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英雄たちの回廊(Ⅱ)  作者: 松本裕弐
【元勇者と仲間達の回想録】
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【49-2話:晩餐会の後での出来事!】

 “まあ、もう良いでしょう――その前に蜘蛛さんではありませんから、まあ今の見た目はこんなですが私にもちゃんとした名が有りますからね”

 蜘蛛さんは凜とした言葉でそう話し始めた。

 “マギル・ビンチ、私の名前です! あなたはラリーとか言われてましたね確か――あなたの姫子ひめごのお二人がそう呼んでおられるのを聞いてましたよ”

「俺の名はラリー・M・ウッドです、まあ、あなたのお話の通りラリーって呼んで下さい」

 向こうもフルネームを教えてくれたので自分もフルネームで返した。

 しかし、何で蜘蛛の姿でいるのかが一番の疑問だったので訊ねてみた。

「マギル・ビンチさん、何でその姿でいるんですか? 蜘蛛ですよね」

 “マギでいいですわよマギで――蜘蛛ですが何か? って言いたいところなんですけどいろいろと事情があるのですよ此は是で!”

「――マギさん? しかし其の姿はやっぱりね。こっちもハイそうですね……っては言えないじゃ無いですか」

 “ん~んんん、まあ、そうよね――ぶっちゃけ呪術なんですけど今は余り話すと本当に蜘蛛のまま、元に戻れなくなるから言えないのご免なさいね。多分、あなたが協力さえしてくれたなら直ぐに元の姿に戻れるからその時に全てお話しするわ、今は其れで許して下さらないかしら、ねっ!”

 マギさんは言いにくそうにそう話してくれた。

「……解りました、で? 俺が何をすればあなたが元の姿に戻れるのですか?」

 まあ確かに蜘蛛の姿の理由をうんぬん々する前に戻れる手助けが出来るなら其れが先である事は正論だと思った。

 “解ってくれてありがとう、じゃ是からお願いする事を話すわね”


 マギさんの話しを簡単にまとめると俺はマギさんをヴィエンヌ城の地下温泉に連れて行きさえすればいいらしい後はマギさんつまり蜘蛛が今乗っているリアーナお嬢様から借りている此の宝石を一緒に持って行く事とサギを連れて行く事らしい。流石にサギを連れて行く事については貴女の判断になるので俺から良いとは言えなかった。其れとサギの同席の理由、その危険性について具体的な理由が解らなければサギが良いと言っても其れは其れで俺の気持ちが許さない事を伝えておいた。

 その為、今此処にサギにも来て貰ってマギさんから直接の説明を受けようとしている。その前に蜘蛛が喋る事実を目の前でサギが目撃する事になるのだが、多分その事実の方が貴女に取ってトラウマにならない事を祈る気持ちであった。


「サギ、悪かったなぁ、こんな遅くに呼び出して――もう眠るところだった?」

「ううん! ラリーっ? な~ぁにこんな夜更けに私に用があるって? あっ、夜遅くに呼ばれるのが嫌って言うわけでは無いから……誤解しないでね、ぜんぜん嫌な気持ちは無いんだからね、ねっ」

 サギは何故か頬を朱に染めながら俯き加減で俺に話しかけてきている。俺の部屋が暑いんだろうかぁ?

「あっ、俺の部屋が暑かったか? 窓を開けようか?」

「えっ、なんで? 別に暑くなんかは無いよ……大丈夫だから――ねっ、隣に座ってもいい?」

 サギがベットに座っている俺の隣に来たがっていたので俺は大きく頷いてサギを呼び寄せた。

「でっ、な~にぃかな~ぁラリーが呼んでくれた用事って?」

 サギは俺の左に腰を降ろして俺に撓垂しなだれ掛ってきた。


 “そろそろ宜しいでしょうか?――其処そこのにぶちんの坊やに何を誘いかけても無駄だと思いますわよ、流石にあなた達のラブコメ芝居を見ていると此方の方が照れてくるわね”

 マギが待ちきれずに会話に参加してきた。

「えっ、誰っ? 誰かいるの?」

 サギは人の気配もせずに声だけが部屋に響き渡っている事でより恐怖を感じてしまったようだった。

「ラリーっ、何っ今の声は? あなたも聞こえたよね!」

 少々パニクっている様だったので、種明かしをしてやらねば……俺は二人の目の前にあるテーブルの上を指さした。

 其処には小さいけれど煌めくように輝く石が置いてあった。

「……石? 宝石っ?」

「その上だよ――宝石の上にいる」

「えっ! あっ! 蜘蛛? ……あ~ぁの時の……蜘蛛?」

 サギは晩餐会に行く前、此の部屋で会った蜘蛛の事を覚えているらしかった。

「そうだよ、あの時の蜘蛛さんだ――実際は単なる蜘蛛では無かったんだがね」

 そう言って俺は宝石ごと蜘蛛を掌に乗せてサギの目の前に持ってきた。

 “私の名前はマギル・ビンチ。訳あって今はこんな姿をしていますが――蜘蛛さんでは無いからね、まあ、マギと呼んで下さい……サギさん?”

 目の前の蜘蛛がいきなり挨拶をくれたものだから、サギは目をパチクリしながら驚きの余り固まったままだった。俺はサギの肩を軽く叩いて現実の世界に引き戻してあげた。

「……あっ! 失礼しました私はサギーナ・ノーリです。よ、よろしく」

 “サギーナ嬢ですか、良い名前ですね魔術師としてもピッタリですね”

「ありがとうございます……マギさん」

 “マギでいいですわ、多分同世代でしょうし――まあ、呪術で此の姿のまま長く歳を取っていないのですがね”

「マギ――私の事もサギと呼んで下さい。でも、どうしてそんな姿に?」

 “其れはまあ話すと長くなりそうですから、ひとまず私からのお願いを聞いて頂けますか?”

 そう言ってマギは俺達に彼女が頼みたい内容を話し出した。

次回【50-1話:マギの呪術解呪で!】を掲載いたします。

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