表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

『泡沫』

朝の光が、まるで記憶のかけらみたいに私の頬をなでていく。

もう慣れたはずの生活。

胸の奥が音を立てるように締めつけられた。


夢を見ていた。

丘の上、風が吹いて、いつものように笑っていた。


「元気にしてる?」


そんなの、ずるいよ。


「……また、会えたらいいね」

「それが夢の中でも?」

「君が覚えていてくれたら、それでいい」


目を覚ますと、私はひとり。

残るのは、涙の跡だけ。


そんなに泣いてたつもり、なかったのにな。


私は立ち上がり、顔を洗い、水を飲み、いつものように服を着る。

そしてドアを開けて、陽の差す道を歩き出す。


何も変わらない日常。

でも、私は知っている。

世界の形が同じでも、私の心は、もう元には戻らないことを。


それでも、今日も生きる。

夢の続きを見たくて。

いつかもう一度、彼に会えるその夜のために。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ