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星降る魔女の子供達  作者: ねぎとろ


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第一章 『星降る子供達 Starry_down_children』

ちょっぴりダークなファンタジーになります!

よろしくお願い致します!

 ――魔女。それは生ける災厄。世界を滅ぼす存在。この世に存在することすら許してはいけない。

 出会えば殺され、魂を吸い取られる。

 見れば魅了され、操り人形にされてしまう。

 存在してはならない、生きていてはならない。滅ぼさなければならない。

 魔女に鉄槌を下せ。災厄を討ち滅ぼせ。生きていることが地獄だと思い知らせるのだ。


 ~『魔女の最期』~  著者 「―――」


「……うーん、誰が書いたのか汚れてて見えないなぁ。そうだ! シスターが来るから聞いてみよっと!」


 小さな蠟燭の光を頼りに、暗闇の中でひっそりと本を読んでいた私は、木の軋む音と規則的に聞こえるカツカツという足音、加えて揺らめく光に気付き、パタンと本を閉じた。

 もう間もなくやってくる人にさっきまで読んでいた本の内容を詳しく聞く為に。


「ねぇ、シスター。魔女は今も生きているの?」

「あらまぁ、勝手に読んじゃ駄目じゃない。あまり読んで良い本じゃないわよ?」

「ご、ごめんなさい。でも、どうしても気になっちゃって……」

「反省しているのなら良いのよ。それで、そうそう魔女についてだったわね。怖がらなくても大丈夫。魔女はもうこの世に存在していないわ」


 そう言って微笑むシスター。

 でも、私の不安の種は易々とは拭えない。


「そうなんだ。あ、で、でも、魔女って死なないんじゃ……」

「んー、詳しい事は私も分からないんだけど……あ、ほら、貴方が読んでいた本にも続きがあるでしょう? そこに書いてあるから一緒に読んであげるわ。今日は特別よ」


 説明することが難しいのか、苦笑いしたシスターは、私の手から本を取ると、読み聞かせるように声を出しながら読み始める。


 ――魔女に鉄槌を下すことを掲げた我らは、武器を手に取り、戦い始めた。

 魔女との戦いは数年、数十年続いた。それでも我らは諦めず、魔女を滅ぼすために戦いぬいた。友を守るために、家族を守るために、世界を守るために。

 地を砕き、海を割り、あらゆる災害を引き起こす強大な魔女に対して、我らはなんとか弱きことだろうか。

 だが、それでも我らは勝利した。弱く、脆い存在だとしても、我らは魔女を追い詰め、そして追い詰められた魔女は両手を天へと向けて広げ、灰の様に消えていった。

 残るは我らと、まるで我らを祝福するように流れる星々。

 我らは勝ったのだ。魔女に、生ける災厄に勝利したのだ。


「これでおしまいよ。ほら、魔女はいなくなったでしょう?」

 本を読んでもらった事で確かに魔女がいなくなった事は理解出来た。

 けど、それでも疑問は残ってしまう。

「ねぇ、シスター。これさ、消えたってことは……まだ生きてるんじゃ――」

「――それ以上考えちゃダメよ。貴方は大きくなったとはいえ私からしたらまだ子供なんだから。そうよ、もっと大人になればきっと分かるわ。とにかく、魔女はいなくなったのよ」


 まくし立てる言葉の数々に驚いた私は、これ以上雰囲気を悪くしたくないが為に、喉から出そうになる言葉を飲み込んで、頷いた。

 そして、少し話題を変える為に当初の目的を訊ねる。


「あ、あのさ、この本を書いたのって誰なの? ほら、ここが汚れで読めなくて……」

「ごめんなさい。私にも分からないわ。教会にずっと置いてあったみたいだから」

「そっか。残念。あ、読んでくれてありがとう、シスター!」

「ふふっ。どういたしまして。さ、そろそろ寝なさい。明日の礼拝に起きれなくなるわよ」


「はーい。おやすみなさい、シスター」

「えぇ、おやすみなさい」


 私の額にキスをしたシスターは、出来るだけ音を鳴らさずに部屋を出ていった。

 残された私はさっきまでの話が頭に残り、到底眠れそうにない。なにせ本に書かれていたのは、ただ消えたという事だけなのだ。

 無論、普通ならそれでいなくなったという事になるのだろうけど、どうにも私の中ではまだ魔女が生きているとしか思えなかった。


「――な、なんなのよ! こんな時間に何の用!?」

 眠れない私が魔女について考えていると、突然教会中に響き渡るほどの声が聞こえてきた。

 シスターの声というのは間違いないが、ただ訪れただけじゃここまで大声は出さない筈だ。

「……なんだろう。この胸騒ぎ。なんか、嫌な予感がする」


 シスターが心配。確かにその気持ちもあるけれど、それよりも心のざわつきに駆られた私はベッドから起き上がり、現場を見に行くことにした。

 けれど、歩みを進めれば進める程に鳥肌が立つように空気が冷たくなっていき、嫌な予感が心を支配していく。でも、私の歩みは止まらない。


「だからさっきから言っているでしょう!? ここには拾った子供なんて居ないって! ましてやそんな烙印を持っている子なんていないわ」


 扉の隙間から覗いてみれば、そこには茨鞭のようなもので縛られているシスターがいた。

 まるで拷問されるように締め上げられ、苦しそうにしている。

 ただ、それでもシスターは強気に反論していた。


「本当に? 嘘だったらこのまま殺しちゃうよ?」

「――っ! え、えぇ、本当よ。魔女の烙印を持っている子なんて居る訳ないじゃない」


 茨鞭を持つ女の子の額には、まるで星座の様な烙印が刻まれており、話を聞いている限りだと、どうやらこの女の子は同じような烙印を持っている人を探しているようだった。

 つまり、それは私の事を探しているという事だ。


 ――なにせ、私の体に生まれた時から()()が刻まれているのだから。

読んでくださりありがとうございます!

完結まで執筆済みなので最初のうちは出来うる限り毎日更新致します!

宜しければ感想の方お待ちしております∩^ω^∩

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