【52話:マギの色仕掛け?!】
翌日の朝までぐっすりと寝入っていた。まあ、昨夜はマギの解術の手助けで魔力を消費した事も手伝ってサギと地下温泉から戻ってきた後はベットに倒れる様に横になったかと思ったらもう寝についていた。
窓から差し込む朝日の眩しさに手をかざして目の前をみた。朝日を背中に浴びて俺の上に馬乗りになっている人影が見えた。
「えっ――誰っ?」
そう言えば何だか目が覚めた時に身体の重さを感じていた、昨日の疲れが残っていたのかと思っていたが何のことは無い俺に乗っかっている人が居たという事だ。
気がついて起き上がろうと試みるが起き上がる事は叶わなかった。
明るさに目が慣れてきたので逆行の中ではあるが人影の様相が解ってきた。シルエットから間違えなく女性の曲線美が浮かび上がっていた、それも相当のグラマラスなラインであった。まあ、俺の知るところの淑女達は皆、類い希なスタイルを誇っていたので見慣れてきているが……。
影人の彼女は俺の腰辺りに馬乗り跨がっていて、で其の両手を俺の胸の上に置いていた。しかも――服を着ていない? ……ように見える。
えっ! 裸か? なんとなく誰かは解ってきた。身体のラインで……。
「マギっ! 何をしているんですか? しかも裸っ?」
「あらっ、もう私だってばれたかしら? ラリーおはよう――でも、ちなみに下着は着けているからね、大丈夫よ!」
「ああ、マギおはよう――下着は、いいから服を着て!」
「そんな下着はいいからなんて真っ裸がご要望かしら?……大胆な台詞をさらりと言うところが大物だわね。――それで昨夜、後でお姉さんが良い事して上げるって言ったでしょ、忘れてた訳では無いからごめんね遅くなって。それでまあ出だしから裸より着ていた物を脱がすシチュエーションの方が興奮すると思ったんだけど……違った?」
「いやいや、悪事はいらないから。間に合ってないけど間に合っていますって! そんなシチュエーションは不要ですから」
俺もテンパってきていて言っている事がおかしくなってきてる。
「あらやだっぁ~いつの間に、ラリーったら間に合っているって……いつそんな事をしてたのかしら? 相手は誰? サギっ? 隅に置けないわね」
ぜんぜん隅に置いて頂いて結構ですって、そのまま隅で仏像の様に賢人となっていますから~っ。
「でも、ほらっ下半身がそうは言っていないみたいですわよ」
そう言いながらマギが俺の下半身に手を伸ばしてきた。
ん、まてまて其れは流石に拙いだろう。其処は寝起きの生理現象だから。逃げ出さなければ、そう思っているが身体が動いてくれない。
「くっ――うぁ――よせっ~っ、マギっ!」
拙いってば……俺はその場から逃れる方法を懸命に探っていたが……?
“ダァーン――ぅ!” と言う轟音とともに部屋のドアが思いっ切り開け放なたれた。
その時俺の部屋のドアをノックも無しに開けて入ってきた人物は誰あろうサギであった。
「そこまでぇ~っ――マギっ! 止めなさい~っ!」
ドアを思いっ切り蹴り開けて入り口で仁王立ちしているサギ、その人がまさに其処に居た。
「まったく、油断も隙もありゃしないって言うのはこの事ですわね。盗人に追い銭ですわ、私の立場で言えば助けて上げたうえ彼氏まで取られそうになっているお人好しって言うところですかね」
「あら、サギさん――彼氏って言えまして?」
「あっ、か、彼氏って――ま、まだですっ……うう――っ!」
サギは一瞬俺の方を見てから顔を赤らめて俯きながら項垂れる。
俺は俺自身でサギの彼氏って誰だって言う顔をしながら口だけパクパクしていた。
「あんたらって……どうしようも無いバカップル?」
マギのだめ押しの言葉に二人とも項垂れ直した。
サギの怒濤の介入のお陰で何とかマギの強襲を回避出来た? みたいな俺だったが其れは其れでその後の事態の収拾が大変だった。サギの方は動揺が少しは収まったみたいで、俺の隣に腰掛けながらモジモジとしていたし、マギには取り敢えず部屋にあったバスローブを羽織らせていたが、ベットのど真ん中に胡座を組んで座っていて……(バズローブで胡座って丸見えですから――下着っ! )そんな事を考えている俺の事を半眼で睨み付けている。この絵柄はなんだかな~ぁと思うが……。
なあ、マギさん何か言うたら如何なのよと思っていると察してくれたのか口火を切ったのはマギだった。
「サギっ、あなたどうして私がラリーの部屋にいる事を解ったのかしら? それもあんな良いタイミングで?」
「……其れは――っ」
サギは何か言いにくそうに俺の方をチラッと見てから悄気返っている。
どちらかと言うと寝込みを襲ったマギの方がサギに押し込まれて悄気返る場面だと思うのだが何でこうなっているんだろう?
「サギっ? さっきの“彼氏まで取られそうになって……”って誰の事?」
取り敢えずサギに彼氏候補がいたらしい事を早々に聞いてみたくて俺は自分の疑問を投げかけたが……。
「『――えっ~それって……』」二人が同時にハモった。
俺の事をこの世の者とも思えないと言う様な目で見つめる二人の顔は明らかに何かを諦めている様子だった。
「ここまでとは――っ!」
マギが天を仰いで呟いた。
えっ、俺っ! 俺がまた何かはずした?
マギが俺の方につかつかと歩み寄ってきて、と言うかベットの上を四つん這いになって近づいてくると俺の首筋に両手を回してきた。
「なっ! なにっ――マギっ」
バスローブの格好でそんな姿勢のマギの胸元はその豊満な胸がこぼれ落ちそうに揺れていて俺はたじろいだ様に背を逸らした。そんな俺の仕草も者ともせずに首筋に廻してきた手で俺の首の裏から何らかの紙の様なものを剥がしとってサギの前にそれを見せた。
「これはサギが仕込んだものよね? 違って?」
「あっ……」
マギに見せつけられたものをその大きな瞳を見開いて見つめながらサギは顔を真っ赤に染めていった。
「これってラリーの何を監視するのかしら? ねぇサギっ?」
監視する? 何を――俺の事をか? サギが? 俺は二人の会話の意味が読み取れずに落ち着かなかった。
次回【53話:サギの告白!】を掲載いたします。




