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(三)-4
そのとき、参道の、ちょうど鳥居と拝殿の中間にある、頼りない電灯の下で、先ほどの若者二人が密着したまま見つめ合っているのが見えた。
拓弥はそのまま隣を通り抜けようとした。女は鳥居の方を向いており、顔が見えず後頭部しか見えなかったが、男の方は月明かりと電灯の光に照らされて見ることができた。
拓弥よりも一五センチ以上低い一七〇センチほどの背丈に、茶色のぼさぼさヘアー。そして整った顔だち。それは見間違えるハズはない、拓弥が会うのをずっと我慢してきた、藤阪翔太であった。
拓弥は翔太の顔を見てすぐに立ち止まった。勢いで数歩先まで進んでしまったので、再びその顔を見るには振り返らなければならなかった。
(続く)