ホラーケイブ びぎにんぐ【WEB】
ホラーケイブ びぎにんぐ
これはホラーな洞穴に纏わる、とってもびぎにんぐなお話しです。
封印FUUIN、開封現金AKECHADAME、呪熱唱TONAERUNAチチンプイプイチンプンカンプンTITINPUIPUI TINPUNKANPUN HORAHORAHORA HORAHORAHORA HORAHORAHORA 弐度呪熱唱ほんまはアカンけどほぼほぼやったらな
OK、参度呪熱唱駄目駄目駄目絶対言うたらあかんからな! DAME! DAME! DAME!と見馴れない文字の羅列が羊皮紙で作られた封筒に封印と書かれ赤い紙でこれでもかと封されていた。
封印FUUIN赤地に黒文字でまるで呪いの言葉でもあるかのようにめっちゃ書いてるし……? なんだこれ……?
わたしはなんの迷いも躊躇する事もなく、ぺりぺりと封を開けた。
わたしはわたしの眼を疑っていた。
わたしのおぎゃあと言ったかは定かでは無いが、産まれてから現在の今に至るまでにわたしのもっとも信頼するパパの愛に育まれて来た……わたしの培いし素晴らしき見識がNOとほざきやがるのだ。
この報告書……マジなのか……?
信じてもいいのだろうか……?
はっきり言って眉唾物である。
ふん! ホラーな洞穴だと……?
馬鹿馬鹿しい……。
こんなものをわたしの手元までまわす前に破棄してもおかしくない代物なのだが……わたしのもっとも信頼するパパから渡されたのだ……吟味しない訳にはいかぬのだが……何故わたしのもっとも信頼するパパがわたしに直接「シークレット」と壱言だけ言い残し去っていったのか……不可解と疑念? 胸騒ぎが今もたまにむねのうちでこんにちはをしているのだ……。
パパは何故何処へ行くとも告げずに去ってしまったのか……。
まさか? わたしのもっとも信頼するパパがこの何処にあるとも無いとも分からないホラーな洞穴を探しにいったとでも言うのか……馬鹿な? わたしのもっとも信頼するパパが、そんな飛んでも捌分な自称に興味を示す筈など無い筈なのだ……? いや……ワタシのもっとも信頼するパパはママの居場所を探し求めていた筈だった……まさかわたしのもっとも信頼するパパが愛したわたしの知らないママとこのホラーな洞穴に関係があるとでもいうのか……分からない……わたしのもっとも信頼するパパがいなくなった、わたしの小さな世界では……もう知る術は無いのかも知れない……?
これはもしや? わたしのもっとも信頼するパパと、わたしのもっとも信頼するパパが愛したママのみが知る禁断の言葉なのだろうか……?
「チチンプイプイ……チンプンカンプン……ホラホラホラー……ホラホラホラー……ホラホラホラー」
もういっちょ! もういっちょ!
なんだ? わたしの耳元に訳の分からん言葉がした……。
これを声に出して読んだからなのか……?
今ひとつ試しに言ってみるか……。
「チチンプイプイチンプンカンプンホラホラホラーホラホラホラーホラホラホラー」
よっ! もうひとこえいこかぁ! もういっちょ! もう!
ええい……五月蝿い五月蝿い……? なんだこの雑音は……?
ほらほら! ほらほら! もういっちょ! もういっちょ!
この文言がもたらすものなのだろうか……いま壱度試みてみよう……。
「チチンプイプイホラホラホラーホラホラホラー……」
おっ! 口があいた!
ながかったよねぇ(しみじみ)……。
ねぇねぇなぇ……あっち行けるの……?
そうよ!
あのぼんくらさんが開けてくれたのよ!
みんなでバグしときましょ!
よっ! あんがとよ!
おしみんな~っ! いけるぞ~!
やっぴ~っ!
パチパチパチパチパチパチパチパチ……。
んん~ん……? 特に何も起こらないようだが……何故か躰がズンと重たく感じるようだが……? 窓の外は雪がどっさりと積もっている。
あのあてにならない予報では、冷え込みもそろそろピークの筈と言っていたが……風邪のかかりかけかもしれんないな……珈琲でも淹れて暖まるとするか。
背後に広がるホラーな洞穴から、にょろによろにょろりと白い手の群れが手招きしていた。
こっちゃこう! こっちゃこう! こっちゃこう……。
リンリンリン! リンリンリン!
新米の郵便回収骸骨くんがテーブルの上にほっぽってある羊皮紙の封筒をそっと回収しほの暗い穴蔵の中へと消えホラーな洞穴もシュッとうずまきながら壁へと同化してゆきました。
その弐日後、彼も……もっとも信頼するパパのやうに、沢山な手付かずの書類やら業務をたんまり溜め込んだまま何も告げずに何処へともやら姿をけしたそうなのです。
なんでもかんでも消え混みすぎなんだよ! まったく!
残された者たちがとっちらかった後処理に、ぶうぶう恨み辛みや呪いの言葉を彼に向けて解き放ったのは言うまでもありませんけどね……。