作ってもらおうかなー」

「タレ、ですか」

「そだよぅ。まずハーブを適当にちぎってねー、それを調味料の中に入れるのー。調味料はワインとか塩コショウとか。ニンニクも必要だねー。あと、セラは隠し味にこれを入れるの」

 と、お師匠が取り出したのは――。


「タマネギ……と、果物?」

 丸々としたタマネギと、昨日木からもいできたばかりの柑橘系の果物。


「そそ。これを摩り下ろすんだよぅ。果物は搾るの」

 その後、他の調味料を全部混ぜてしばらく置いて、火にかけてワインのアルコールを少し飛ばすんだとか。ちなみにタレはタレでもつけるのではなく、漬け込むためのものらしい。

 タレ改め漬け汁は、肉の中に詰めるものと混ぜてしまうとお師匠は言う。

 つけたりかけたりするタレは、別に丁寧に作るんだとか。



「あ、でも弟子くんはコドモだからワインは触っちゃメーなの。セラがやるよー」

「じゃあ、僕はタマネギをやっときますね」

 とりあえず僕は袖をまくって、お師匠の隣で作業を開始した。

 さぁ、どんな味になるんだろう……楽しみだ。

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