【電子書籍配信記念SS】ローレンとレティアと精霊のお茶会
アイデジより電子書籍が配信されました。
お礼に幸せな家族のSSを書きました。楽しんでいただけますように。
それは、家族が庭で開催する小さなお茶会だ。
主催するのはローレン。
今日はお呼ばれ用の服でおしゃれして、自慢気に席に座っている。
庭には小さな白い花がたくさん咲いている。
風が甘い香りを運んでくる。
もしかすると、精霊がもたらした風なのかもしれない。
「ようこそ いらっしゃい ました!」
「お招きいただきありがとう、ローレン」
「素晴らしいお茶会だ。招待いただきありがとう、ローレン」
私がドレスのスカート部分をつまんで礼をする。
アレンディオ様も礼をすると、ローレンは父親の動きを真似た。
チョコンとお辞儀する姿は、何とも可愛らしい。
――マナーを覚えるのに、遊びを交えるのは丁度良い。
といっても、ローレンはようやく三歳になったばかりだし、レティアもまだ半年。
レティアは、赤ちゃん用のベルト付きの椅子にようやく座れるようになったばかりだ。
あまり難しいことを言わず、今は楽しむことを優先してもいいだろう。
「あれ、精霊さんたちも参加するの?」
イタズラ好きな風の精霊が、レティアの頭にのっている。
まだ、ちょっとしか生えていない髪の毛がフワフワと風にそよぐ。
レティアが右手を挙げて、何かを掴むような仕草をした。
今回も掴まってしまったのは、黒いまん丸の闇の精霊だった。
闇の精霊は、レティアの手から逃れようとしているが、彼女はご機嫌でますます握る手の力を強くする。
そのとき、彼女の手がキラキラと輝いた。
現れたのは光の精霊だ。
光の精霊は、一生懸命レティアの手のひらを開こうとしているようだ。
レティアは、光の精霊を掴もうと手を開く。
するりと闇の精霊が抜け出して、光の精霊と一緒に空へと逃げていった。
レティアがウルウルと目を潤ませる。
するとローレンが立ち上がり、レティアのそばに寄った。
レティアは、ローレンのことが大好きだ。
途端に笑顔になった。
「レティー」
「あーうー?」
二人が仲良くしている姿を見ると、いつも胸がキュンとときめく。
本当に可愛らしい……。
しかも二人は、大好きなアレンディオ様にそっくりなのだ。
ローレンとレティアが並んで座ると、精霊たちが再びそばに寄ってくる。
精霊たちは、並べられたクッキーや離乳食に興味があるようだ。
クルクルとお皿の上で精霊たちが回ると、キラキラとした光が舞い落ちる。
「綺麗ですね、アレンディオ様」
「ああ、美しいな――だが、美しいだけではないようだ」
「え?」
「あれは、精霊の祝福だ。おそらく、食べれば魔力が回復したり、軽い風邪なら治るに違いない」
精霊たちは遊んでいるだけのようだが……。
イタズラをしたり、祝福を与えたり、彼らは気まぐれに人の世に介入する。
「とはいえ、精霊は気まぐれだから、次にやってもらいたいからといってしてくれるわけではない」
「そうですか……」
治療薬に祝福を与えてもらえれば、と思ったがそう上手くはいかないようだ。
ローレンにクッキーを手渡し、レティアに離乳食を食べさせる。
二人ともニコニコと笑顔になった。
「クッキーおいしい!」
「そうね、こうしてみんなで食べると美味しいわね」
「……? いつもよりおいしい」
「え?」
食べてみると、確かにいつもより少し美味しいようだった。
風が強く吹けば、白い花びらが上から舞い落ちてくる。
家族で過ごす時間は、温かく幸せいっぱいだった。




