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2 一人暮らし(仮)の初夜

 午前二時。


 俺はコントローラーを握ったまま、意識が沈みかけていた。

 画面の中では勇者が倒れ、村人が「残念です」と棒読みで突っ立っている。


 ……うるせえ、もう寝るんだよ。


 パーカーをかぶってダンボールの上に寝転がる。


 ……ああ、背中痛ぇ。


 でも、誰にも「ちゃんと布団敷きなさい!」って言われない。最高だ。


 目を閉じると、外から虫の鳴く音。

 冷蔵庫が「ぶうう」と唸る。

 静かな夜。完璧な一人暮らし初日。


 ――の、はずだった。


 カサ……。


 耳元で小さな音がした。


 ……ネズミ? いやいや、いくらボロいからってそんな。


 多分、風か――風だ。


 パーカーを深くかぶって、再び眠ろうとした、その瞬間――


 ――コト。


 キッチンから、確実に何かが動く音。


 次の瞬間、冷蔵庫のドアが「パタン」と閉まる音がした。


 心臓がぎゅっと縮む。


 なに、いまの。


 マジで今のなに。


 だれかいるのか? 俺んちの冷蔵庫、勝手に自立した? IoTの進化早すぎじゃね?


 恐る恐る体を起こす。

 暗闇の中、スマホのライトをつける。


 キッチンの先、何もいない。


 だけど、冷蔵庫の近くから、妙な冷気が漂ってくる。


「……やべえ。引っ越し早々、出たか……?」


 昨日の大家の言葉が脳裏をよぎる。


『ちょっと味がある』とか言ってたけど、これ、ホラー風味だよな?


 もうダメだ。寝よう。寝たら全部リセットされる。RPGと一緒。


 そう言い聞かせて、寝返りを打つ。


 ――朝。


「ふぁ……あ。あー、やっちまった。床、痛ぇ……」


 パキパキと背筋を鳴らしながら、洗濯物を見に行く。


 昨日干した分、片づけないと。


 ベランダに出ようとした俺は、その場で固まった。


 Tシャツが、きれいに畳まれていた。


「……おい、誰だよ」


 声が出た。


 白いTシャツ、畳まれてる。しかも、サイズ別に。


 ズボンもちゃんと形を整えて置かれてる。


 洗濯物って、自動で畳まれたっけ? AI進化してる? 家電革命きた?


「おかしいだろ……!」


 脳内で『ドッキリ大成功』のBGMが流れる。

 でも、仕掛け人も観客もいない。


 あの大家が夜中にこっそり? いや、七十代の脚力でベランダ侵入はホラーだ。


「やばいやばいやばい……」


 とにかく証拠を残そう。


 この時代、困ったらスマホ。


 俺は慌てて動画モードを起動し、試しにカメラを部屋の角に固定する。


「これで、もしまた洗濯物が動いたら……撮れる!」


 我ながら頭いい。


 タイトルは「幽霊が畳んでくれるアパート」。


 ハッシュタグは――そうだ、


『#幽霊と暮らしてみた』


 これ、バズるな。


 バズる前に俺がバグるかもしれんけど。


        *


 その夜。録画をオンにして、スマホを三脚代わりのカップ麺ケースの上に設置。


 念のため、電気を消して就寝体制。


 ……うん、正直怖い。でも、証拠取れたらSNSでフォロワー増える。


『ホラー×一人暮らし男子』で伸びる未来しか見えない。


「……寝よ。絶対なんも起きんなよ……」


 翌朝。


「さて、確認っと」


 眠気まなこでスマホを再生する。


 画面の中で俺が寝ている。暗がりの部屋。


 数分、何もなし。


 十秒スキップ。


 ――何もなし。


 さらに十秒スキップ。


 ――お、ちょっとノイズ?

 ――いや、光?


 画面の隅に、淡い光の粒がふわっと集まる。


「……え?」


 光がゆっくりと形を取っていく。


 黒髪の、肩までの長さ。白いブラウス。膝丈のプリーツスカート。


 そして、信じられないほど整った顔立ちの少女が、洗濯物を手に取り、丁寧に畳んでいる。


 いやいやいやいや。


 なんだこれ。


 俺ん家の洗濯機、幽霊召喚機能付き?


 次の瞬間、彼女がこちらを見た。


 画面の中で、はっきりと視線が合った気がした。


 背筋がゾワッとする。


 そして、少女の唇がわずかに動いた。


『……人の部屋で、勝手に撮らないでくれる?』


「ッッッ!?」


 俺は悲鳴を上げてスマホを落とした。


 動画が止まり、画面が真っ白にノイズを吐く。


「……な、なんだよ今の……!」


 心臓がバクバク爆音で鳴ってる。


 呼吸が浅い。手が震える。


 でも、もう一度だけ確認したくて、震える指で再生を押す。


 映像は途中でプツリと途切れていた。


 最後に映っていたのは、彼女が――カメラのすぐ近くで、にっこりと微笑む顔。


「……幽霊、美人すぎない?」


この話を書き直しながら、当時の学生時代が脳裏に蘇ってきます。

本当にどうしようもねぇ生活だったなぁ、と改めて思います。

今では立派な社畜。趣味と称して書く小説もどきの文章のほとんどをエタりかけにするゴミクズカスです……。


というわけで、明日からも元気に投稿していきます!

よろしくお願いします!

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