表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
手乗り魔女と異世界からきた弟子  作者: 若桜モドキ
森の中の生活編 -2-
26/74

26.巨大野菜の恐怖

 見よう見まねもバカにできないと、僕はこの世界に来て常々思っている。


 百聞は一見に、とは言わないけれども、見るだけでも見ておくと意外と何とかなったりするものだ。特に意味もなく、畑をいじくる番組を見ていた過去の自分を、僕は褒め称えた。

 ある程度『見まね』ができるなら、そこからは日々の積み重ねと経験でカバー。

 そうして作られ、日々拡張される僕の家庭菜園。素人臭いながら、そこそこ見栄えも良くまとまっていると自負している。お師匠も、弟子くんは凄いねーと褒めてくれるし。


「ふぅ……こんなもんか」

 僕はスコップを傍らに置いて、真新しい畑を眺める。


 この前、ミーネさんから購入した野菜の種を早速植えてみた。その形状と味などから、ソレがタマネギに限りなく近いものであるとわかり、少々調子に乗って多めに植えた。

 タマネギはいろいろと使い道があるし、そこそこ保存が利く。

 多めに作っても、消費するのに苦労はしないはずだ。


「おつかれさまー」


 お師匠が僕のそばに飛んでくる。少し顔がすすで汚れていた。どうやら『お仕事』をしていたらしい。ハルがいる間は、危ないからとやめていたのを、最近再開したところだ。

 この畑も本当は、ハルと一緒に作業しようと思っていたのだけど……仕方ない。

 今頃はがんばって勉強しているのだろうか。

 便りがないのがなんていうけれど、落ち着いた頃合に手紙を出そうと思う。向こうもこっちを心配しているかも知れないし、一番近くにいる知り合いは、たぶん僕とお師匠だ。

 パメラさんはシェルシュタインの里にいる。

 海の向こうはあまりにも遠い。

 ちなみに手紙のことはまだお師匠には何も言ってない。あくまでも出してみようかなって感じだし、直接会いにいけるならそっちの方がいいかもしれないとか思ったりもしている。

 どっちにせよ、お師匠を経由して準備することになるだろう。だから忘れないうちに話しておこうと思ったけど、お師匠はどうやら目の前のご馳走予備軍しか入っていないようで。


「ねぇねぇ弟子くん、ここには何を植えたの?」

「タマネギの一種だと、ミーネさんは言ってました」

「ふぅん……」

「タマネギはいろいろ使えますから、料理のしがいがあると思いますよ」

「そーなの?」

「えぇ。焦げない程度に焼いて煮込んでスープにしたり。あとは他の料理に『隠し味』として混ぜてみたり。薄く切って水にさらして、サラダに入れるのもいいですよね」

「……いいねぇ」

「魚にもあうと思いますよ」

「お魚なら、手に入るからおいしく食べられそうだねぇ」

「たくさん植えましたからね。いろいろチャレンジしてみましょうか」

 と、まだ芽も出ていない畑を眺め、ニヤニヤする僕らはさぞかし不気味だろう。



 この後、タマネギが実ったのはいいけど、大きさが僕の顔ぐらいあるとんでもない品種だと知って、チャレンジし続けるもすぐにネタ切れを起こすという悲劇を味わうのだけど。

 それはもうちょっと先の話になる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ