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出会い

受付嬢の反応からして、この世界にはメイド喫茶は存在しないらしい。

いや、分かってたよ? この世界に来てから薄々気付いていた。所々に文明の遅れが垣間見え、武器をぶら下げた人が普通にあるいているこの世界。そんな世界にげ現代日本人が必死に考えて生み出した至極の極楽、メイド喫茶がある訳がないと。

それでも・・・それでも、もう一度くらい!

「メイドさんが働いているお店なんですけどぉ・・・・」

あ、すっごい不審そうな目で見られました。

「・・・ないですよね! そんなもの!」

涙をこらえながらメイド喫茶の存在を自ら否定する。

「・・・はい」

気味悪がられているのかな。心なしか声色がさっきまでと違う気がする。

「・・っと出来ました! これがギルドカードです!」

羽ペンらしきものを置いて、素材不明なカードを渡される。これは・・・紙、いや金属なのか? それにしては軽い素材だ。これまで30年生きてきたけど、こんな手触りと質感のモノに遭遇したことはない。改めて、元の世界とは違うことに気付かされる。

「あとはここにお名前を書いてください!」

そう言って羽ペンを差し出す受付嬢。さて、北地成人っと・・・いや、ここは改名すべきか? それに、この世界の人達はどんな名前を持ってるんだ? もし、元の世界と名前の形式が大きく異なったら厄介なことになるのは明白だ。

「あの・・・」

ヤバい。受付嬢が改めて不審な目線をよこしてくる。ここはとにかく書かなくちゃ。うーん・・・仕方ない、ナルヒトにしよう。いや、四文字だと言いにくい。ルヒトにしよう。異世界転生モノの名前って大抵こんな感じだもんね。

「ルヒトさんですね。」

「あ、はい」

先祖から頂いた苗字は切り捨て、両親から頂いた名前は省略し・・・・。少し罪悪感が出てきた。ごめんさい。

「それではギルドカードの説明をしますね!」

コホンッと咳払いをし、受付嬢が説明をし始める。

「このギルドカードには、ルヒトさんの職種、年齢、ステータスが書かれています。ステータスの中でも能力値に関しては、ルヒトさんの活躍次第で自動更新されます。ただし、ランクについてはギルドで管理しているので、依頼の報酬受け取りを窓口でする際にカードを出してください。そして、ランクを上げると様々な特典があるので頑張ってください!」

「例えば、どんな特典が・・・?」

「そうですね、えーとランク50に到達したらギルド内での食事が10%引きになります。ルヒトさんはまず、ここを目指しましょう!」

なるほど。会員ランクみたいな感じなのか。それにしても食事が割引になるのは大きいな。元の世界では一切自炊をしてこなかったからかなり助かる。

「えーと、あとはギルドの無料共同宿舎は使いますか?」

「使います!!!!!」

「あ、はい。それでしたら、ここの3階から上を自由に使ってください。一部屋、4人までなので空いている部屋を見つけて入ってもらって大丈夫です」

宿を見つけられた喜びで思わず大声を出してしまった。いやー便利だな、ギルド。無料で使っていいなんて最高じゃないか。

「ただし、一か月以内にランク50に到達しなかった場合、滞在料金が発生するので気を付けてくださいね」

・・・・計画していたニート生活は一瞬で崩れ去った。そうだよね。無料で泊まれるなら、みんな最低限しか仕事しないよ。

「これで説明は終わりです! それでは、またお会いできるのを楽しみにしています!」

「あ、はい!」

さて、今から何をしよう。ポケットを探っても何も出てこない。本当に手ぶらで異世界に来てしまったようだ。持っているのはさっきもらったギルドカードのみ。・・・一応、ステータスを確認してみるか。

えーと・・・・・うん、想像通りのステータスだ。何一つ、チート能力は保持しておらず、ステータスも至って平凡。AからEまでの幅で、ほとんどがD。嬉しいことに知力はCになっている。・・・喜ぶ程でもないことなのは自覚している。

まぁ、後は部屋探しかな。階段を見つけ、5階まで上がる。どうせ3階とかは空いていないだろう。立体駐車場の空きを探すコツと同じだ。

部屋を見て回るけど、全て満室になっている。もしかして、空いてないとか・・・。あ、あった! 少し向こうの部屋に空いているとの文字が・・・・!

「私が入ります」

後ろから女性の声がする。

振り向くと・・・誰も居ない?

「・・・気のせいか」

「ここです!!!!!」

下を見ると・・あぁ、居た。小さくて見えなかったよ。

「残念だけど、俺も部屋を探していてようやく見つけたところなんだ」

ここで譲る訳にはいかない。俺の生活がかかっている。

「奇遇です。私も探してようやくここを見つけました」

金髪の少女が俺の服を引っ張る。可愛いけど、生憎恋愛対象年齢外だ。俺はロリじゃない。だが、少女の次の言葉に全俺が衝撃の波に撃たれた。

「あと、私19歳ですから」

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