【50-1話:マギの呪術解呪で!】
マギの語りに依れば蜘蛛になったマギの呪術を解呪する為には地下温泉にある魔石の力を借りる必要があるらしい、そして同時に二つ以上の魔術を発動しながらマギに掛けられている呪術に対して干渉魔術で呪術をこじ開け、其処に解呪の魔術を発動させる事で蜘蛛になっている姿が元の姿に戻るとの事だった。
「マギ、それって結構危険なやり方ですよね、もしも失敗した場合はどうなるのですか?」
俺は冷静になってマギの解呪手法へのリスクを確認した。
“そうですね、確かに魔術をこじ開けると言うのは言わば力業ですからねラリーが心配するのも仕方の無い事ですわ。でも、此の姿で既に長い年月を過ごすしか無かった私からしたら藁にも縋る思いなのです、多少のリスクはやむ得ません。まあ、リスクは私だけですからラリーとサギには迷惑は掛からないはずです。其れに……”
とマギはその話しの続きを語った。
”失敗しても、私が蜘蛛から雲に変わるだけですから――大丈夫ですよ、きっと……たぶん、あはは――ぁ”
「はぁ――それってマギが消滅するって事でしょ!」
”えぇ、まあそうとも言いますね、あはっ”
そんな悠長なぁ、俺はマギの気質が剛胆なのかいい加減なのか少し呆れてしまっていた。
”ラリーもそんな悲観しないで気楽にいきましょう、『二度ある事は三度ある』『三度目の正直』ってね、結局はどうにでも転ぶと言う事ですから。昔から人の生き様なんてそんなものですよ、要は気の持ちようって事ですかね”
俺はマギという人柄に少し感心してきていた。マジにすごい人かも知れない――と思い始めていた。
そんな俺の気持ちとは裏腹にマギの言葉に異論を呈するサギは少しイライラしていたようだった。
「マギ、私はそうは思いませんわ――人生は悲嘆すべきものでは無いし、確かに気の持ちようですがその前に自分にうまくいかせようとする強い意志が無いと思い道理にはいきませんでしょう。まあ、強い意志が有ってもうまく行かない事の方が多いですけど……」
サギがそう言って俺の方をチラッと見た。
”そうね、その通りだわサギ、私の言い方が悪かったようだわ。ご免なさいね。そんなつもりで言ったわけでは無かったのよ、勿論失敗するつもりは毛頭無いわよ。それとサギの思い通りにならない事ってねぇ――それは……きっと~ぅ時間が掛かると思うよ!”
今度はマギが俺の方を見ている多分、小さい蜘蛛さんなので目が何処についているか良く解らないが何となくそう思った。
「えっ、マギ――私の……わかります~ぅ?」
”うん、ばればれだから――あ・な・た”
マギの言葉にサギは何故だか顔を赤らめながら俯き加減で目を逸らしていた。
「あれ、サギっ――部屋が暑い? 顔が赤いよ――じゃ、窓開けるね」
俺はそう言って立ち上がって窓の方に向かおうとしたが、そんな俺の腕を掴んで止めながらサギは俺を睨んでくる、マギの方も何だかこっちを見つめている様な気がするし――そしてサギの唇が動いた。
「『――この~っ、唐変木っ!』」
二人の綺麗にハモった心のこもった言葉が部屋に鳴り響いた、しかし良くこの言葉で意思が通じていたな~ぁと俺は素直に感心していた。――んっ、あれっ、俺の事か?
マギのお願い事を聞いて俺とサギはマギの解呪を手伝う事にした。まあ、手伝うと言っても特に俺らに何が出来ると言うわけでは無いようだが、それでもマギの方はもの凄く喜んでいるみたいだったので其れは其れで此方としては恐縮至極だった。
三人揃って地下温泉に向かった。二回目なので俺としても迷う事無く辿り着いた、無論リアーナお嬢様の言われた様に俺がいるからかすんなりと地下に着く事が出来たし、途中で露天風呂らしき場所に行く事も無かった。
前回の様に、男湯と女湯の別々の入り口からそれぞれ入っていく、まあ、サギからはどうせ一緒になるんだからこっちから一緒に入ればみたいな事を言ってからかわれたが丁重にお断りしておいた、だってこっちって女湯と書いてあるじゃないですか。
まあ、マギにも『変なところで堅物だね』と突っ込まれたが其れと是はまた別の話だろうと意に介さずにいた。
俺は男湯で衣服を脱いで腰に大きめの布を巻き付けて湯船に向かった。
「洞窟温泉の方だな、あの魔石があったのは」
俺は前回見つけていた輝きを放っていた魔石のある場所を目指した。
その魔石は前と変わらず優しい呟きを奏でるような輝きを放っていた。
「ラリーっ?」
サギが少し遅れて入ってきた、今回はちゃんと最初から湯浴み着を纏っていた、まあそれでも直視出来ない程の色香を漂わせている所は変わっていなかったが。
蜘蛛さんのマギは? 俺はサギに聞いてみた。
「あのね……えっと~ぉ……ねぇ」
何かサギの話しの歯切れが悪いぞ?
「どうした? マギは置いてきたのか?」
サギがドギマギしながら俺の方に近づいてくる――俺の真ん前まで来るとちょっと前屈みになりながら胸元を強調してきた。
「おいっ、今はそれじゃ無いだろう」
「……違うの、誤解しないで……だってマギがお願いしてくるんだもん」
サギが顔を真っ赤にしながら唇を突き出してそっぽを向いた。
「――っ?」
なんだなんだ? 俺はマギを呼んでみる事にした。
「お~ぃマギ~っ」
“此処に居ますわよ~っ”
声のする方向はサギの方だったが――いたよ、マギあんたね~っ。俺はたまらず赤面してしまった。
次回【50-2話:マギの呪術解呪で!】を掲載いたします。




