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冒険者は短期アルバイトと同じでした

パーティー。共にクエストを行う仲間。貢献度に応じて報酬がメンバーによって違うギルドもあるらしいが、俺とリアが所属しているアンスパッチ西ギルドでは報酬を貢献度に関わらず等分する方式を採用している。・・・ふむ。


「つまり、俺がクエストの最中にサボっていても報酬は貰えるのか?」


「・・・貰えます」


なるほど。どうやら実力主義の近代日本ではなく、大企業に勤めることが正義だった数十年前の日本と同じ制度か。


「で・す・が!!!!!サボらないでくださいね?」


威嚇したいのだろうか、頬を膨らますロリ小学生。残念ながら実家に居るトイプードルが尻尾を振るくらいの恐怖くらいしか伝わらない。


「まずはクエストを1つ受けてみます?」


唐突にクエスト受注の提案をするリア。このままゆっくりしていたい気持ちも少しはあるけど、若くなった身体は異様に運動を求めている。


「分かった。それじゃ、集会所に戻るか」


「はい!」


今からクエストを受注する気満々に見える装備のリア。隣には手ブラの俺。共に見つめているのはクエストボードにある数々の依頼。


「なぁ・・・クエストってこんなものなのか?」


依頼の多くは工場の短期手伝い。あとは家の掃除、害虫駆除、引っ越しのお手伝い。うん・・? 短期アルバイトの募集ページか? 


「こんなものって何ですか?」


疑問をリアにぶつけたら新たな疑問を返された。どうやら俺の想像が間違っていたらしい。


・・・普通はモンスターを狩って、魔王を倒してっていうのが異世界でしょ!誰も異世界に工場の短期バイトなんて求めてないよ!


「いや、うん。何でもない」


素敵な先入観で埋まっていた異世界生活を諦め、短期バイトの募集ページ、いやクエストボードをよく見る。確かに異世界らしい募集が無いわけではない。例えば、畑から作物を奪うモンスターの駆除とかが1番異世界らしいかな。あ、ゴミ拾い<モンスター遭遇に注意!>もこの中では異世界らしいな・・・。


「これにします?」


リアが指差したのは{洗濯用石けんの製造<急募>}


「ほら、条件がかなり良いですし」


笑顔で指差す先には時給490ピア。


「絶対嫌だわ!!!!!!!」


この世界の1ピアは1円と大して変わらないことは市場に居た時に気付いている。誰が働くか!全国どこの県と比べても最底賃金を大きく下回っているぞ!


「な、何ですか!?こんなに良い条件ってそうそう見つからないですよ!」


「はぁ? せめて860ピア。そもそも無理だろ、この賃金でどうやって暮らすんだよ!」


「それならフィールドに行くしかないですよ?」


「・・・行けば良いじゃないか」


「武器もないのに?」


「・・・」


そうなんだよな。射撃士とかになってるらしいんだけど、射撃できる武器を持ってないんだよね。武器を買おうとしても、お金がないから武器を買うことすら出来ない。


「・・・分かりました。これにしましょう。もし、モンスターが出てきたら私だけで頑張ります」


リアが指した先には{フィールドのゴミ拾い<モンスター遭遇に注意!>} あ、これさっき見つけたやつだ。


「このクエストは最終的に集めたゴミの重さで報酬が決まるらしいです。私の見立てだと、1時間頑張れば1000ピアに到達しそうです」


「・・・それにしよう」


「あれ、ルヒトさんは私にお願いする立場なのでは?」


ニヤニヤしながらこちらを見上げるリア。


あ゛!! コイツ! 実は腹黒いタイプだ!!!!!


こんな小学生に頭を下げるのは癪だが、お金の為だ。仕方ない。


「よろしくお願いします」


頭を45度に下げてお願いをする。


「はい!了解です!」


頭を下げても尚、下から聞こえる声に少しの優越感を抱いた。


いやいやいやいや! 


嘘だから!俺、そんな人が悪い方じゃないから!勘違いしないでね!!!

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