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もしもゲームのライバルキャラが全員転生者だったら~未プレイ主人公と既プレイ転生者の鬱ゲー攻略~  作者: 紗沙
魔法師団編

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第83話 あの獣は、誰かに飼われている?

キルシュのパンテオンに戻ってきた私たちは、そのままアリア女王に報告をしに行く。

アイネさんとニクスさんは、報酬に本当に興味が無いらしく、パンテオンで別れてしまった。

城下町での買い物を楽しむそうだ。


王城の最上階の謁見の間。

そこに入ると、アリア女王と、その後ろにアメリアさんが立っていた。


「皆さん、無事で何よりです!そして、本当にありがとうございました!」


私たちを見たアリア女王は玉座から立ち上がり、こちらに早足で近づいてくる。


「ありがとうございます。廃城で回収した物品の内、不要なものは後で提出しますね」

「はい、お願いします。それと、アメリアが迷惑をかけたようですね。私からも謝罪します」


アリア女王の言葉に、その後ろに立つアメリアさんが頭を下げた。


「受け取りました。けれど、あのイノシシ型の魔物を討伐できたのはアメリアさんの助力のおかげでもあります。もっと言ってしまえば、まさか倒した魔物が復活するなんて思いもしませんでしょうから」


ロゼリアさまの言葉に全面的に賛成だった。

戦闘中のアメリアさんは必死だったし、被害を少しでも減らそうと可能な限りの情報を提供してくれていた。


「受け取っていただき、感謝します。アメリア、今後に生かしなさい」

「はい!」


さて、とアリア女王はアメリアさんの話に一区切りをつける。


「他にも助力してくださった人がいたようで、アイネさんとニクスさん、でしたか?ニクスさんは優れた剣士、アイネさんは回復術師と聞いていますが……」

「はい。二人が戦局を大きく変えてくれたと言えるでしょう。とくにアイネさんの回復魔法は私たち全員の傷と疲労を癒してくれました。一応報酬の件もお話はしたのですが……」


ヴァイスさんの言葉に、アリアさんは残念そうに目を伏せた。


「そうですか。それだけの強者であれば席次を用意してスカウトしようと思ったのですが、本人たちが望んでないなら仕方ないですね。わかりました」


アイネさんもニクスさんも、あまり金品や地位に興味はないように思えた。

廃城を探索しているときも、ニクスさんは魔物を率先して倒してはいたけれど、手に入れた金品には目もくれていなかった。


「皆さんは、今後はどのように?」

「西のプラメニクスを経由して、ユグドラシルに向かうつもりです」


プラメニクスはキルシュの西端にある都市だ。

ユグドラシルはそのプラメニクスから南に向かった先にある。


「了解しました。それではユグドラシルの国境付近まではリースを案内として付けますね。リース、引き続きお願いします」

「かしこまりました!」


どうやらまだリースさんは付き合ってくれるようだ。

彼女の各地の説明も楽しみなので、嬉しい。


アリア女王への報告も無事の終わり、私たちは謁見の間を後にした。

















城内で戦利品を換金するため、ロゼリアさま、ムースと別れて城下町へ出る。

ヴァイスさん、ユティさんとも城の中で別れた。


ヴァイスさんは笑顔で、ユティさんは深く頭を下げていた。

また一緒に戦えたらいいな、と思う。


しばらく城下町を進んでいると、通りに出ているカフェの外のテーブルに、見知った二人を見つけた。


「アイネさん?ニクスさん?」


廃城で助けてくれた二人が、テーブルでくつろいでいた。


「あらぁ?皆さんこんにちは。報告は終わったの?」

「はい、終わりました。二人はこれからどうするのですか?」

「私はここで少し過ごした後に、プラメニクスに向かう予定ですー」

「私はエディンバラに向かう」


どうやら二人はこの後別れて行動するようだ。

一緒に行動しているかと思ったので、少し意外だ。


「えー、一緒に温泉行きましょうよー」

「やだ」


と思ったけれど、アイネさんは一緒に行動したいらしい。

ニクスさんは、嫌そうな顔をしているけれど。

でも、一緒にカフェでくつろいでいるあたり、仲は悪くないのだろう。


「それなら、一緒にプラメニクスまで行きませんか?」


次の目的地が一緒なこともあり、ムースが提案する。

けれどアイネさんは苦笑いしながら頬を掻いた。


「あー、提案自体は嬉しいんですけど、ちょっとパンテオンですることがあるんですよね。時間がかかりそうなので、今回は遠慮させていただきますー」


プラメニクスまででも一緒に行ければと思ったのだが、どうやら難しそうだ。

結局二人とはそこで別れ、私たちは用意された宿屋へと向かった。













翌日、私たちは馬車で西の街、プラメニクスに向かっていた。

その途中で、廃城を遠くに見つけ、あることを思い出した。


「あの黒い獣……首輪してたよね?」

「イノシシ型の魔物?そうだね」


ルナだけでなく、他の皆も頷いている。

あの獣は首輪を嚙み千切ったけど、元々誰かが首輪を嵌めていないといけない。

つまり、あの獣は。


「首輪してたってことは、誰かが飼ってたってこと?」

「うーん、でも廃城には誰もいなかったし、あの獣についての情報もなかったよ?」


廃城は隅々まで見逃さないように手分けして探索をした。

けれど誰か人が居た形跡や、獣についての情報は見つからなかった。

廃城になってからあの獣が棲みついたのか、あるいは。


「あの黒い獣が城をめちゃくちゃにしたのか、だね。受けた魔法を再現する性質や、物理に対して適性があったことを考えると、あの獣は自然に発生したものというよりも、生み出されたものな気もするね」


ユウリィの言葉に、私は考える。

もしも誰かが、あるいは集団があの獣を作り出したとしたなら。

作り出された獣が暴走して、作り出した人を殺してしまったということも十分にあり得る。


けれど、考えても答えが出るわけじゃない。

ただ一つ気になることは。


「他にも……あんなのが居たりするのかな……」

「どうだろうねぇ……」


私の質問に、ルナはあいまいに答える。

彼女は何かを深く考え込んでいた。


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