第1章 01
少年、少女が揃ったのは真夜中だった。月が映えて、人が居ない世界だった。それは、安西さんが提案してくれた。どうして、夜中なのだろう?とは3人が思ったと思う。けれど、それは誰も聞かなかった。というか、薄々ではあるものの、気づいていたと思う。なんとなく、夜中である理由が分かったんだ。
「どこか行く?」
「て言っても、どこに?」
安西さんと、一ノ瀬くんが話していた。心は、静かに2人の会話を聞いている。小泉くんは、辺りをちらちらと、見渡していた。夜中では、開いている店も限られるし、子供だけで立寄れる場所と言えば、公園とかだった。
「コンビニとかでお菓子買って、公園で食うのはどう?」
24時間営業のコンビニで菓子を買う。そして、公園に集まって、楽しく話して、わいわいしながら、菓子を食べる。一ノ瀬くんが提案してきた。安西さんも、小泉くんも、心も、" いいね „と言う。4人は、お小遣いを全て、持って集まった。だから、余裕で買えてしまう。コンビニは、電気がついているから、明るかった。気温もちょうどいいぐらいに調整されていた。自動ドアが閉じると、月が見えなくなった。安西さん、一ノ瀬くん、小泉くんの3人はお菓子コーナーまで、歩みを進める。心も遅れて、3人の元まで歩みを進めた。
「こういうのって、遠足のおやつ選びみたいで楽しい」
「あー!それわかる! 小学生の時、それが一番楽しかった!」
今度は安西さんと、小泉くんが話していた。心は一ノ瀬くんに視線を向けると、真剣な顔でお菓子を選んでいた。心は誰に話しかけるわけでもなく、みんなで食べるから、なるべく量のあるお菓子を探す――
「そういえばみんな、聞いてもいい?」
一ノ瀬くんは、3人の顔を見て声を出す。
「大丈夫なの? こんな時間に外出しても」
大丈夫なわけがなかった。それは、心も安西さんも、一ノ瀬くんも小泉くんも。
「けど! それは、一ノ瀬くんもだよ」
「まぁ、そうだけど。」
「じゃあ、私も聞いていい?」
続けて、安西さんが何かを言う。
「みんな、死にたいんでしょ?」
「え、急にそんな話」
「まぁ、普通はそうだよな。サークル名だって死にたい。だし」
心は黙っていた。
安西さん、一ノ瀬くんはなぜか、怒っていた。
小泉くんは、そんな2人をみて動揺していた。
「とりあえず、ここは店だから。」
「そうだね 先、買って公園に行こっか」
「う、うん!! そうしよう!」
子供は短気だとよく言う――。だから、よく喧嘩もするし、よく怒る。背が小さい分、受け入れられる器だって小さいからだと思う。
器が小さければ、辛い事の積み重ねも、耐えれなくなる。自殺や、自傷に走ってもしまう。四月中旬だというのに、外は既に、少しだけ暑かった。みんなは半袖だけれど、心だけが長袖なのにも理由はある。
…見られたくなかった。汚い腕を、刻んだ傷を――。
安西さん、小泉くんはお菓子をカゴに入れる。一ノ瀬くんは、カゴをレジまで持っていく。会計が終わると、店から出る。それで、また公園まで戻る。
「なんか、公園でお菓子食べるの新鮮だね…あは。」
小泉くんは場を和ませようと必死だった。安西さんと、一ノ瀬くんは無言だった。心は、ただお菓子を食べている。
「嫌な思いするかもだけど、みんな話さない?」
なぜ " 死にたい „のか、その理由を――。
そして、今後 どうしていくつもりなのか?