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難産でした。
4人の令息達に名前が付きました(笑)
ミューズフェルの言葉に少し驚いたような表情をするアルティスミーナ。彼女の次に出るであろう言葉に注目が集まる。ミューズもそれに違わずゴクリと唾を飲んだ。
「………あなた…敬語が使えたのね…」
(ええーっ!?そこっ!?)
おそらく会場内の意見が一致したのであろう。緊張した空気が一瞬にして霧散した。
「あ…いえ、あたなと殿下との会話を耳にしたことが……」
皆の唖然とした視線を受け、ちょっぴり頬を染めたアルティスミーナであった。
「あ、あれは殿下が敬語を使うなと…」
「そうだ!愛し合う私達の間には敬語なんて必要ない!」
(愛し合ってない!)
まだ離してくれないクォーツフォルトの腕の中で、怒りの余り震えるて真っ赤になるミューズフェルであったが、勿論周りから見れば、それはクォーツフォルトの言葉に感動しているように見えてたりするのだ。
「クォ……殿下…。もう…離してください…」
「…………!?」
ミューズフェルは溜まらずに言ってしまった。
それは全て怒りの為であるが、震える声で頬を染めて潤んだ瞳で上目遣い…その姿に今度はクォーツフォルトが真っ赤になった。こちらは勿論怒りではない。
傍目から見ればイチャイチャである。
ミューズフェルに同情的だった人々もその様に眉をひそめた。
「……それで証拠というものは?」
「そ、そうです。証拠は何処にあるのですか?」
「ミューズフェルが嘘をつく訳ないだろ?」
「……………」
絶対零度のアルティスミーナ。
頬を染めて(しつこいようだが怒りである)上目遣いなミューズフェル。
ミューズフェルに甘くささやくクォーツフォルト。
カオスである。
「ま、待ってください。私はさっきも言った通り想像を言っただけです!」
自身の発言が証拠に値しないということが良く分かっていたミューズフェルは訴えた。
するとクォーツフォルトは両手でミューズフェルの頬を包み込み、優しく微笑む。それは世の女性を一瞬にして虜にする笑顔であった。
「私を信じてくれ」
そうミューズフェルにささやいた。
そんなクォーツフォルトを見る令嬢達は(私にもその笑顔を向けてくださらないかしら)と、こんな状況であるが頬を染めたのである。
一方ミューズフェルは嫌悪感で鳥肌まで立ち、両手で自分を抱き締める。それが怯えて震えてるように見え、またまた庇護欲を刺激されているのだが。
「お前達!」
そんな怯えて見えるミューズフェルを心配そうに庇い、アルティスミーナを睨み付け、そしてクォーツフォルトは4人の令息達に話を促す。
(あ、そういえばそんなのいたな)
会場内の意見が一致した瞬間であった。
「忘れられたと思いましたよ」
と眼鏡をクイっと中指で上げ、答えるのはマイクランドル・ヴィッツ。宰相の息子である。マイクランドルの言葉に(…忘れてたよ)と、決まりの悪さに皆そっと斜めに反らす。
「私に任せておけば大丈夫だよ」
ミューズフェルにぎこちない笑顔で言うのはザイール・ザライスガレー。普段は完璧な無表情の魔術師団長の息子。ぎこちないとは言え、その笑顔に驚きが拡がる。
「ミューズフェルはまだお前のものじゃないだろ!」
クォーツフォルトに不満気に言うルートロック・ナーズダウン。王子に対して不敬とも取られる口調だが、本人は至って気にする素振りもない。因みに騎士団長の息子である。
「そうだよ。愛し合うってなんだよ」
ちょっとふてくされてヨハンパーシバル・ネオは言った。他の3人に比べて幼さを残す少年の髪の色は、クォーツフォルトとよく似た金髪。王弟の息子である。
(えっと、インテリ眼鏡と魔術オタクと脳筋と天然ワンコだっけ?……ワンコって蕎麦?天然の蕎麦?……なんか美味しそうだなぁ…)
鈴華が語った攻略対象者を思いだそうとするが、何故か横道に反れてくミューズフェルであった。それを人は現実逃避と言う。
マイクランドルが他の4人をチラリと見て、再び眼鏡をクイっとする。
「まぁ、ミューズフェルが誰のものかは後でじっくりと話し合うとして…」
(誰のものでもないっ!…って、その眼鏡なんでそんなにずり落ちるの?大きさ合ってないんじゃない?)
それは眼鏡クイっキャラに対する全ての人々の疑問であった。
(そういや本気を出す時に眼鏡外すキャラ。目がそんなに悪くないのかな?裸眼で大丈夫ならかけなければいいんじゃ……?)
そんなミューズフェルの眼鏡キャラへの突っ込みは置いといて話は進む。
「こちらの令嬢達がローディニア嬢に命令されて、ミューズフェルを虐めていたと証言している」
マイクランドルの発言と共に、ずらりと令嬢達が前に出る。それは王太子妃の座を狙いアルティスミーナと対立している令嬢とその取り巻きが主であったが、何人かアルティスミーナの取り巻きもいた。
「アルティスミーナ様がミューズフェル様の荷物を廃棄しろと……。私逆らうのが恐くて…恐くて」
「私はミューズフェル様をお茶会に誘い、毒物を仕込むようにと……」
「私達はならず者を雇ってミューズフェル様を襲わせろと…。申し訳ありません」
「私はアルティスミーナ様がミューズフェル様を階段から突き落とすところを見ました!」
「あなた達………」
驚きを隠せないアルティスミーナに令嬢達が畳み掛けるように言葉を紡ぐ。
「どうだ。これでも言い逃れをするのか!」
「わ、私は…決して…そのようなことはしておりません……」
勝負あったと自信満々なクォーツフォルトと令息達。対照的に友人と思っていた者の裏切りに傷ついたのかアルティスミーナの表情に陰りが宿る。
(ええっ!?証拠って証言だけ!?物的証拠とかそういうのってないの!?)
そんな中、現代社会を生きていた雅の記憶がある為か、ミューズフェルは驚きを隠せないでいた。
裏設定のミューズフェルの両親の話を書きました。ノリノリでした。
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本編(?)ノロノロ更新なのにすみません。