機械少女は色のない夢をみる
ざあざあ雨の降る日だった。
ヒトのように風邪をひいたりはしないけれど、雨に濡れるのはあまり良くない。部品は錆びるし、内部に浸み込めば思わぬトラブルを起こす事もある。
ーーだからお転婆はやめなさい、と沢山叱ってくれる人がいた。
苦笑しながら、もう大丈夫だよ、と優しく撫でてくれる人がいた。
次はもっと頑丈にしてあげるからね、と約束してくれる人がいた。
今はもう誰もそう言ってくれない。
私は――「あたし」は、もう壊れてしまっている。
直してくれる人も、叱ってくれる人ももういない。
だけどそれで良いのだ。
どうせもうすぐ、みんな消えてなくなるのだから。
ありがとうございました。