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探偵ですが  作者: 梅 子


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13/20

あいだ

以前入った奥の居間である書斎に通された巴と梢。

ちはるは大きな机の前に椅子を二つ並べていた。

巴はその様子を見ながらじっと待ち、梢はその場で身体をぐるりとゆっくり一周させ、辺りを見渡していた。

「さぁ 2人ともとこちらに座って」

2人を用意した椅子に座らせると、ちはるも自分の席に座った。

「では、今まで調べたこと、報告するわね。」

ちはるはそっと頷く巴を見ると話し始めた。

写真の2人の出会いから、それらが始まるつながりに、そこに関係してくる人々。

現在の母との関係性。

巴は時折息を飲んだ。

そして、出生。

ちはるは少し止めた。

「大丈夫?巴ちゃん。」

ハンカチを取り出した梢は、巴にそれを渡そうとしていた。

渡されたハンカチをとり、口に当てると膝の上で握りしめ、梢をみた。

「こずえ。。」

巴の手を握る梢は

「話をすすめてください」

それを聞いたちはるは、心配ながらも

「話、すすめるわよ。ほんとに大丈夫?」

というと。その言葉に、巴はゆっくりうなずいた。

妹と関係を持つことになった、彼氏との間に産まれた巴。

愛の無いsexはどれほど複雑なものだったのか、はたまた、そうでもなかったのか。

それは当人たちしかわからない。

「巴ちゃんのお母さんは、どんな気持ちだったかしらね。巴ちゃんのお母さん、お母さんのお兄さん、そしてお兄さんの彼。この3人の関係が深いものであったことは確かだけれど。私には到底想像もつかないことだわ」

うつむいている巴。

「母からは何も。気づいた時は母しかいなかったし。いつもイライラしていて、嫌われてる思いで生きてきました。」

「それはとても辛いわね。」

「だから私、この写真を見つけた時嬉しかったんです。幸せが訪れるような、希望を見つけたって思ったんです。母にはとても聞けないし、だから、この写真をなんとか剥がして。この2人に会いたかった」

巴から涙が溢れた。

梢はそんな巴の肩を手を置き顔を寄せた。

「実はね私ね、縁なのかしらね、小さい時のあなたにあっているのよ。もちろんあなたの若い時のお母さんにも。」

「えっ!」巴は口元を持っていたハンカチを抑えながら言った。

「不思議よね。調べているうちに何か頭の中で引っかかってね。

私、若い時は刑事だったんだけど、記録を調べたら出てきたわ。悲しい事件だった。」

「事件?!事件ってなんですか?!」

事件と聞いて驚く巴をよそに、ちはるはそのまま話し続けた。

「私ね、あの時を思い出して思うのよ。あなたはお母さんに内緒で私のところに来てくれたけれど、お母さん自身の心があの時から閉じられている気がする。こんなこと言うのもなんだけど、あなたのためにも、私はお母さんに全てを話してもらう方がいいと思うんだけれど」

ハンカチを握りしめている手が震えている。

「母はおこるとおもう、きっと、必ず。」

針が時刻を刻む。

静かな空気が流れる。

巴の母は、彼女が言うほど人の気持ちがわからない子ではなかった。きっとそこには娘に知らせまいとする強い意志があることを、ちはるは感じていた。

あの当時の事件の話をするべきか少し考えたが、知らせずにいる事は調査依頼を受けてる以上できないと思った。巴にその事件のことを聞く意思があるか確認した上でちはるは話し始めた。

「当時ある事件を私は追っていたときだった。その事件がひと段落ついたとき、現場近くで会った上司が、来る途中気になる2人組を見たと言うものだから、探したの。それがその写真の2人よ。ところが見つけた時にはお母さんのお兄さんは腹部を刺されていたの。意識も微妙な程重症なのに支えられて2人で家に戻る為に歩っていたの。そこを私の上司が見つけて、なにか不自然に感じたんでしょうね。いろいろその場であったけれどなんとか説得して彼を病院に運んだ。でも遅かった。出血量も多くて結局助からなかった。そこから今のお母さんが、あなたを引き取って育てるまでの経緯はまだわかってないけれど、きっとそこが大切なところなんじゃないかしら」

巴はうつむいてじっと一点を見ている。

「そんなことが。。なんだかとても怖いです。そんな大変なことがあったなんてもちろん知らなかったし、それが原因なら、母が今まで隠してきた意味もわかる気がします」

下を向いたまま、驚きに堪えていた。

「今のあなたはとてもひどい生活を強いられているだろうけど、私が知っているお母さんはとても思いやりを感じられる人だった。今も、お母さんは昼も夜もきちんとした仕事を選んでいる。寝る間を惜しむわけでもなく、そうしてあなたを育てている。お母さんなりに、あなたを思ってのことじゃないかしら。私はきっと、なにかあったとおもうの。してはいけないけれど暴力も彼女の中にある蟠りとの葛藤で、毎日後悔していると思うわ。」

きつくこらえていた巴になぜか涙が溢れてきていた。

彼女なりに思うところがあるのだろうか、それとも、憤りの気持ちなのか。

ちはるは今日はこれで終わりにしようと思った。

「巴ちゃん、また2週間後にいらっしゃい。今日はいろいろいきなりすぎたわね。心が苦しくなったらいつでも来ていいから」

ちはる机に両手をつきながら立ち上がり、2人の方へ回ると、2人の肩を優しく撫でた。

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