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なまけものは、今日も修羅の道を行く  作者: 闘者 在前
第一章
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戦闘?開始!

 オレは最短距離の崖を滑り降りた。

(う~ん、今の所見えただけで、二十三人いたなぁ、ほとんどザコっぽい気がするんだけど)

 村に入る手前で四人の盗賊に遭遇した。

「ん?お前、エルフじゃねえし、オレ達の仲間でもねえな」

「あぁ、なにやら楽しそうな事してるんで、オレも混ぜてもらおうと思ってね」

「殺されにきたのか」

 言うや否や四人一斉に攻撃してきた。

(遅い、遅い、相手をする価値なんて微塵も無い)

 難なく全ての攻撃をかわし、一瞬で蹴りとパンチを四人に浴びせ気絶させた。

(これなら早めに片付くかな)

 オレは村に入ると、目についた盗賊を片っ端から倒し、小さいナイフを何本か集めた。

 十人倒したまでは数えていたが、面倒になったので数えるのをやめた。

(まったく手ごたえが無くて、拍子抜けだなぁ)


 さらに進んで行くと、村の片隅に村人達が集められていた。

 異変に気付き盗賊たちも集まっている、ざっと十人ほどだろうか、その中の一人が前に出てきて。

「何かおかしいと思って、さっき集合をかけたが戻って来たのはここに居るだけだ、二十人以上戻って来ない、これはお前の仕業か?」

「さあな、仕事をサボって、そこら辺で寝てるんじゃないか?」

(おそらくコイツがこの中では頭なんだろう)

「オレ達に逆らうと、痛い目見るぞ、まぁ痛いだけじゃ済まさねえけどな」

 そいつの指さす方に、エルフが何人か倒れている、恐らく見せしめで殺されたのだろう、すぐ横に血が付いた剣を持っている盗賊が二人。

「酷い事するなぁ、お前も人の子なんだろ?」

「オレ達は盗賊だ、極悪非道のな」

 そう言うと、村人の中から顔がそっくりな二人の女の子を連れてきて、首に刃物を当てた。

 女の子達は二人とも髪の毛が薄いピンク色をしてセミロング、そして瞳の色が左右で違う、一人は右目がスカイブルーで左目がライムグリーン、もう一人はその逆だ。

「動くなよ、動けばどうなるか言わなくても分かるよな」

 女の子二人は恐怖で固まっている。

(やれやれ、腐りきってるなコイツ、生かしておく価値無し、エルフを殺したヤツらも同様だ)

 オレはエルフの女の子二人に向かって。

「よく聞け二人とも、助けて欲しいか?」

「何を言ってるんだ、このガキは、今の状況が分かってないらしい」

 盗賊たちは、みんな笑っている、人質を取っている為、油断しまくりだ。

「もう一度しか言わねえぞ、助けて欲しいか?」

 女の子二人は、二人同時に小さな声で言った。

「たすけて」

「よし、よく言った」

 オレは大きく頷いた、すると盗賊が。

「オイオイこのガキ、この状況で本気で助け出すつもりらしいぞ、しかしなぁこのエルフ二人は高く売れそうだから、お前には渡せんな」

 さらに大笑いする盗賊たち、オレは一応最後通告をしてみた。

「お前らが、このまま立ち去るってんなら、見逃してやってもいいが?」

「お前本気でいってんのか?バカなヤツは嫌いだ、あの世に行って悔やんどけ」

 人質を取ってるヤツとエルフを殺した二人以外の盗賊達はオレを囲みだした。

「これは交渉決裂ってやつか?」

 オレは右手にナイフを忍ばせながら言った。

「そうゆう事だ」

 それを聞いた瞬間にオレは隠し持っていたナイフを素早く投げた。

 人質を取っていた盗賊の眉間にナイフが突き刺さり後ろに倒れる、エルフの女の子は、その場にへたり込んでしまった。

 続いてエルフを殺した二人の盗賊に連続でナイフを投げる。

 さっきと同様二人の眉間にナイフが突き刺さり、崩れ落ちる。

 オレを囲んでいた盗賊達は一瞬の出来事に何が起きたか把握出来ておらず、動きが止まった。

(おまえら本当に極悪非道の盗賊かよ、まるでシロウトじゃねえか)

 すかさず残りの六人を難なく倒した、ちなみにオレが倒した盗賊達は全員どこかしら骨を折って気絶させておいた、ほとんどが足の骨を折ったはず、すぐに逃げられないように。


 オレは、いまだにへたり込んで動けないでいる女の子二人の所に行き、しゃがんで二人の頭を撫でた。

「よく頑張ったな、怖かっただろうに、二人共えらかったぞ」

 すると我に返った二人はオレの胸に顔をうずめ大声で泣きだした。

「そうだよな、今は存分に泣いとけ、気が済むまでな」

 しばらくすると、一人の男が近寄ってきた。

「村を救っていただき、感謝してもしきれない、本当にありがとう」

「あぁ、全然気にしなくていいさ、そんで、あんた誰?」

「これはすまない、いまだに気が動転してるとみえる、私はこの村の村長を務めさせてもらっている『エイデン=クラーク』と言う者だ、それでそなたはいったい何者なのですかな?」

「なら、ちょうど良かった、オレは『イツキ=オトハ』ノネット村の村長から、これをあんたに届けろって言われて来た」

 そう言ってオレは荷物を渡した。

「そうでしたか、これは我々にとってなんたる幸運、リーナ殿にも感謝しなくてはならぬな、しかしイツキ殿はノネット村から来たと申された、そなたの顔は初めて見ると思うが?」

「そりゃそうさ、オレは半月ほど前からノネット村にやっかいになってる新参者だ、知らないのも当然だな」

「一人で来た訳ではないであろう?」

「あぁ、途中まではアシリアと一緒だった、黒い煙が上がっていたのが見えたから、急いで森を抜けてあの崖まで来たら、なにやらただ事じゃなかったんで、アシリアは村に応援を呼びに帰ってもらった」

「そうゆう事でしたか、重ね重ね感謝いたします、しかし助けて頂いて何も恩返しもしていない身で恐縮なのですが、イツキ殿、早くノネット村に戻った方がいいかもしれん」

「あぁ、礼はいいって、それで戻った方がいい理由は?」

「おそらく、ここに来た盗賊共は『モンタニュー窃盗団』の下っ端でしょう」

「モンタニュー窃盗団?」

 いまだにオレから離れない二人の女の子の頭を撫でながら聞き返した。

「はい、ここ何年かで大きな組織となって、王国も手を焼いているとか、そこの頭を張っているのが確か『ハシッド=バラン=モンタニュー』と言う男で、噂では誰にも負けた事が無いとか、私の思い過ごしならいいのですが、ここに下っ端しか来なかったのは奴隷として何人か連れ去るのが目的で、窃盗団の本隊はノネット村に向かったのではないかと」

「仮にその通りだとして、目的は何か心当たりはある?」

「おそらくは、リーナ殿とアシリアで間違いないだろう、二人とも美しいですからな」

「そんじゃ、アシリアを戻したのは間違いだったのか、でもあの鬼村長がそう簡単に負けるとも思えないんだけどなあ」

「私もそう思いたいが、ハシッドと言う男には適わないだろう」

「そんなに強いのか?」

「私の聞いた限りでは、規格外の強さだという、しかしイツキ殿が本気を出せばもしかしたらと私は思っているのだが、どうかね?」

「随分な高評価ありがとさん、しかし今から走って行っても間に合わないんじゃないか?それに村長あんたの予想だろ?」

「確かに、絶対ではない、が、予想が当たっている確率の方が高いと思うぞ、とりあえずの礼として、この村最速の馬を出そう、そうすれば間に合うかもしれん」

「だけどオレ馬なんて乗れないぞ」

「問題ない、一人付ける、イツキ殿は掴まっていればいい、早速用意してこよう」

 そう言うとエルフの村長は、行ってしまった、そして二人の女の子が。

「イツキ行かないで!」

「私達から離れちゃイヤ!」

 困った、どう説明すればいいか全く分からないが、なんとかなだめようとした。

「そうだなぁ、じゃあ約束しよう、オレはアシリアを助けたらすぐここに戻ってくる、代わりにこれを持っててくれ」

 と言って、オレは二人にメダルを渡した、オレが転移した時たまたま持っていたゲーセンのメダルだ。

「私、ミア『ミア=ハリス』って言うの、こっちは妹のミラ、私達は双子なの」

 少しは落ち着いてくれたらしい、右目が青い方がミアで右目が黄緑の方がミラだ。

 ミアが自己紹介してくれて助かる。

「そうかやっぱり双子だったんだ、目の色が逆じゃなきゃどっちがどっちか分からないもんな」

 しかしミラは心配そうに。

「本当に戻って来てくれる?約束よ、絶対だからね」

「あぁ、必ず戻ってくる、だから少しだけ待っててくれ」

 そこに馬を引いて村長がやってきた。

「この馬で向かってくれ、村で一番の早馬じゃ、それとこっちは馬乗りのトーレスじゃ」

「それじゃ急ごう、トーレスさんよろしく」

 オレは馬に乗りノネット村に引き返した。

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