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手乗り魔女と異世界からきた弟子  作者: 若桜モドキ
森の中の生活編 -1-
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1.お師匠はかわいい

 僕のお師匠の名前はセラだ。妖精種だから、とても小さい。蝶のような形の、少し透けて光っている羽を持っている。その羽がある時は、だいたい手のひらに収まるほどの大きさだ。


 何でも、妖精種が持つ背中の羽は、彼らの魔力の塊らしい。


 だから優秀な魔法使いに妖精種が多いのは、生まれ持つ魔力の量が他と比べて桁違いだからということなのだという。まぁ、姿を容易に変えられる種族なのだから、当然ともいえる。

 羽がないと、少女と言われるぐらいの大きさだ。本当の姿というわけではないが、小さい方が身体に負担がかからなくて楽なのだそうだ。妖精種はとても大変なんだ、とお師匠は言う。

 確かにそよ風にさえ少し飛ばされかけているのを見ると、大変なのは理解できる。


 とはいえ、魔法の実験をするときは、羽を消して大きい姿になる。さすがに強風に飛ばされるような小さい姿で、すり鉢で材料を砕いたり、大釜の中身を混ぜるとかはムリらしい。

 そんなお師匠は、窓際の一番好きなポジションで読書中だ。

 もちろん小さい姿で。

 時々、その青い瞳を星のようにキラキラさせている。ちなみに、熱心に読んでいるのは魔法書じゃなく、恋愛小説らしい。わざわざ魔法で、小さい姿でも読めるように縮めている。

 表情がコロコロ変わるお師匠は、見ていて何だかほほえましい。


 全体的に、お師匠は白い。そして薄青い。

 白いのは服で、髪や瞳は薄く青い。

 瞳の色は少し濃くて、肌はとっても色白だ。


 手足はほっそりしていて、でも柔らかそうな感じがする。もちろん見た印象で、実際は分からない。触ったことがないし……握ったことはあるけど。突風に飛ばされかけてた時に。

 お師匠はいつもひらひらしたワンピースを着ている。すごくぺらぺらで、普段着というより寝巻きのような感じだけれど、この辺はあまり寒くならないから、薄くても問題ない。


 けれど、目に毒だ。


 ワンピースの丈はとても短くて、太ももが半分以上露出している。少し風が吹くとめくれてしまいそうで、というかめくれるようで、お師匠は風が吹くといつも必死に抑えていた。

 あまりに強いと、僕のところまで転がるように飛んできて、そのまま服の中に入る。ちょっと寒いときもそうやる。まるで猫のようだ。かわいい。撫で繰り回したくなる。

 もちろん、そんなことをしたら、機嫌を損ねるのでしないけれど。

 でも、ちょっと脳内でやってみるだけなら――。



「弟子くん、どしたの? なんかにーやにやしてるよー?」

「いえ、何でもありません」



 今日もお師匠はかわいい。

 とりあえず、今日のおやつはお師匠が好きな焼き菓子にしよう。


 きっと喜んで、笑ってくれるはずだ。

 僕が好きなあの笑顔を、浮かべてくれるはずだ。

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