第44話 寮別対抗戦と1年の終わり
夕方に2話、夜に2話投稿予定です!
冬の寒い時期、エディンバラ学園での一年の大きなイベントが寮別対抗戦だ。
エディンバラ学園には第1寮から第5寮までが存在する。
それぞれ、以下のような特徴がある。
第1寮:オールマイティ、あるいは器用貧乏の生徒が集まる
第2寮:魔法が得意な生徒が集まる
第3寮:剣、槍、弓、格闘などが得意な生徒が集まる
第4寮:軍略、戦略が得意な生徒が集まる
第5寮:テスタロッサ調整が得意な生徒が集まる。
これらの内、第1寮から第4寮から3チームづつ、計12チーム出し合い、トーナメント戦を行うのが寮対抗戦だ。
第5寮は別の寮の出場者のテスタロッサを調整するために不参加となっている。
各寮から3チームづつ、というので分かると思うが、各学年から1チーム出場するという流れだ。
そのため、第1寮の1年生から1チーム、つまり4人を選ぶことになる。
「1年生に関してですが、ロゼリアさん、エヴァさん、ルナさん、ムースさんの4人で大丈夫ですかー?」
クローネ先生の言葉に、誰も意見を言わない。
隣に座るエヴァはめんどくさそうな顔をしているし、後ろのルナに関してはポツリと「嫌だなぁ」と呟いていた。
エヴァはこういった大きなイベントはあまり好きではないと思うし、ルナに関してはおそらくラークさまのことを考えているのだろう。
とはいえ、私的にもこの4人で確定だろうと思う。
ドリームチームともいえるし、優勝だって狙えるだろう。
「ふむ……一応チームとしても考えてみましょうかー。チームの基本は前衛と後衛ですー。前衛はルナさんとエヴァさんですよねー?」
「先生、一応私も前衛はこなせます」
クローネ先生の質問にロゼリアさまが答える。
ムースは前衛ではないけれど、ロゼリアさまなら問題なくできるだろう。
「えっとー、あとは回復魔法や補助魔法ですねー。ヒーラーは必要ですー」
「私は魔法全般得意ですので、問題なくできます」
「ムースさんほどではありませんが、私もできます」
「えー、問題なさそうですねー。はい」
クローネ先生は諦めたように話を終わらせた。
確かによく考えてみると、この4人が第1寮に集中しているのが奇跡のようなものだ。
「ところでー、テスタロッサの調整に関してですが、4人は誰に頼んでいるのですかー?」
「私たちは第5寮のミストさんに普段依頼しているので、今回もそのつもりです」
「あ……なるほど……」
戦力的に強い4人のテスタロッサを調整するのが天才技師であるミスト。
この情報に、ついにクローネ先生はいつもの口調を辞めてしまった。
ムースは専属の技師と契約していると言っていたが、実際には契約はなかったようだ。
聞いた話によると、神樹から授かったテスタロッサなので調整を依頼しなかったとのこと。
夏休み明けのムースの部屋での件から、彼女は調整をミストに依頼していた。
神樹から授けられたレア中のレアであるテスタロッサの調整。
それを依頼されたミストの反応は言うまでもないだろう。
『すごい!すごすぎる!これが神樹のテスタロッサ!素晴らしい!ずっと見ていられる!』
その様子を見ていたムースは苦笑いをしていた。
けれどその後も継続的に依頼しているので、特に問題はなさそうだった。
「お姉様、私たちの活躍、見ててね」
「う、うん……しっかりと見ておくよ」
話がまとまりかけ、隣に座るエヴァからそう言われた。
活躍を見るというよりも、活躍しかないような気がするのだが。
そんなことを思いながら、私は苦笑いで返した。
その後のトーナメントに関しては、学園の歴史に残るようなワンサイドゲームが展開された。
私たちのクラスから選ばれたロゼリアさまのチーム、別名チームロゼリアは1年生のためにもっとも対戦数が多い場所に配置された。
優勝するためには全部で4回勝利する必要があるのだが、その全てをチームロゼリアは歴代最短かつ誰一人戦闘不能になることなく勝利したのである。
一回戦では1年生の他寮のチームを蹂躙。
二回戦では相手が3年生のチームなのに、圧倒的に勝利。
この段階で会場は大いに盛り上がっていた。
『おぉーっとチームロゼリア、強い!強すぎる!去年のセリアチームを思い起こさせる強さだ!』
寮対抗戦はとても大きなイベントなので巨大な会場で行われる。
全寮生が見るのみならず、ナレーションや実況解説まであるくらいだ。
皆の声援を受けたチームロゼリアは準決勝でセリア先輩のチームを苦もなく撃破。
そして決勝でラークさまのチームを撃破した。
流石に準決勝と決勝は強敵だったらしく、少し苦戦はしていたように感じた。
『個人としての強さが際立っているのは言うまでもないでしょう。ですがそれ以上にチームとしての練度が高い。油断なく練習したのは褒められる点ですね』
隠れてこっそりと観戦していたらしいリフィルもそう言っていた。
個人個人の力に任せた戦いなら、負けることはなくても誰か一人は戦闘不能になっていただろうとのことだった。
こうしてチームロゼリアは優勝し、第1寮は去年から数えて2連覇となった。
クローネ先生はそれはもう大喜びで、4連覇も夢ではないと意気込んでいた。
すぐにロゼリアさまによって、来年は寮別対抗戦はありません、と訂正されていたが。
寮別対抗戦の後、しばらくラークさまはルナに付きまとっていた。
かなりしつこかったようなので、私とエヴァの方でお話をしたくらいだ。
流石にネクステスの王子がストーカーでは問題がある、と警告したところ、渋々引き下がっていた。
アークくんはロゼリアさまを敬意の目で見ているし、エヴァは1年生の中で人気者になった。
ムースも親切な性格から人気が高い。
友人たちが学年から人気で、私も鼻が高い。
冬を越え、春を迎える。
エディンバラ学園での1年が、そろそろ終わる。
「あ……え、エヴァエヴァ!見て!」
「んー?……あ、お姉様、ついにDランクがあるよ!」
年度終わりの検査で、光の適性がついにDに上がった。
Dは学園入学時の平均的な生徒の値だ。
1つだけとはいえ、ここまで来れたのは感慨深い。
1年遅れではあるが、こうして成長していくのはとても嬉しい。
「ありがとうエヴァ……本当にエヴァのおかげだよ……」
「ふふ……お姉様が頑張ったからだよ。もっと頑張って、次はCを目指そうね」
「うん!」
日々の成長を確かめながら、私たちは2年生になる。
◆ルート開放条件
・とくになし




