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英雄たちの回廊(Ⅱ)  作者: 松本裕弐
【元勇者と仲間達の回想録】
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【61話:サギーナの日記編(魔獣相手の修行一日目)!】

 皆さん今回は早めの再会ですね、サギーナ・ノーリの乙女日記で~す。 わたくしサギの独り言にまたまたお付き合い頂ければと思いましてよ。

 昨日の朝の事でしたわ、ラリーとマギがリアーナお嬢様のお供でヴィエンヌ城下の巡回警備に赴いたのは。マギが私達と一緒に行動する事になって初めてのチームラリーの仕事でしたのに私とウギは別行動を取らせて貰いましたわ。


 朝も日が昇る前から私とウギはお城をあとにしましたの、お城の外に出た所で流石さすがに辺りはまだ薄暗くて二人の行き先も暗闇に沈む中ぼんやりとした月明かりが残る街並みの中を目指す場所に向かって歩いて行ったの。何処にって――ヴィエンヌの街を取り囲む城壁の外の魔獣の徘徊する原野に――二人で決めたマギに追いつく為の魔術の訓練にね。

 マギとの出会いは私の人生の中で一番衝撃的でしたわ、あっ、勿論もちろんラリーとの出会いは別の意味で忘れられない人生の懐慕かいぼとなっていますけど。

 圧倒的な魔力、言葉を呑みこむ程の魔法の力を目の前にして私の魔術なんぞは飯事ままごとみたいに思えたの。ウギもそうだったみたい、ウギは直接は魔法を放つところを目にしてはいない訳だけどマギと相対した時の背筋が凍る程の彼女のオーラを感じて気付く所があったみたい。

 そんな訳でウギと相談した結果、今のままの私達ではラリーの足手まといにしかならない現実を直視してもっとおのれの魔術の腕を磨く事にしたの、そう魔力気のランクアップをね。

 ウギはもともとヴァルと出会うまでは魔獣相手の武者修行での鍛錬を重ねてきた訳だからそこのところは先輩として話しを聞いたの。で、最後にマギに相談してみたわ、そうしたらやはり魔獣相手の実戦訓練が一番の近道だって事になったのね、まあ、マギにはその時に行う魔術の内容まで事細かに指示を授かったわ、その鍛錬の中身も聞いた時にはウギと二人して青ざめる程の内訳うちわけでしたわ。そんな訳で魔獣との遭遇を求めてヴィエンヌ城壁の外まで足を延ばす事にしたの。無論、ラリーには内緒の話しですわ。

「サギ~っ、ヴィエンヌ城壁はまだまだなのかの~ぅ、わらわは既に足が棒じゃ!」

 ウギがはやばや々と弱音を吐き始めたわ、早すぎるって言うの!

「何言っているのかしらウギ、まだお城を出てきたばかりでしょ、そんな簡単に弱音を吐いていてはラリーの役に立つ魔術師にはほど遠いですわよ」

「うっっ! 其れを言われると我慢せざる得ないの~ぅ、サギっお主は華奢きゃしゃな割にはタフよのぉ」

 華奢――って、どうせどうせ胸の事よね、悪かったわね其れはウギの方が胸は大きいし……其れとこれとは別よ! なんか変な所で意地っ張りになっている私もやっぱり疲れている様だったわ。始まる前から~っ!

「ふん、ここが我慢のしどころなのですわ」

「――わかったのじゃ」

 そう言いながらも二人は歩みの速度を今以上に上げていったの。

 なんとか日が昇る前に城壁の門に辿り着いたわ。顔なじみになった門番には特にとがめられる事も無くすんなりと通して貰ったの、別れ際には『お大事に!』と挨拶までしっかりと貰っていたのね。

 門を抜けたとたんに鬱蒼うっそうとした森林の方に歩みを進めて行くの。だいぶ時間もたったおかげで日も昇ってきて森の中でも光の密度が大きく違う所がわかってくる様になったわ。

 なんとなくだが探知魔術で魔獣の居場所がつかめるようになってきたのよ、先日と同じキメイラの集団の魔力気だったわ。

「ウギっ!」

「解ったのじゃ、五体ほどいるのぅ」

 じゃぁ行きますわよ! ウギと目配せをして進む方向を確認すると私は詠唱を始めたわ。

  あっそうそうヴァルは一緒にいるけど(いつもウギとワンセットだから)今回はお目付役ね、魔獣相手の闘いには参加しないで後ろで覧ているだけにして貰ったわ、まあウギの危機には駆けつけるでしょうが……。


 ウギが腰から剣を抜きだした状態で足早に魔獣キメイラの方に向かって駆けていったわ、まさに前衛で剣技を中心にして魔法剣士の真骨頂を発揮するタイプなのね。私は後衛で電撃魔術の攻撃の準備を進める連携をとるのよ。

 ウギの動きはまさに俊敏の極みだったわ、キメイラが束でウギに襲いかかるのをまるでダンスをしている様な動きでさばいていったわ。ウギがキメイラに向かっていって其れを迎え撃つかの様に進んでキメイラが牙を剝くとすんでの所で身をひるがえしてかわすの、そして逆にキメイラが引くとウギが容赦なく剣を薙ぎ入れるのね。傍から見ても美しい舞いに見えるの思わず見入っちゃった。

「サギっ! おのれの仕事を忘れるでは無い!」

 ウギに叱責されて我に返ったわ。まったく私とした事が!

 詠唱を続けて準備が整った所でウギに合図をするのよ、電撃魔術の魔道上にウギがいたら巻き込んじゃうからね、でも、ウギもタイミングを計って後退するチャンスを見いださないとキメイラの攻撃をまともに受けちゃうから其れが難しいのよ。

 一回目はちょっと危なかったわ、ウギの離脱タイミングが旨く合わなくて私の魔力が漏れ出し始めたのね、ちょうどいかずちが一本ウギの身体をかすめて飛んでいったの。

「サギっ! わらわごと吹き飛ばす気なのか! 勘弁じゃぞ!」

「御免なさい――ウギっ」

「まあ、最初であるからの~ぅ――ほれ、離脱したぞ! あと頼む!」

「任せて!」

 その後に電撃魔術の本体を放ったわ、其れこそ雷撃の束で!

 キメイラはほぼそれでやっつけて終わったのよ、一部まだ動きが残っているキメイラはウギが引導を渡して終了! ちょっとしくじりがあったけどまあまあだったわね。六十五点かな。

 その後も魔獣を探知して駆除ついでの魔術修行を続けて行ったわ、二回目からはもっと旨くタイミングを合わせられる様になっていたのね。

 そんな風にウギとの連携魔術の鍛錬を魔獣相手に続けていったの、日が暮れるまで……、日が落ちる頃にはヴィエンヌ城壁の門をくぐってお城への帰路についていたわ。

 お城に戻ってからはまずは地下温泉に入って身体をほぐす事にしたわウギも疲れ切っていて流石に二人とも無口だったわよ、あっそうそうラリーが居ないからメイラーさんにお願いして地下温泉に案内して貰ったのね、お嬢様のあの宝石が引力を持っているみたいだったわ。

 地下温泉の湯船の中のあの魔石の傍に居ると身体中の疲労がほぐれてきたのまさに魔力の注入がされてくる様に感じたわ。

 ウギもね、其れを感じていたみたい魔石にまつわるマギの解呪の件を話してあげたらびっくりしていたわよ。

「ほ~ぉ、此の石がのぅ――魔石かのぉ……まあ、席になるわのぅ」

 ですって、興味津々で魔石の上に座ったりさすったりしていたわよ、何にも起こらなかったのは言うまでも無いですけど。

 それから、夕食を軽く済ませてさっさと寝床に入ったわ、さすがに心身ともに疲れ切っていて直ぐに寝ちゃったみたい、でもね夢の中でラリーと出会えたのちょっとだけだけどラリーは私に『おやすみ』って言って……その後は内緒っ! 

 あとで聞いた話しだけど丁度寝てる時にラリーが訊ねてきてドアをノックしたみたいなのに全然気付かなかったわ。熟睡していたのね私っ! ラリーには悪い事をしたわ、ごめんねラリーっ!

次回【62-1話:サギーナの日記編(魔獣相手の修行一週間後)!】を掲載いたします。

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