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星降る魔女の子供達  作者: ねぎとろ


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24/51

『一時休息』

 それから数分間、部屋では皆の思いの丈を聞いて涙する私の嗚咽だけが響き、それが止む頃にクロスは穏やかな笑みを浮かべながら立ち上がった。


「……ユフィ君。確かに君はカルマが言ったように我々を脅かす存在になるかもしれない。けれど、私としてもクルス達の覚悟を無駄にしたくないし、大事な隊員の想いを無下に扱いたくない。良い友を持った事に感謝し、これからはより一層大事にしなさい」

「っ! はい! 最高の友達で、大事な仲間です!」


 クルスとルーナ達の覚悟が認められた事により、クロスは最終的な判断を下した。

 そうしてまたしても生き延びる事が出来た私は、全員へと誠心誠意頭を下げる。


「クルス隊長も私なんかの為にありがとうございました。もし最悪の事態になったらその時はどうか……よろしくお願いします」

「大丈夫、最悪の想定なんてせずとも君ならきっと心配ないよ。……それに僕にとっては今君が殺されたり、死んでしまうのは困るからね」


 私にだけ聞こえる小さな声で言った後半の言葉は普通なようで何処か意味深に思える。

 けれども、感動している私が真意を考える事はなく、その時クルスがどんな表情をしているのかも確認する事はなかった。

 その後クルスが部屋を出た事で私達も自室へと戻ろうとするが、徐にクロスが声を掛けてきた事で立ち止まり、踵を返す。


「あぁ、そうだ。特殊部隊の諸君。君達は着任してから任務続きだったな。碌に休暇も取れていないだろう。ユフィ君は未だ危険な存在故に、今は残滓を討伐させる訳にはいかないし、一時休暇を取りたまえ」

「えっと、休暇……ですか?」

「そうだ。先は緊急事態だったとはいえ、近頃は残滓も落ち着いている。体を休めるのも隊員の務め。これからの為に力を蓄えてきなさい」


 休暇という言葉に反応し、ノーヴァが喜んでいる中でルーナがあり得ないとでも言うような顔で首を傾げている。

 恐らく、ルーナにとって隊員になったからには負傷して動けない限りは毎日任務をこなすべきだという認識なのだろう。

 勿論それも間違いじゃない。

 むしろ組織に所属している以上はある意味良い認識とも言える。

 けど、時には休むことも大切だ。

 総隊長が自ら休暇を取るように言ってくれているのだし、甘んじて受け入れるとしよう。


「だってさ、こう言ってくれてるんだから甘えちゃおうよ」

「わ、分かりました。心優しいお言葉ありがとうございます」


 危険性を考慮されて、というよりもクロスの気遣いによって図らずも休暇を頂く事になった私達。

 自室へと戻る最中もノーヴァの顔は終始嬉しそうであり、逆にルーナは困惑していた。

 メルクはメルクで一人考え事をしているし、各々休暇に一喜一憂しているといった様子だ。

 とはいえ、任務続きでボロボロになっている体は皆一緒で、浴場が視界に入ってしまえば私達の意見は一つに統一された。

 そう、まずはひと風呂浴びるという事だ。


「ユフィさんの胸――あれ? ない……?」


 浴場へと辿り着くや否や、ノーヴァが私の胸を触ろうとする。

 が、まるで自分のと比較するように交互に見つめた後、そっと目を逸らしながら呟いた。


「な、何を言って! あるよ! そりゃノーヴァちゃんには劣るかもしれないけど、メルクちゃんくらいはあるもん!」

「私を巻き込まないで下さい! 私だって小さいのがコンプレックスなんですから!」


 自分だけが憐みの視線を受けたくない。

 その一心でメルクも無理やり巻き込むが、どう見たってメルクの方が私より大きい。

 つまり、私の憐れさがより増していくという訳だ。

 許されない。そんな事あっちゃいけない。

 こうなれば、もう……。


「揉むしかない! 羨ましいんだよ! ぐぬぬ、ノーヴァちゃんのこの胸、どうやったらこんな大きさに……はっ! まさか遺伝!? 嫌だ、信じたくない!」

「ちょ、くすぐったいっす! って、そこはやめてください!」

「貴方達、何してるのよ。馬鹿な事してないでゆっくり浸かるわよ」


 一足遅れて体を洗い終わったルーナは私達のスキンシップを見て呆れながらスタスタと湯船の方へと歩いていく。

 前面しかタオルで隠されていない為に、後ろは丸見えであり、そのスタイルの良さに私達の目は釘付けになってしまった。


「はぁ、はぁ。ユフィちゃん。ルーナちゃんの方が良いんじゃない? ほら、今なら隙だらけだし後ろから……って、もう行ってる!?」

「ルーナちゃん! 隙ありだよ!」


 魔の手から逃れたい一心でノーヴァはルーナを差し出そうとしたが、それよりも早くに私の体は動いており、無防備な背中へと俊敏な動きで抱きついた。


「わ、私も触っても宜しいですか!? 胸は多少小さいですが、こんなにスタイルの良い人は見た事ないので、少しで良いのでお願いします!」

「メルクまで!? 何を言ってるの! やめなさい。怒るわよ! ほ、本当に怒るわよ!?」


 ルーナが何を言おうとも私は止まらない。

 メルクも好奇心に負けたのか参加しているし、ノーヴァだけがこの後の展開を読めているのか一人距離を取っている。


「――いい加減にしなさい!」


 耳を劈く怒声と本気の拳。瞬時に離れたメルクではなく、私に向かって放たれた拳は見事に腹へと直撃し、痛みに悶えながらゆっくりと湯船に沈んでいく。


「これは……本気のパンチだ……」

「さすが、容赦ないっすね~。メルクに当たってたら最悪死んでたかもしれないっすよ。ユフィさんで良かったっすね!」


 ノーヴァも若干怒っているのか、殴られ悶えている私を見た後にメルクへと良い笑顔を見せている。

 普段見せない顔をしているのか、メルクも気が引けているようだ。


「う、うん。なんか申し訳ないけどね……」

「メルクは良いのよ。すぐ離れたからね。ユフィは駄目。罰を受けて反省しなさい!」


 ルーナから腹パンという罰を受けた事により、体に力が入らない私は痛みに耐える事になるのだった。

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