第7話:神降臨
女神の力、今ここに!
あたしは自分の作った世界にやってきていた。
(エルハイミ‐おっさんが異世界転生して美少女に!?‐:https://ncode.syosetu.com/n8908fk/)
あたしたち神は低次元である自分が創造した世界に自由に介入できる。
それは時間軸ですら自由にできる。
だから、その世界の歴史を挿げ替えることも容易ではあるものの、別の神にその世界を発表してからの改定はあまり喜ばれない。
とは言え、神々が見えないところでする分には問題はない。
「さてと、私がこの姿でこちらの世界に降臨すると、この世界の女神と出会わないように注意しなければですわね」
あたしたちが自分の世界に行くには、その世界に自分の依り代となるモノに憑依するか、こうして漫画の世界に自分の姿かたちを書き込むかのようなことをする必要がある。
今回は後者の方法でやってきているので、この世界を管理する女神と鉢合わせになるのはまずい。
下手に接触をしたらあれやこれやと要求されたり要望されたりとなり、面倒になるからだ。
なので目立たず面白そうなことを眺めるだけにしようと思う。
「とはいえ、何なのでしょうかしら、この死屍累々の屍は?」
時間軸は確か……
しまった、この世界で言う「魔人戦争」の時代だ。
ああ、アホな国王が召喚魔法で強力な悪魔を呼びだそうとして魔人が出てきて自国も滅ぼされた時だ。
となると、この姿の女神が発生する前か……
たしかこの時代のこの世界の女神は「天秤の女神アガシタ」だったはず……
「であれば、別に気にする必要はありませんわね? 下僕のライムとか言うのはまだ冥界の女神の仕事をしているはずだし、もう一人のレイムも魔人討伐に加担しているはずですわ。アガシタは確か……」
確か自分の分身を魔人討伐に介入させたので高みの見物を決め込んでいるはずだ。
まぁ、その辺はこの世界が滅びなければ構わないが。
「となると、勇者たちが魔人を討伐するのに右往左往していますわね…… 面白そうだからそれでものぞき込みましょかしら?」
あたしはそう言いながら勇者たちのいる場所へ行こうとすると……
『グルルルルルゥ……』
『マダニンゲンイル……』
『ニンゲンコロシテタマシイタベル!』
周りにいつの間にやらアークデーモンたちがいる。
そう言えば、今のあたしは気配を殺している。
多分普通の者ではあたしの正体には気が付かないだろう。
「ふう、まぁこんなの消し飛ばすくらいなら、ばれませんわね?」
『ガフゥッ!!』
あたしがそう言うと十数体のアークデーモンたちが一斉に襲ってくる。
こいつらは異界から召喚された別世界の住人。
精神体だけで来るのが多いので、基本こちらには依り代に憑依してこの世界の住人の魂を食らう。
厳密には魂の中に内包されている魔素を取り込むのだけど、魔素はこの世界を構築する元素。
あまりに他の世界に持っていかれるとこの世界が維持できなくなってしまう。
あたしは黙って手を振ると、瞬時にアークデーモンたちが粉々になって塵と化す。
「まぁこんなものかしらですわ。あまり力を使ってしまうとこの世界自体を壊してしまうから気を付けなければですわね……」
あたしはそう言いながら勇者たちがいる場所へと瞬間移動をするのだった。
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