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英雄たちの回廊(Ⅱ)  作者: 松本裕弐
【元勇者と仲間達の回想録】
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【58-1話:ヴィエンヌ城下の巡回警備!】

 結局のところ新生チームラリーの初仕事は俺とマギと二人だけでヴィエンヌ城下の巡回警備の方に赴く事になった。サギとウギは朝から行く先知れずだ! マギには何か有ったらヴァルから連絡があるから大丈夫って言われて俺は渋々承知した形となったが。本当にサギとウギの二人は――ぁ、ってヴァルを入れて三人は何をしているんだ?

 そんな俺の思いとは裏腹にマギはさっさと警邏けいらの準備をしている。って、その装いは如何とおもうが……マギっ!

 黒でまとめたボンテージ装備礼装なんだがウギの露出が多い装備礼装のさらに上をいっている、B92,W58,H87 Eカップの躰を惜しげも無くさらしているというか、完全に胸元は単に乳房先端を隠すだけの布地の面積しか無いし、下に至ってはTバックか? って言う程の小ささだ。

「マギさん、その格好はいくらなんでも街中の界隈を闊歩かっぽするには余りにも刺激的すぎませんかね?」

「んっ! あらっ、にぶちんのラリーにしては反応が早いですね~ぇ、まあ、君にはじっくりと見て貰っても良いわ~よん! どぉ~う」

 いやいやそんなんで出向いたら普通の男たちが全員痴漢行為に走りそうで単に犯罪を助長する巡回になるって。それはダメでしょ!

「あらっ、ラリーったら私だってこのまんまでは出かけません事よ」

 と、言ってマギは其処そこに折りたたんであったロングコートを上に羽織った。其れも黒の革で出来たかかとまであるロングコートだったしかも大きめのフードまで着いていた、が――しかしまあよく似合っている。其れでむちでも持っていたらそのまんまだよ、女王様って!

 いわんやおもむろにマギはそのコートの内ポケットに入っていた道具を取り出して素早く打ち付けた。

 “バシッ――っ”その音は紛れもなく鞭の音だった。わぉーっ、やっぱり持っているんかい!


 俺はマギのショータイムを終わらして早々にヴィエンヌ城下の巡回警備に向かう事とした。途中でリアーナお嬢様を迎えに行かなければならなかったし。

 二人でヴィエンヌ城の正門前に赴むく事にした。其処にはリッチモンド伯爵家の警邏隊けいらたいの面々が既に準備を整えていて御令嬢の到着をただ待つばかりとなっていたようだった。

 俺達は正門に行く前にメイラーさんを通じてリアーナお嬢様のお迎えにあがっていた。お嬢様はいつもの様相のままの麗しきドレス姿で俺達の事を待っていた様だった。

「おはようございます、ラリー様」

 リアーナお嬢様が先に俺の方に歩み寄りながら挨拶をしてきた。先手を取られた感じだった。

「おはようございます、リアーナお嬢様。今日も見目麗しきお姿ですね」

「あらっ、ラリー様ったらお上手ですこと」

「いえ、心からの気持ちを表したまでの事ですから」

 そういうことをリアーナお嬢様とやり取りしていると傍でマギが欠伸あくびをしながら小声でぼそっとぼやいた。

「馬鹿っ」

 おい、聞こえたぞマギっ! って、思わずマギの事をにらんでみるとマギは口笛を吹くまねをしながらそっぽを向いた。まったく社交辞令って言う事だろうと思わずマギの耳元で愚痴った。

「あらっ、今日はサギとウギはいらっしゃらないのかしら? 其れとその隣のお方はどなたですか? 初めてですわね、あなた? 多分? えっ、何処かでお会いしてましたか?」

 リアーナお嬢様がマギを見て不思議そうな顔をしている。そらそうだわ、夢枕の中では散々出会っているはずだからな。其れは其れとして置いといて現実での初対面だから挨拶をさせなければと……。

「リアーナお嬢様、こちらのお方はマギル・ビンチ嬢でございます。私達のチームの一員として今回の巡回警備に同行いたします。どうぞお見知り置き下さい」

 そう俺がマギを紹介すると、マギはリアーナお嬢様に一礼しながら自己紹介を始めた。

「ご紹介にあずかりました私、ラリー一家の長姉としてこの度お仕えする事になりましたマギル・ビンチと言う魔導師上がりの若輩者でございます。今後ともどうかよろしくお願いします。マギとお呼びつけ下さい」

「マギ様ですわね、此方こそ宜しくお願いいたしますわ……でも、マギ様は初対面って言う気がしないのですわ? 何故かしら?」

 リアーナお嬢様は本当に不思議がっていたわ。


 しかしマギは――姉さんって言ったね! しかも若輩者ってお前幾つだっけ? 俺はおもわずマギの顔をまじまじと見て取った、多分俺のまなこは“うそ~”って言う様な目をしていたと思う。そんな俺の顔を見ながらマギは素知らぬ顔をして俺の靴のつま先を彼女のそのヒールのかかとで踏みつけてきやがった。

「くっ――っ、痛っ!」

 思わず痛みに顔が強ばった。

「あら、ラリー様、如何為いかがなされました?」

 そんな俺の様子を見てリアーナお嬢様が怪訝けげんな顔をしている。

「あっ、いえっ、何でもありませんから」

 俺は少し引きった顔でリアーナお嬢様に応えた。

 そのあとでマギの方を振り向きながら彼女に小声で愚痴った。

「マギっ! 後でなっ!」

「あらっ、後でなのわかったわ! じゃあ私は湯浴みをして身ぎれいにしてからあなたの事を裸で待っているからね~っ! あ・と・で・ね! あっそうそう優しくしなくてもいいわ~よん、激しいのを期待してるから~っ、ら・り・ぃ!」

 マギはハートマークが出てくる様なウインクを交えて俺に答えを返してくる――ダメだこりゃ! 勝てる見込みも無いわ。俺は早々に退散を決め込んだ。


 リアーナお嬢様を連れて正面門の所に着くとリッチモンド伯爵家の警邏隊けいらたいの面々が皆、緊張の面持ちで最敬礼をして出迎えてくる。

 そんな様子をご令嬢がひと言、ねぎらいながら皆に緊張を解く様に話しをかけていった。

「皆さん、おはようございます。今日の私は単なるおまけの付き添いなのでそのようにかしこまる必要はありませんから、気を楽にして下さい。私からの唯一のお願いです」

 そんな優しい投げかけに警邏隊けいらたいの面々が皆、なごんでいく様子が見て取れた。

「はぁ~ん、なかなかのものですわ~ねぇ」

 マギがご令嬢の振る舞いを見ながら感心した様にうなずいている。しかし、上から目線の態度かいマギの奴は。

次回【58-2話:ヴィエンヌ城下の巡回警備!】を掲載いたします。

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