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もしもゲームのライバルキャラが全員転生者だったら~未プレイ主人公と既プレイ転生者の鬱ゲー攻略~  作者: 紗沙
学園編

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第69話 だからこの世界は嫌いなんだ【エヴァSide】

(だからこの世界は嫌いなんだ)


寒くなってきた冬のある日。

雲の広がる空を窓越しに見上げながら、私はため息を吐いた。


少し前、お姉様がエディンバラのよく分からない組織に襲われた。

それ自体はリフィルが居たので、大事にはならなかった。


けれどそんなイベントは、ゲームには存在しない。

それどころか、エディンバラの組織なんて、ゲームには出てこない。


(もう原作とは大きく流れが変わってきてる。まあ、分かってたことだけど)


クロムの登場や、彼女の転校、そして今回の謎の組織。

もうこの世界はゲームではなく、一つの新しい世界だ。

なんとかすることはできない。なんとかなる、方に持っていくことくらいしか。


「さて、それじゃあ今年の寮別対抗戦の話だけど……メンバーをどうするか」


アイリス先生は今年の寮対抗戦のメンバーについて考えている。

メンバーが不足しているのではなく、今年は余っている。

私、ロゼリア、ムース、ルナ、そしてレア。


「正直、どの4人が選ばれても優勝は確実なんだけどね」


先生の言う通りだろう。私たちは3年生。

よってセリア先輩やネクステスの王子も、もう卒業している。

同学年、後輩から、私たちのクラスに勝てる生徒など居るはずもない。


寮別対抗戦は1年生の時に経験した。

2年生の個人トーナメントではそれなりの成績も収めているので、今年のような勝敗が分かり切っているイベントに参加するつもりはあまりない。


「先生、私は辞退しても構いません」

「私もです」

「え、私は出たいかなぁ」


同じことを思っているであろうロゼリア、ムースが辞退する。

戦闘が大好きなルナは、出たい出たいとはしゃいでいた。

いや、あんたは出れるよ。


溜息を吐き、私は手を上げる。

アイリス先生は私の名を呼び、発言を許可した。


「5人のうち、役割がかぶっているのは私、ロゼリアさま、レアさんです。レアさんは転校生なので出ると考えると、私が辞退してロゼリアさまが出るのが一番良いと思います」

「……まあ、そうね。ロゼリアさん、それでいい?」

「はい、構いません」


私がいくら強いとはいえ、学年最強であるロゼリアには敵わない。

他の3人からもとくに反対意見もなく、寮別対抗戦のメンバーが決定した。

手を叩き、アイリス先生が話を終わらせる。


「さて、それじゃあ寮別対抗戦の4人はいろいろと決めることがあるから、この後私についてきてね」

(お、これは)


頬杖をついて話を聞いていたが、アイリス先生の言葉であることに気づいた。

いつものメンバーが寮別対抗戦のお話でいない。

つまり、私はお姉様を独り占めできるということだ。











「ごめんねエヴァ、付き合ってもらっちゃって」

「全然大丈夫だよ!」


暗くなった廊下をお姉様と2人で歩く。

ロゼリア達が訓練に参加できないことと、雨が降るかもしれないとのことで今日の訓練は中止となった。

けれど熱心なお姉様は、第2寮の寮監督であるハリス先生に教えを乞うために職員室に向かっていた。


ハリス・イーストン先生。魔法を得意とする第2寮の寮監督。

濃い青髪に眼鏡をかけた落ち着いた印象の男性教師。

にもかかわらず、火の魔法が得意という変わった設定を持つ。


ロッド先生の影響で魔法の理論に興味を持ったお姉様は、

光の魔法の理論に関してハリス先生に質問をするようになった。


「失礼します」


職員室に到着し、お姉様が扉を開ける。

教室の中に入ると、扉近くで書類を見ていた桃色の髪の女性が振り向いた。


「おやぁ?誰かと思えばうちのミストをたぶらかす姉妹じゃないか」


青い瞳が輝き、私たちを上から下まで嘗め回すように見つめる。

第5寮の寮監督、サザンクロス先生だ。

テスタロッサ技師としても優秀で、ミストのことをとくに気に入っている。


「ハリス先生をお探しかい?彼ならもうすぐ……ほら来た」

「おや、ウリアさんようこそ。今回も魔法理論ですか?」


振り返ると、ちょうどハリス先生が職員室に戻ってきていた。

彼は書類を自分の机に置いた後に、椅子を持ってきて、私たちに指し示した。


指示されたとおりに座ると、ハリス先生は心からの笑顔で話し始める。


「それにしてもウリアさんは本当にやる気がありますね。第2寮に欲しいくらいだ。おっと、これ以上はアイリス先生に怒られてしまいますね。それでは質問をお聞きしましょうか」

「その……今回は魔法理論ではなくてですね……適性についてなんですけど……」

「ふむ、ちょっと待ってくださいね」


ハリス先生はそう言って離れた場所に移動し、何かを探し始める。

やがて彼は一枚の紙を持って戻ってきた。


「なるほど、確かに適性という意味では良いとは言えませんね」

「もちろん適性だけがすべてではないというのは分かっているんです。けれど、できれば適性も上げていきたいなと」

「ふむ……」


お姉様の言葉に、ハリス先生は考え込んでしまった。

それが難しいことを、彼も分かっているからだろう。適性はそんなにすぐは上がらない。

私がアルトリウス家に来てからもう10年以上経つが、それでも伸び悩んでいるのが証拠だ。


それに、お姉様の本当の力は適性にはない。


「私としては、どちらかというとテスタロッサの方を考えるべきだと思うがね」

「『マリア』を、ですか?」


話を聞いていたであろうサザンクロス先生が声をかける。

彼女も教職者。お姉様のテスタロッサが普通ではないことに、気づいているはずだ。


「うむ。君の適性は最大でもD。けれどテスタロッサを考慮した実戦での適性はB、もっと言えばAにも迫る勢いだ」

「え?ウリアさんって適性最大でDなんですか?」


サザンクロス先生の言葉に反応したのは、近くで書類仕事をしていたセツナ先生だ。

非常勤講師だが、私たちの実技の授業を担当してくれている。

実技に関しては学園でも最強の、トリリアントだ。


「実技の授業でも優秀だったので、てっきりBはあるのかと……」

「セツナ先生の言う通りだ。まあ君の妹を初めとして、クラスには恐ろしい適性の持ち主が多い」


好奇心に満ちた笑みを浮かべながら、サザンクロス先生はお姉様を見つめる。


「けれどそれで霞んでいるからで、君も私からすれば興味深いよ」

「私が……ですか?」

「知らないようだから教えておくと、今まで世界中で見つかったテスタロッサのうち、術者の能力を数段階上げるようなものなど存在しない。ましてやDからBにまで上げるなど、普通ではない」

「本当ですよ、ウリアさん。テスタロッサは確かに私たちを助けてくれます。けれど、適性を2段階も上げるなんてことはあり得ないんです。普通なら1段階すら上がれば良い方です」


目を見開いているお姉様に、ハリス先生が補足を加える。


「テスタロッサ技師の問題も考えたが、ミストは君だけでなく君の妹や他の生徒の調整も行っている。あのミストがテスタロッサに関してたった一人だけ贔屓をして、他を蔑ろにするはずがない。つまりテスタロッサそのものの力か、あるいは」


そう、それは『マリア』によるものでもない。

お姉様の特異性、主人公特権ともいえるそれは。


「君自身の力だ」


テスタロッサの能力を最大限引き出すこと。

そもそもゲームにおいて最低ステータスであるウリアがたった3年でステータスを大きく上げられるのはこの力によるものだ。

エヴァラスのステータスはおそらく、適性+テスタロッサの力で決定している。


この世界で主人公であるお姉様は、テスタロッサの扱いに関して世界一である。

テスタロッサそのものに愛されていると考えて良い。


とはいえ、これ以上話したところでお姉様の真の力が明らかになるわけもない。


「お姉様が強いことには変わりないんだから、良かったじゃん!この調子で訓練して強くなっていこうよ!」

「う、うん……そうだね……」


何も知らないふりをしてお姉様をこの話題から引き離す。

こういった言動も、もう慣れたものだ。


「姉はこんなに真面目なのに、なんで妹はこんなに不真面目なんだか」

「そんなこと言っても、サザンクロス先生でもお姉様の力は解明できないんでしょう?」

「おや?なかなか生意気なことを言うねえ。君のお姉さんを解剖してもいいなら、必ずや解明してみせよう」

「え、い、いやです……」


マッドサイエンティストなことを言い始めたサザンクロス先生。

原作でも変わり者だったけれど、実際に目にすると身震いするほどだ。

お姉様の手を取り、私たちは立ち上がる。


「それじゃあ私たちはこれで失礼します」

「あ、失礼します」


2人でお辞儀をして、職員室を出る。

まだ窓の外は、雨は降っていなかった。















「それにしても、やっぱり『マリア』ってすごいんだ」

「お姉様が強いってことだよ」


さっきの職員室での話をしながら、私たちは学園の玄関を出て寮へと向かう。

空は雲が厚くなり、灰色に染まっていた。

雨が、降りそうだ。


「お姉様、早く寮に帰ろう」

「そうだね、降りだしたら濡れちゃうよ」


そう言って一歩生み出そうとしたとき、私は視線を感じた。

校門の方を見ると、ひとりの男性がこちらに歩いてきていた。

その姿を見つけ、誰だろうと目を凝らしたとき。


私は思考が停止した。

まるで表情が抜け落ちたような、そんな顔をしていたのだろう。


「エヴァ?どうしたの?」


お姉様が心配そうに私に声をかける。

だが、私は、それどころではない。


「見つけたぞ」


声が、風に乗って耳に届く。


「お前か」


黒い短髪に黒い着物。その上から、裾がボロボロな白い羽織が風に揺れる。


その姿を、私は何度も見た。

そして何度も戦った。


「不可解なその力、斬ってくれる」

「逃げて!!お姉様!!」


何度戦っても、勝てなかった。

原作、エヴァラスにおける最強の一角。

学園では会うには早すぎる。


(だからこの世界は嫌いなんだ)


魔王【天】の金の瞳が、お姉様を捉えた。


◆ルート開放条件

・学園で魔王【深淵】クロムを倒している

・リフィルが魔王【天】との戦いで死亡していない


※学園編終了でルート消滅

※原作ではルートが存在しません

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