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VR学園~c.p~  作者: 朔
第1章 鬼編
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始まりの街

初めての作品です。

良ければ楽しんで頂けると幸いです。


街の喧騒のなか、ジマはハイハイをしていた。

「なんだってこんなことになってるんだ・・・」


数時間前、VRの個体を渡された西島一成は教室内で横になっていた。教室内は一人一人ずつ区切られており、他人との接触はない。学園がVRを導入した際、ネットカフェのような空間にしたのだ。


一成はイメージトレーニングをする。ジャブからの右のハイキック。続いてワンツー。左のローキックを5連打。止めの肘打ち。こんなものだろう。


VR個体を取り付ける。ログイン5秒前、4、3、2、1、0。意識が反転する。と、同時に真っ白な空間に移転する。出てきたのは「チュートリアルを開始しますか?それともスキップしますか?」という一言だった。


数秒迷ったがスキップを選択。すると次に「ネームをお決め下さい」と表示され、西島一成こと俺は「ジマ」と入力した。続いて「種族はどれにしますか?」と表示された。人、鬼、ドワーフ、エルフ、天使、悪魔の6種類が出てくる。尚、人とのハーフ限定で人×鬼や人×悪魔のようなことも出来るらしい。これにはジマは「鬼」を選んだ。見た目を変えることが出来るのが髪型、髪色、目の色だけだったので、黒髪にそれと目の色を赤に変更した。


それだけでまた意識が反転し、始まりの街に「ジマ」として降り立っていた。ただし、ハイハイの格好でだ。つまり冒頭の状態というわけだ。


このVRゲームはCountless possiblyと言い、略称としてシーピーと呼ばれていた。シーピーは自由度が高く、スキル制だが、自分の努力次第でスキルを習得出来る。だからといって、ハイハイから始めなくてはいけないとは、予想だにしなかった。周りを見渡すと他にもハイハイをしている者がいる。普通に立って歩いている同胞をみるに、チュートリアルをスキップしたかららしい。


ジマの選んだ「鬼」は鈍足である変わりに物理耐性と腕力が強いのが特徴だ。ハイハイするのも遅い。羞恥に耐えながらハイハイすることゲーム内時間30分、頭の中でポーンと音が鳴り、ようやく「二足歩行」が可能になった。ちなみに、ゲーム内時間は1日で現実の3時間に値する。


ハイハイする新参者に対してジマは「頑張れ」と心の中で呟き、練習場に向かうことに決めた。スキルを確認すると、「二足歩行」を取得していたからだ。まだぎこちない体を馴染ませるためにも、スキルを新たに取得するためにも必要なことだろう。練習場は無料で貸し出されているらしい。サンドバッグのある部屋を指定して早速、殴る、蹴るを繰り返す。「ジャブ」「ストレート」「フック」「ローキック」「ミドルキック」「ハイキック」「前蹴り」「膝蹴り」を習得する頃には、ゲーム内時間で6時間は経過していた。そしてこれらのスキルが統合して「キックボクシング」に変化していた。だがジマの目指す格闘技はそこではない。肘打ちをサンドバックへ繰り返す。すると、ポーンと音が鳴り、「肘打ち」を習得し「ムエタイ」へと進化した。これこそがジマの求めていたスキルだ。


早速、始まりの街を出てモンスターを狩りに行こう。鈍足がどの程度なのか検証する必要がある。ドシン、ドシンと歩いて行くと、スライムに遭遇した。ポヨンポヨンと跳び跳ねるスライムは決して速くない。スライムの攻撃を全てかわしてみることにした。そうすると、体が僅かだがスムーズに動くのを感じた。ドシンドシンくらいには速く動けるようになったのだ。そこで練習相手になってくれたスライムを倒す。ジャブ一発で倒せたことに少々驚いたが、腕力が上昇しているため、ある意味納得もした。ドロップ品は、スライムの核一個。それも低品質だった。


始まりの街に戻る途中、ジマに一通のメールが届く。

「せっかくだし、ゲーム内で会ってみない?」

宛名を見ると「ユリ」と書いてある。ユリはキックボクシングをしている稽古仲間だ。すぐに

「良いね、始まりの街で会おう。髪は黒髪、目は赤色だから、声をかけて」

と返信した。


これからのシーピーライフが楽しくなりそうだ。



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