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もしもゲームのライバルキャラが全員転生者だったら~未プレイ主人公と既プレイ転生者の鬱ゲー攻略~  作者: 紗沙
幼少期編

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第11話 部屋に出入りする、3人目

「うぐっ……」


体中に痛みを感じで、私は目を覚ました。

見覚えのある天井。体にかかる毛布。

伯爵家の屋敷だ。


「お姉様!?大丈夫!?私が分かる!?」

「……え……ヴぁ?」


覗き込んできたのはいつも見ていた妹の顔。

けれど心配そうな顔で、目には涙が浮かんでいる。

片方の頬が少し赤くなっているが、ぶつけたのだろうか。


「なんで……なんであんなことしたの……一歩間違えたらお姉様、死んでたんだよ!?」


その言葉で思い出す。

そうだ。旅行に行く途中で男の人たちに襲われて、私はお義母さまを助けるために……。


「お母様だよ?ずっとお姉様を無視してきた……嫌いなんじゃないの!?わけわかんないよ!」

「なんでって……」


別にお義母さまのことは嫌いではない。好きでもないが。

けれど、彼女はエヴァの母親だ。


「お母さまが死んじゃう苦しみは、嫌なの。あんな気持ちを、大好きなエヴァに味わってほしくなくて」

「……私の……ため?」


私はお母さまを死なせてしまった。

私が無能だったから。努力しなかったから。

だから私はエヴァに出会うまで、毎日が暗くて、痛くて仕方がなかった。


エヴァはリリスお義母さまと仲が良くない。

けれど、それでも家族だ。

リリスお義母様が死ねば、表には出さないかもしれないけれど、心を痛めるだろう。


「それでお姉様が死んだら……意味ないんだよ……自分をもっと大事にしてよ!」

「……そうだね」


痛いくらいに強く手を握ってくる。

その手はまるで縋るようで、祈るようで。


「絶対わかってない!……次こんなことしたら、絶対に許さないから……」

「うん……ごめんね……」


――あぁ、そうか。エヴァも私と同じなんだ。……ごめんね。


私がエヴァを失いたくないように。

エヴァも私を失いたくない。それが痛いほど分かった。


「元気になったら、強くなるために特訓だからね!」

「うん……次はエヴァみたいに倒せるようになるね」

「……いや、まあそれが一番なんだけどそうじゃないんだよなぁ……」


呆れたようなエヴァの声を聞きながら、私は笑った。

私はまだ生きている。

戦いを、痛みを思い出すと体が震えるけど、もっと強くなりたいと思った。


いつか、エヴァの隣で戦えるくらいには強くなりたい、と。










改めて話を聞いてみると、私はそこまで重症ではなかったらしい。

剣は横腹を裂いていたけど、致命傷ではなかった。

どちらかというとショックが強すぎて気絶していたそうだ。


ただ私がお義母さまを庇わなかった場合、お義母さまは間違いなく死んでいたそうだ。

私は体が小さかったから致命傷を外れた。

けれど大人のお義母さまならば、剣が体を貫いていただろう。


結果としてお義母さまは傷つくことなく、私も後遺症などは残らないそうだ。

これ以上はない結果だと言える。

あんな痛みや恐怖は二度とごめんだが。


私は二日ほど眠っていたらしく、エヴァはその間付きっ切りでそばにいてくれたらしい。

そして心配してくれたのはロゼリアさまも同じらしく、国内で優秀なお医者さんをすぐに手配してくれたそうだ。


「ところで……エヴァ、その頬どうしたの?」

「ん?あぁこれ?ロゼリアに叩かれたんだよ。あなたが居ながら、何をしているのです!って」

「えぇ!?」


あの穏やかなロゼリアさまからは想定できない。


「いや、でもそうなんだよね。私が気づくのがもう少し早ければ。……あ、お姉様次からは気づいたら走る前に私に声かけてね。私のほうが速いから」

「あ……うん」


私よりもエヴァの方が戦闘力は上だ。

確かにあの時、エヴァに声をかけていれば私が傷つくことも、リリスお義母さまが死ぬこともないだろう。

しかしエヴァはおかしそうに笑った。


「私のオーバーライトの固有能力、瞬間移動だから」

「……え?」

「話してなかったけど、お姉様が傷ついたとき一瞬で敵を倒したでしょ。あれが私の力。だから、私よりも速い人なんてこの世界にそんなに居ないから」


その言葉で、気が抜けてしまった。

最初からエヴァに言えば良かったのだ。

けれど同時に、エヴァの背中が遠く感じた。これは追いつくのは、大変そうだ。











家族旅行が終わった後に、変わった人が一人だけ居る。

今も扉の陰からチラチラとこちらを見ているひとりの女性。

エヴァの母にして、私の義母、リリス・アルトリウスである。


彼女はしばらく扉の前でこちらの様子をうかがっていたようだが、やがて意を決したように部屋に入ってきた。

その様子に、エヴァが警戒したようにリリスさんを見る。


しかしリリスさんは気にしないようで、私をじっと見ている。

そのとき、私は初めてこの家でリリスさんと目を長く合わせたと気づいた。


「……う、ウリアさん……その、何か必要なものがあれば言ってください……私に言うのが嫌ならエヴァを通してください。それと……ありがとうございました……」


リリスさんはそう言うと、部屋を後にしてしまった。


「……なにあれ?」


エヴァは不思議そうに扉を見て、呟いた。


「お姉様、何か欲しいものある?」

「え?……いや、エヴァが用意してくれているから、特にないかな」

「だよね」


エヴァの熱心な看病で必要なものはない。

しかし、リリスさんの不思議な行動はその後も続いた。

しばらく時間が経つと部屋の前に立って、扉からこちらの様子をチラチラとうかがっている。


さすがにその様子が気になりすぎたのか、エヴァはスタスタと歩き、扉を強引に開けた。


「お母さま、さっきから気になってしょうがないんですけど」

「え、えっと……その……」


リリスさんは言葉を詰まらせる。


「お姉様と話したいんですよね?だったら入ってくればいいじゃないですか」


リリスさんの背中を押して部屋の中に無理やり入れ、椅子に座らせる。

困惑していたリリスさんは、私を見ると心配そうに見つめてきた。


「あ、あの……その……大丈夫ですか?」

「え?ええ、おかげさまで」

「よ、良かったです……」


ぎこちない会話をリリスさんとする。

こうして私たちの部屋に、3人目がよく出入りするようになったのだ。


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― 新着の感想 ―
[一言] わくわくと、読ませていただいております あらあら……転生者以外の?。お兄さまはどうなるかしらー。
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