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メリークリスマス!


ウチは神道だけど……(笑)

 この国の王族にはある風習がある。

 国王は生まれてきた第一子の男児、王位継承者になるであろう者に、自身の名の一部を国の繁栄を願い与えるというものだ。

 ベルガーナルドからヴェルティエフォルトへは「ベル」の読みが同じになる「ヴェル」、ヴェルティエフォルトからクォーツフォルトの「フォルト」がそれである。


 必ずしも第一子に王位敬承されるとは限らないが、この風習は王立以来長く続く伝統であった。



 (ちな)みに学生には「歴代の国王を覚えやすい」と好評であり、第一子が敬承されなかった時代は「順番が狂う!」と嘆いたりと…ちょっぴり嬉し悲しの余談があったりもする。



 ◆◆◆◆◆



「父上!僕達の名はどのように付けられたのですか?」


 シルバーアックスの前によく似た少年が2人走ってきて、嬉しそうに質問してきた。

 それはシルバーアックスの子、シルバーソードとシルバーランスという名の双子である。


「ん?名前か?お前達は(わし)と同じ白銀の髪だかシルバー、それに(わし)(アックス)だろう。同じように武器を名を付けたのだ。(ソード)(ランス)。どうだ。覚えやすくていいだろう」


 満足そうなシルバーアックスとは反対に、愕然(がくぜん)と落胆な色を隠せない双子であった。

 それもそうであろう。双子は先程家庭教師から、この国の風習を習い、自分達の名前も父親の一部を受け継いでいるのと合わせて、両親から期待と願いを込めて付けられた物だと勝手に想像していたのだから。


(シルバーは髪の色……。(ソード)(ランス)も「国の剣と槍となれ」ともっとカッコいい理由があると思ってたのに……。覚えやすいだけ…)


 まだ諦めきれない双子は、そこにいるもう1人の人物、母親ララーナに向き直る。


「…母上はそれで良かったのですか!」

「あら?(わたくし)も覚えやすくて良いと思いましたよ。それになんだか面白いじゃありませんか」


 コロコロと微笑むララーナを見て、双子は悲しそうに互いの顔を見合わせるのであった。


 落胆する双子を楽しそうに見ているシルバーアックスとララーナは思う。一部を敬承する王族よりも、同じ髪の色のシルバー、同じように武器の名と、すべてを敬承させている両親の願いに、双子はいつ気づくのだろうか…と。



 ◆◆◆◆◆



 シルバーアックスは孫であるミューズフェルを見守りながら、懐かしい風景を思い出していた。


(ソードよ。お前の子は(わし)が何があろうと守るぞ。例え王族であろうが今度こそ(・・・・)は……)



 そんな思いのシルバーアックスとは裏腹に、クォーツフォルト達はミューズフェルにささやき続けていた。


「ミューズフェル、私の事を愛しているだろう?」

「あの……」

「ほら、恥ずかしがらずに言ってごらん」

「…………えっと」

「殿下。ミューズフェルは貴方の事を愛していないと言ったではないですか。本当は私の事を重ってくれているのです」

「……そ、それは…」

「違うよ。僕の事が好きなんだよね?」

「え……」

「お前達じゃか弱いミューズフェルを守れない!俺が守ってやる」

「あ、あの……」

「私は魔術で何者からも守ってやれます。だから私にしなさい」

「で、でも…」

「お前達黙れ。ミューズフェルは私が守ってやるから大丈夫だ。だから皆に聞かせてやれ」

「…………………」


 潤んだ瞳で真っ赤になり震えている庇護欲をそそりまくる愛らしい少女は、誰が見ても恥ずかしがっているようにしか見えなかった。

 その姿にヴェルティエフォルトは苦笑した。


流石(さすが)だな、【FF】のミュー」

「エフエフ……?」


 ヴェルティエフォルトの言葉にクォーツフォルトが聞き返す。だがルートロックはその言葉で何かに気づいたように、驚きの表情でミューズフェルをに視線を向けた。

 そして会場内にも(わず)かながら驚きを表す者もいるようだ。


「そうだ。お前達がか弱いと称しているその少女は、冒険者登録をしている」

「冒険者……FF………。冒険者と言ってもペーパーじゃないですか!やはり私が守ってやらなくては…」



 ◆◆◆◆◆



 冒険者はその強さによってクラス分けがされている。

 上からS・A・Bと続き一番下がF。そしてクラスによって冒険者カードの材質と性能が変わってくる。

 冒険者はクラスで呼ばれることもあれば、その冒険者カードの材質で呼ばれることもある。


 FFとはFにも満たない冒険者、つまり見習いであり、冒険者カードの材質は(ペーパー)であった。



 ◆◆◆◆◆



 皆の反応を伺ってヴェルティエフォルトは言う。


「ふむ。ルートロックは知っているようだな。【FF】はクラスでなく(ふた)つ名だ。彼女はBクラスの冒険者【FF(フェイクフェイス)】のミューだ。強さだけならお前達が(かな)う相手ではない」

「……Bクラス……フェイクフェイス……?」


 父親の言葉を呆然とつぶやき、クォーツフォルトは可愛らしく(はかな)げに震えてるミューズフェル見た。


「………いや、でも…」

「殿下。俺も鍛練の為に冒険者登録して活動しているが、【FF】のミューの噂は聞いたことがある。可愛い顔をしてめちゃくちゃ強いと…」

「……フェイク…フェイス……。確か【黄昏(たそがれ)の聖女】の子がそう呼ばれていると聞いたことが…」


 ルートロックにの言葉にザイールがつぶやいた。


「【黄昏(たそがれ)の聖女】って……【白銀(しろがね)の剣聖】と結婚してた……よね?」


 ヨハンパーシバルが驚きの表情のまま機械的に口を動かす。


「……そういえばその2人は数年前から噂を聞かない。ミューズフェルがレイフォス家に引き取られた時期を考えれば…」


 ミューズフェルに視線を移し、マイクランドルが考えを言った。



「そうだ。【白銀(しろがね)の剣聖】スノウと【黄昏(たそがれ)の聖女】ルビーの子が、そこにいるミューズフェル・レイフォス嬢だ」





この国の風習、クォーツフォルトはどこを敬承するのだろうか?


………クォー?

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