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第3話

「此処は……」

そうだった。エマ様が自宅に連れてきてくれたんだった。


わたしが起きてボッーとしていると誰かが部屋に入ってきた。


「きれぇなおねえたん、おきたぁ?」


小さな男の子がわたしが寝ているベッドによじ登ってきたので驚いていると、にっこり笑ってわたしを抱きしめて「だっこぉ」と言われた。


わたしが固まっていると

「おねぇたん、いいこいいこ」

と言って頭をなでなでしてくれた。


その小さな手が温かくて何故かわからないけど涙が出た。

涙が止まらなくて泣いていると、

「なきゃないの、いいこでぇしょ」

と、さらになでなでしてくれた。

「あ、ありがとう」

わたしはこんな居心地の良い場所も温かい手も知らなかった。

どうしていいのかわからなくて泣き続けていると

「キリアン、入っては駄目って言ったでしょう」

と言いながらエマ様が部屋に入ってきた。

小さな男の子になでなでされながら泣き続けるわたしを見てエマ様が笑い出した。


「あら?キリアンったらまだ2歳なのにもう女の子を泣かせているのね」


「ちぃがう、いいこいいこしてたのぉ」


「いい子いい子してあげてたんだ。じゃあ、いい子は今からご飯を食べようね」


「あい!たぁべるゅ」

「アイシャ様も少しでいいから食べましょう。寝込んでからまだ食事を摂っていませんから少しずつ胃を慣らしていきましょうね」


「ありがとうございます」


キリアン君はわたしと手を繋ぐと

「こぉっち」

と言ってテーブルまで連れて行ってくれて

「ここぉね」

と、椅子を指差して教えてくれた。


「ありがとう、キリアン君」


「あーい」


わたしは小さな男の子と話すのは初めてだったけど、とっても優しくてとっても可愛くてもうたまらなくてムギュッとしたくなった。


そしたらキリアン君が「だぁっこぉ」と言ってわたしの膝に来たので抱えてあげるとわたしの体にムギュッとして抱っこされた。


「キリアン、それじゃあご飯は食べられないわ、下りて自分の椅子に座るの」


「やっあ!きれぇなおねえたんとしゅわるの」


「何も食べさせないわよ」


「やっあ!たべぇるゅ」


キリアン君は急いで自分の椅子に座るとわたしを見てにっこり笑ってくれた。


「紹介するわね、2歳のキリアン、わたしの可愛い息子よ」


「きぃりあん!」

と言ってペコっと頭を下げた。


「可愛い!!」

わたしはキリアン君のことを一目惚れしてしまった。


そして三人で食事をした。

わたしはまだ食欲がないので野菜スープを半分とパンを少しだけ食べた。


「今日は無理はしなくても大丈夫よ、少しずつ体力を戻していこうね」


「ありがとうございます」

わたしは食事のあとキリアン君とお話を沢山した。

キリアン君の好きなお菓子の話、お家に住んでいるお化け?の話、大好きな絵本も見せてもらった。


「エマ様、わたしが片付けをしますのでゆっくりしていてください」


「公爵令嬢がそんなことしては駄目です。わたしがしますので気にしないでください」


「エマ様、わたしは屋敷で毎日皿洗いをしていますので洗うのは得意なんですよ」

わたしが笑顔で答えるとまた悲しそうな顔をした。


「エマ様、そんな顔しないでください。わたしは好きでしているのです」

そしてわたしはテーブルの上を綺麗に片付けて皿洗いをした。


「終わりました、あと何かすることがあったら言ってください。洗濯も掃除も得意なんですよ」


「はい、ではアイシャ様にお願いがあります」


「何をしたらいいですか?」


「さっさとベッドで横になって寝てください!」


エマ様はわたしをキッチンから追い出して部屋に無理矢理入れられた。


「おねぇたん、ねんね」

と言ってわたしの横にキリアン君も入ってきて毛布にもぐると「ねんね、ねっ」と言って目を瞑るとすぐにぐうぐうと寝てしまった。


(寝るのが、は、早い)

キリアン君の寝顔を見ているとわたしも眠たくなってそのまま寝てしまった。




「ふふ、二人とも寝ちゃったわ、いい夢を見てね、おやすみ」

エマは二人の寝ている姿を確認してからテーブルの椅子に座って待っていた。


トントン。

扉のノックと共に入ってきたのは先生ことゴードン・ハウザー様、前王の王弟でもある。現在の国王陛下の叔父なのだ。


「アイシャ嬢は寝たかな?」


「はい、少しだけ食事を摂りましたがほとんど寝ている状態です」


「かなり悪いからな。このままでは手遅れになりかねない、さっきウィリアムに会いに行ったが忙しくてゆっくり話すことが出来なかった、屋敷を探らせたのだが母親は社交に忙しくあまり屋敷には帰っていないみたいだ。今も友人達と海外に旅行へ行っているようで数ヶ月は帰らないみたいだ。兄も今は王宮で内務大臣補佐官として忙しく働いていて屋敷にはほとんど戻ってこないらしいんだ」


「そうですか……だからと言って使用人がアイシャ様を蔑ろにするのはおかしいと思います」


「……うん、家族が彼女に興味を示さず放ったらかしにしているから使用人も彼女を馬鹿にしているんだろうな、あの子は優しいから何も言わず受け入れてしまっているんだ」


「あの子ここに来て皿洗いをしたんです。それに掃除も洗濯も得意だと言ってました。公爵令嬢がそんなこと得意な訳ないですよね?それに学校も行かせて貰えなくて部屋から出して貰えないと言ってました。使用人がすることですか?」


「もう少し待っててくれ、わたしがなんとかする」


「婚約者のエリック殿下は知っているのですか?アイシャ様が辛い思いをしていること?知ってたらこんなことにはなっていませんよね?それとも知っていて知らん顔をしているのですか?」


「エマ、お前の気持ちはわかる。だがエリックは何も知らずに今は留学生として一年間海外へ行っているんだ。婚約したばかりの時に王妃に薦められてな。王妃は本当はアイシャ嬢とエリックの婚約を嫌がっていたんだ。なのに王と宰相が勝手に婚約を結んだ所為で怒ってアイシャ嬢に厳しく指導して当たっているんだ。アイシャは虐めに近い教育で鞭で叩かれてアザが出来ているんだ」


「どうしてあの子がそんな目にあっているんでしょう?」




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