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異世界にて何故かゴミ拾いをしています

ここ、アンスバッチの西ギルドは平原の中にポツリと位置するひし形の町にある。町の名前はサイブルとなっているらしいが、西ギルドと呼ぶ方が一般的らしい。そして、町の外周「フィールド」で俺達は必死にゴミ拾いをしている。

「ったく何だよこれは。リテラシー皆無だろ・・・」

探すまでもなく、草むらから空き瓶やら道具やら沢山出てくる。渋谷のゴミ達と密集率は変わらないんじゃないか?

「ほら、集中してください。どうせ今日のご飯を買うお金もないんでしょ?」

少し休憩していたらリアから注意される。少しくらい休憩しても良いじゃないか。夕飯を買うお金すら持っていないのは事実だけどね。

「・・・冒険者ってこんなものなのか?」

正体不明なモンスターと命を賭けて戦う日々も嫌だけど、ゴミ拾いで終える人生はもっと嫌だ。

「はい、こんなものですよ」

やっぱり夢物語は存在しないらしい。だけど忘れちゃいない。メイド喫茶がないと知った時から俺は新しい人生に目標を立てたんだ。そう、”メイド喫茶を作る”ことだ。無いなら作れば良い。そう、そのためにゴミ拾いをするんだ! 下積み時代のない成功者なんて存在しない。前世での社畜ぶりを活かして頑張るんだ俺!

「それにしても私もこんなにゴミがあるとは思いませんでした」

今や三つの布袋をゴミで一杯にしたリアが呟く。

「ゴミを焼く場所とかないのか?」

「それはありますよ。だけど町の外れにあるんで持って行くのが面倒くさいじゃないですか。だからここにポイッと捨てるらしいです」

「迷惑な話だな」

「そしてルヒトさん以外は自ら進んでゴミ拾いなんてしないですから。こんなにゴミが溜まってるんです」

「時給重視だからな。言っただろ? 俺は喫茶店を経営したいんだ」

「そうですね! 是非その時には雇ってくださいね!」

「勿論だ」

ロリっ子メイドなんて一部のコアな層にストライクだろう。経営にチャーミングなこの逸材を逃す訳にはいかない。

「・・・何考えてるんですか?」

未来に思いをはせていたらジッと見つめられていた。

「・・・今日の夕飯だ」

「それなら手を動かしてください!」

お節介だなぁ。この子、小学生と全く身長が変わらないくせに悔しいほどしっかりしている。世の中の19歳ってこんなにしっかりしていたっけ。


夕日が草を赤く染める。異世界に来て数時間。濃いようで、中身を見てみるとゴミ拾いしかしていない。・・・なんだこの異世界生活。

「そろそろ終わりにしますか?」

ギルドから貰った布袋を全て使い、ありったけのゴミを詰め込んだ。容量としては45L程で、ざっと数えたところで30個前後の布袋。

「そうだな。暗くなる前に帰ろうぜ」

「はい!」

手に布袋を持ち、立ち上がる。

そして気付く。

「リア、あと25個くらい持てるか?」

「・・・その言葉をそっくり返して良いですか?」

どう考えても一人で持てるのは2個で限界。男のプライドを加算したら何とか3個。つまり、30個の布袋を持ち帰るは不可能だ。

「ルヒトさんは”男の子”ですよね! お願いします!」

さっさと布袋を持って退散するリア。

「いやいやいや! それは無理だろ!!! ってか待てよ!」

「・・・分かりました。明日、ギルドから手押し車を借りましょう」

「それが出来るなら先に言えよ!」

夕焼けの中、クスッと笑うリア。

「早く行きますよー!!」

「ちょっと待て! 何とか4袋持てそうなんだ!」

袋がはち切れそうな量を入れているから片手に2つ持つとかなり限界だ。やっぱり3つにすべきか・・・。



苦労して布袋を指定の場所まで届ける。その後にギルドに行き、報酬を受け取る。

「一人3400ピアですか・・・。結構稼げますね!」

「・・・そうだな。意外と良いって思ってしまった」

「ルヒトさんの金銭感覚って多分ずれてますよね・・・」

どうやらこの3400ピアはかなり高い給料らしい。だけどあれだけ働いて3400ピアか・・・・あ、でもまだ残している布袋があったな。あれを持って帰ると・・・34000ピア? あれ、このゴミ拾いの仕事、結構高給取りなのでは!? ・・・それだと、何で皆はやりたがらないんだ? 

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