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英雄たちの回廊(Ⅱ)  作者: 松本裕弐
【元勇者と仲間達の回想録】
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【51-2話:魔導師マギル・ビンチ参上!】

 「自己紹介が遅れましたわ、私……マギル・ビンチこと魔界の魔導師と呼ばれておりました。そうですわね、何からお話をしたらいいのか? 迷いますわ! そうそう何故なぜ、蜘蛛の姿をしていたのかと言う事が先ですわね――あれは今から数百年前になります。此処の居城の城主であった魔王族に呪術を掛けられて蜘蛛の姿に身をやつしたのです。丁度この場でね、まあ解呪をする為のことわりにあった様に私の躰を手込めにしたくてその魔王族の領主は私に呪術を掛けた訳ですが……そんな奴の言いなりなんて嫌ですから――今までずっと次世代の魔王候補の方を待っていたのです」

 そんな話を続けているマギの容姿と言えば、確かに魔王族の領主が彼女に呪術を掛けてでも欲しがる程の艶めかしい肢体をしていた。

 サギより頭半分ほど高い身長でそのスラリとした体型には似付かわしくないほど豊満な胸の大きさを誇っていた。

 栗色の髪の毛は肩を覆う位までの長さでその癖毛がフワッとした羽毛の如く柔らかな感触と艶々とした輝き放っている。相貌は目鼻立ちがキリッとした美人の容姿をしておりサギに負けず劣らずの美形だ。そして最大の特徴はその眼にあった。そう彼女の眼の色は銀眼色であった――魔族の血筋を物語っている。

「マギ、あなたは其の眼の色からすると『魔族』の血筋なのか?」

 俺は一番の疑問を即投げかけた。

「ああ、この眼の事ね――そう私のお婆様がね、祖母が魔族の出だったのよ。でも、父も母も人間だったので隔世遺伝かしら? まあ、所謂いわゆるクウォーターってとこね」

「でもさっき、魔界の魔導師って言ってましたよね? 自分の事を……」

 俺はマギの話しの中で気になっていたキーワードを確認してみた。

「そう私は魔界にいたの、だってこの眼のままでは人間界には居にくいでしょ――ねぇ」

「まあそう言われればそうかも……」

「そう言うことです――魔界って言ってもそんな人間界と変わらないわよ、私がまだ幼い頃に祖母のところにそのまま預けられたのだから小さいときから私は魔族として育ったって言うことなの」

「で、魔導師というのは?」

「そのまんまよ、魔界の魔女は魔導師の子孫と言う事、まあその祖母というのが魔界でそれは魔力のある魔導師だったわけ、そんな祖母の影響かしらね私も魔女としての修行をしたわ、まあそれなりの苦労は沢山したけど面白かったわよ、それまではね」

 マギはその後のヴィエンヌ城での魔王族との確執の話しを始めた。

「祖母は魔王の魔導師もしていたみたいなの、そんな魔女の子孫である私のところに訪ねてきたのよ、ヴィエンヌ城のその時の主の魔王族が――名前? そんなものはうに忘れてしまったわ、まあ憎いから顔はしっかり覚えているけどね」

 そんな風にマギは昔を語りついだ。昔話で済ませれられるようなレベルでは無いと思うのだけれど……。

「最初の内は下出に出てきて此方こちらのご機嫌を伺いながら話しを進めていたわ、それがある時を境に真逆の態度になったの――そう、魔王が人間の女に子供を産ませたことが大々的に噂されたのね、魔族なら今までもあったけど……私の母がそうなるのね。でも純血を重んじる魔王の血族が人間に子を宿させるなどとは誰もが反対したみたい――でも、その人間から生まれた子供の魔力が半端無かったのよ『覇王気』をまとってるし金眼色・銀眼色のオッドアイだったって言うし、オッドアイってその個体の特殊魔術があるのよね」

 マギは俺の顔を舐めるように見ながらその話を進めていった。マギは俺の秘密を何処まで知っているのだろうと彼女のその瞳の奥にある輝きを見とめて俺の背筋に寒気が走ったのを感じていた。

「それからかね、奴が私を手込めにしようと動き出したのは――あとは地獄だったわよ、まあ魔界で地獄というのも何だけどね……!」

 余りにあっけらかんとマギが話しているので俺はその異常さに気付いてはいなかったがサギは顔を赤らめながらうつむいていた。

「サギには悪いけど私の事はそんなに可哀想とか気の毒とか思わなくて良いから、手込めって言ったって扱いはそんな悪くはなかったわよ……そっちの方は……私……サキュバスだし――サギには悪いけどラリーは美味しそうだから、隙があれば頂いちゃうからね! えへっ!」

 そう言ってマギは俺とサギを見渡しながら舌をペロッと出した。

 その言葉にサギは即座に反応して俺の後ろにからいきなり前に飛び出したかと思うと俺をしかっと抱きしめてきた。

「マギっ! いやっ! ダメっ!」

 おいおい、サギっ! その格好で絡みつくように抱きつかれては俺も……まずいですって!

「あらあら、サギっ! そのはしたない格好で――それではラリーにとって生殺しでは無いかな~ぁ? わかってます?」

「えっ――あっ、いや~ぁだ~ぁ、もう~ぉ――マギったら……ひどいっ!」

「――サギは可愛いはねぇ~っ、こっちも食べちゃいたいぐらいだわ――もぅ」

 何か雲行きが怪しくなってきたぞ、このまま続けて良いのか? 俺はそろそろ潮時かと思い始めていた。そもそもマギの言う通りサギの格好は艶麗えんれいで俺にとっては本当に蛇の生殺し状態だ。しかも、サギの湯浴み着は先ほどのマギの解呪の際の動きで微妙にはだけてきていて、その状態で抱き付いてくるのだから俺の肌とサギの肌が生で触れている箇所が多すぎる状態だ。もう辛抱堪らん状態ですよ~っサギさん!

「ラリーっ! まだダメよ、話しておかないといけないことがもう少しあるの、あなたにとっては蛇の生殺し状態だと思うけどもう少し我慢してね――後でお姉さんがいいことしてあげるからぁ~んっ」

 だからそうゆうことを言うからマギっ! ほらっ、サギがいっそう俺に絡みついてくるじゃないですか。えっ、マギって俺等の年上――お姉さん? 俺達どんどんマギに攪乱かくらんされていませんか?

次回【51-3話:魔導師マギル・ビンチ参上!】を掲載いたします。

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