4話
4,部活動大戦前
入学してもうすぐ1ヶ月が過ぎようとしているある日の終会、母さんからある情報がもたらされる。
「皆さんはもう学園の生活にも慣れてきた頃でしょう。まもなくすると、部活動大戦が始まります。詳しい内容に関しては明日、話したいと思います」
どうやらもうすぐ部活動の対抗戦が始まるらしい。…それって、他の部は3年生か2年生の中でも強い人が出てくるのか。ていうかほぼそうなのか。ということは、マホ研はかなり不利じゃないか?まあ、今考えても無駄か。今は忘れよう。
「そういえば健くんのお母さんって、学校では里ちゃんって愛称で呼ばれているらしいね」
「ああ、そうみたいだな」
俺はそれについて以前から知っていた。この前、風間兄弟に挨拶ついでに俺が里見先生の息子だと伝えたら、
『里ちゃんの息子!?』
と『里ちゃん』という謎のワードが出てきたので本人に聞いてみると、どうやら母さんは学園の先生の中では1番の人気があるらしい。そこからアイドルのように愛称をつけられたらしい。そしてその名は本人公認らしい。
翌日、先日話していた部活動大戦の説明と競技場の機能について説明してくれた。
「部活動大戦は部活動ごとに3人を選出し、文化戦と対人戦を行います。文化戦は予選リーグです。3リーグありそれぞれのリーグで最下位の部は敗退します。そして対人戦はトーナメントです。3人で出る順番を決め、1番から順に戦っていきます。ちなみに各リーグの1位でじゃんけんを行い、シードを決めます。次にこの競技場についてです。ここにはセーフティ機能がついています。銃で撃たれても、剣で切られても、どんなに攻撃をくらっても怪我をしません。ですがダメージ感覚は残るので気をつけてください。あと中にはフィールドがあります。これからたくさんの大会があります。その時のルールはダメージ蓄積などによる気絶、またはフィールドから出たら失格となります。気をつけて戦ってください」
皆は普通の返事をしたが、俺はコクリと頷いただけだった。ある程度は知っていたからな。
「それでは模擬戦を始めたいと思います。対戦相手を見つけたら中に入ってください。フィールドは計10個あります。使用中のところには『USE!!』と光っているのでしっかり確認してください」
そうして模擬戦が始まった。
「健渡、やろうではないか」
「よろしくなリュウ」
「櫻ちゃん、やろう!」
「うん、お願いします」
まあ大体仲のいいやつと組んでいるな。俺はリュウと、友佳は櫻と組んでいる。
『始め!!』
合図で同時に10試合始まった。
「ハアァァアァァッ!」
俺の懐に潜り込んできたリュウはそのまま俺を投げようとした。が、
「!?」
逆に俺がリュウを投げた。
【移動系魔法『接触移動』】
【相手と自分の位置を入れ替える】
魔法名の通り相手に触れてないと発動しない技だ。咄嗟に出したものなので簡単だし魔法力の消費は少ない。
「今度はこっちの番だ!」
次に放った魔法は、
【火炎系魔法『大火炎』】
【火炎球を指定座標にぶつける】
「オラァァァァーーー!」
あっ、流石にやりすぎてしまったか?いや、大丈夫だったがフィールド外にいた。直撃したら気絶レベルだったことから見て避けたが玉が落ちたあとに発生した暴風によって吹き飛ばされて外に出たようだ。
『かっ、神山隆冥失格!』
急な出来事だったため、カメラを見ながらくつろいでいた母さんの声が裏返っていた。魔法使いが近距離の特技を持っているやつに長い時間をかけると思っていたのだろうか。まあ、あの時反応が遅れたらまだ分からなかったがな。
「ありがとう、楽しかったよ」
「すごいな、つよすぎないか?」
「ハハハ、ありがとう」
他の人が待っているので、俺たちはすぐに競技場をあとにした。ちなみに、友佳vs櫻の試合は櫻の勝利だそうだ。友佳曰く、
『特に薙刀って言ってたけど剣も強かったよ!完敗だね』
らしい。確かに武器全般といっていたな。さらに櫻は力よりもスピード・手数系らしい。ということはかなりスタミナがあるようだ。それを確かめるのも含めてマホ研代表決定戦を開かないとな。この競技場は教師に理由とともに届け出るとできるようだ。
マホ研代表決定戦が幕を開けた。俺たちが今日使えるのは第一及び第二フィールドなので今日行うのは一回戦のみ。ちなみに俺はシードなので暇だから応援しようと思う。さて誰を見に行こうか。せっかくだから友佳や櫻、リュウ以外の部員の実力を確かめておきたいな。じゃあ、神木幸大vs末木悠のを見に行くか。まず選手の紹介をすると神木君の特技は短剣、末木さんはハンドガン系だ。誰もが同じ予想するだろう。これは末木さんが勝つだろう。試合が始まった数秒後、俺は驚いた。なんと神木君が銃弾を避けていたのである。流石に末木さんも驚いているようだが焦ってはいないようだ。左に備えていた拳銃を抜いて2丁拳銃スタイルだ。更に驚いたのは彼女が使っていたのは母さんがトップに立つ『雲田研究所』が制作している疑似魔法発射拳銃だった。どういう原理かはおいておいてほしい。入っていたのは火炎系魔法『火球』。連射性能は低いが拳銃の方でカバーしている。いい戦い方だ。それに神木君の体力はもう残り少ないだろう。末木さんも同じように考えたのだろう、魔法を切り替えたようだ。風系魔法『圧縮空気弾』。この魔法によって神木君は場外へ。勝者は末木さんだ。他の試合の勝者は友佳、櫻、リュウ、江藤叶さんになった。これはいつものメンツになりそうだ。これは次が楽しみだな。
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健:「いやー、君たちの試合は驚きが多かったよ」
悠:「確かに銃弾を避けられたのは驚いたよ」
健:「それ以上に末木さんが魔法拳銃を使っていたのが驚いたよ」
悠:「そんなに?」
健:「そりゃねぇ、あれは雲田研究所の作品だからね。それも最高性能の」
悠:「そうなんだ。これは貰い物なんだけどね」
健:「もしかして、お父さんって末木遼太郎さんか?」
悠:「うんそうだけど」
健:「それならなぜ持っているかわかるな。俺はお父さんと知り合いなんだ」
悠:「そうなんだ。確かにお父さんは雲田研究所で働いているからわかるかな。帰って聞いてみよ」
健:「そうするといいよ」
悠:「じゃあ帰ろっかな。じゃあね」
健:「また明日」