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うちのワンちゃん、コロナちゃん

 東京オリンピック延期になっちゃった。別に楽しみにしてた訳じゃないけど、こんなことってあるのね。延期の理由は新型コロナウイルス。うちのワンちゃん、コロナって名前だったのに呼びづらくなっちゃった。


 私は飼い犬のミニチュアダックスフント・コロナを連れて散歩に出かける。「コロナ!」って大声で呼べなくなっちゃったから、外ではコロちゃんと呼ぶことにした。


 太陽コロナからとって名付けたのにこんなことになるなんて。


 夕方の涼しくなってきたコロナ……じゃなくて頃に、犬の散歩をする。天気が良くて風邪も引いてないのにマスクをつけて。使い捨てマスクは品切れで手に入らないからハンドメイドサイトで手作りマスクを買った。真夏にマスク。暑いけど仕方ない。

 

 散歩中、夏の花をじっくり見ながら歩く。散歩道はいつもいきあたりばったり。私の好きな時間で私の好きな道にコロナを連れて行く。

 それが良いのか悪いのか知らないけど、私が飼い主なんだからそれでいい。子供のように座りこんで、花びらが何枚あるんだろうと観察していた。花にそえる自分の手がボロボロでガッサガサだ。あかぎれがひどい。薬用せっけんで手を洗いすぎた。もっと安いせっけんに買いかえよう。買い物リストを考えながら自分の手を眺めていたらコロナが走り出した。


「あっ、コロナ!……じゃないコロちゃん!」コロナはまだコロちゃんと呼ばれることに慣れていない。仕方ない。家ではコロナと呼んでいるから。


 コロナが急に走るから私の手からリードが外れた。コロナの向かう先は大きなマスクをした男の人。


「うわあーーっ」


「すみませんっ! こらっ、コロナ! ……じゃないコロちゃん!」コロナがハァハァしながら男の人の足元にじゃれる。「すみません!」


「ああ、大丈夫です。ちょっとびっくりしただけで」


 あら? ちょっと素敵な人じゃない?


「すみません、犬苦手でした?」


「いえ、あのう。さっきコロナって……」


「ああっ、この子コロちゃんって言うんです!」コロナって名前は伏せておこう。


「そうですか。わかるのかと思いました」


「えっ?」


「いえ、何でもありません」


「……」


 まさか……。この方コロナに感染しているとか? いや、まさかね。素敵な人だと思ったけどマスク外したらそうでもないかもしれないし、濃厚接触は今の時期は控えた方がよさそうね。


 また会えたらいいな。いつもこの時間にこの道を散歩しよう。コロナもその方がいいよね。免疫力をつけて健康でいよう。お互い健康でいられますように。



 終


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