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なまけものは、今日も修羅の道を行く  作者: 闘者 在前
第一章
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和気あいあいな食事?

 着替え終わって部屋を出ると今度はヴィレムが待っていた。

「こっちだ」

 ついていくと、いい匂いが漂ってきた。

 部屋に入ると、テーブルの上には豪勢な食事が所狭しと並んでいる。

「すごいな、もしかしてオレを歓迎してとかじゃないよな?」

「いつもこんな感じだ」

「そうなんだ」

(これでもかってくらい、肉・肉・肉なんですけど、こんなヘビー級の食事を毎日?)

 そして村長が部屋に入ってきて、つっ立っていたオレに。

「早く座りな」

 と言いながら、村長の隣の席の背もたれを、ポンポンと叩いた。

(隣に座れと、まぁ仕方がないよな)

 オレのあい向かいにアシリアが座った。

「いただきます」と言いながら、手を合わせた。

 食事を始める際の日本流の挨拶をすると三人がこちらを見てヴィレムが。

「今のは、お前の国の作法か?」

「あぁそうだけど、この村は食事の前の作法ってどうやるんだ?」

「目を閉じるだけだな」

「そうなんだ」

 今度はそれを聞いていた、アシリアが。

「何か意味はあるの?」

 と聞いてきたので、そんな事は知らないとは言えず。

「う~ん、そうだねぇ、人は食べて行かなければ死んでしまう、食べるって事は動物でも植物でも他の命を奪うって事だろ、だからその奪った命を無駄無く感謝していただきますって感じかなぁ」

 オレは内心ドキドキしながら、それらしき言葉を搾り出した。

(アシリア頼むからそんな質問しないでくれよ、オレだって考えた事無かったんだからさぁ)

 すると村長が。

「ほぉ、そんな意味があるのか、素晴らしいな、それ真似てもいいか?」

「そりゃもちろん、ちなみに全員一緒にやるのが普通です」

「では、これからこの家では食事前に、今の作法を取り入れる、では皆で」

 《いただきます》


 食事の間色々な話を聞いた。

 でかい狼はこの村でもキングウルフと呼んでいて滅多にお目にかかれない事。

 ドラゴンはいる事はいるが、この村では長老くらいしか見た事がないだろう事。

 村の東側に歩いて半日くらい行くとエルフ族の小さな村『イオアニス村』があり、友好関係にあるみたいで月に一・二度くらい行き来があるらしい事。

 南側に一日弱歩くとサン=ドニール王国の国王が住む城と王都が広がっている事。

 また村の西側には『ナティデール洞窟』という洞窟があり、途中までは行けるが、奥まで入って行く事は出来ない、例外なく奥まで行って帰って来た者はいないらしい事。

 そして村の北側の森は『迷いの森』と呼ばれているらしく、その名の通り入れば迷ってしまうらしい事。

 さらにオレがビックリしたのが、魔法という存在だ、使える人間はごくごく少数だが存在するらしい、なんでも魔力を持っている者は結構いるらしいが、魔法を使うとなると激減するみたいだ、ちなみにこの村には使える者はいないが、イオアニス村には数名使える者がいるらしい。

 そんな話をしながら、オレは自分の置かれた状況を自分なりに分析していた。

(話を聞いた感じ、オレはやはり異世界に転位したと、そして何故か転位先が迷いの森だったと、あの神社が転位門にでもなってるのかなぁ?でも子供の頃はいつもあそこで遊んでたし、何か条件があるのか?だとしたら、他にも転位してきた人が居るんじゃないのか?それと肝心要なのが帰れるのかって事だよな、何も手掛かりが無い今は、この村にやっかいになって、情報を集めるしか無いかぁ)


 話しながら、そんな事を考えていると隣の村長から肩を組まれた。

「な~~ぁ、イツキちゃんよぉ、今夜は私と一緒に寝ようじゃないの」

 何事?と思い隣を見ると、酒瓶片手に酔っ払った村長が満面の笑みを浮かべていた。

「あのぉ~村長さ~ん?ちょ~っと飲み過ぎじゃないですかぁ」

「この私が酔っ払ってるとでも言うのぉ?」

(典型的な酔っ払いなんですけど)

 引き離そうとしても力自慢な村長は離れない、助けを求めてヴィレムを見る。

「いつもよりペースが早いと思ったらこれだ、イツキ諦めろ」

 しかしそこに女神が舞い降りた。

「ダメに決まってるじゃない!母さん、イツキは悪い人では無いと思うけど、今日この村に来たばかりなのよ、そんなの絶対に認めません」

 しかし村長という酔っ払い悪魔は。

「だから私が体の隅々まで調べてあげようってんじゃない、ヒック」

(ひぇ~どんな拷問が待っているのでしょうか?)

 するとアシリアは顔を真っ赤にして

「ダメッたらダメ!兄さま、お母さんをベットに連れて行って、私はイツキを部屋まで送るから」

「あぁ分かった、しょうがねえなぁ」

 と言いながら、ヴィレムは村長を担いで連れて行った。

「イツキ、ごめんなさいね、恥ずかしいところ見られちゃったわね」

 アシリアは部屋に向かいながらそう言った。

「いや、ちょっとビックリしたけど、別に気にしてないから」

 オレはそう答えて部屋に入り、アシリアは母の様子を見てくると戻って行った。

(はぁ疲れた、この世界に来て?から色んな事あり過ぎ、身の振り方かぁ)

 ベットに身を預け、また考え事をしているうちにオレは眠ってしまった。

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